表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
しずかとしょかん
33/221

歴史の授業

 うるさい、うるさい、五月蠅い。


「えっ、それ超やべぇじゃん」


「でしょー、で、私の兄貴、家出てちゃった訳」


「でも、家出とか中々出来ることじゃないわ、やっぱ真美の兄ちゃんヤンキーだわ」


「今度のはけっこうガチのっぽくてさ~」


 後ろの席の奴らが五月蝿い。


 日本史の授業は、僕にとっての至福の時間である。それを関係の無い無駄話に邪魔されるなんて、いくら温厚な僕でもブチ切れたいくらいだが、そんなことをするキャラでもないので、こうして一人イライラしているしかない。


 日本史の坂本先生。頭の薄くなった初老の男性教師。歴史の裏話もちょくちょく挟んでくれ、僕としては大好きな先生なのだが、そののんびりとした口調は多くの生徒の眠気を誘うため、彼の授業をちゃんと聞いている生徒はごく少数である。大抵、寝ているか、内職をしているか、小声で無駄話をしているかのどれかだ。先生も面倒なのか、生徒に注意することは無い。


 頑張れ、坂本先生。あなたの歴史の授業は面白いんだから、もっと沢山の生徒に聞いてもらいたい。ほら、まずは後ろの喋っている二人をビシッと注意してやるんだ。


 ノートを取りながら、心の中で密かにエールを送り続けるが、それが届いた試しは無い。


 ―――――それにしても、本当に五月蠅い。




「おーい、皆、静かにしろよ~。今、授業中だぞ。特に、大西と川上。大西の兄貴の話も気になるかもしれないが、それは休憩時間に話してくれ」


大久保(おおくぼ)真斗(まさと)


学級委員長の一言がざわついた教室に響く。


 いつも、彼である。


 学級委員長としての使命感か、彼の性格からかは分からないが、周りが五月蠅くなってくると、いつも彼が注意してくれる。お陰で教室には、坂本先生の声とチョークで字を書く音が聞こえるのみとなった。


 このクラスの学級委員長にして、県代表にもなった陸上部のエース、そして、顔良し性格良し頭良しと三拍子揃った、少女漫画にでも出てきそうなモテ男。それが、大久保君である。


 正に嫉妬するくらい、リア充!


 と、顔は平凡、成績は中の下、性格はどちらかというと暗い、帰宅部で趣味は仏像鑑賞の僕は、卑屈にもそう思ってしまうのだ。


 


 授業が終わり、本でも読むかと思った時、ふと視線を感じた。


 浅羽(あさば)満月(みつき)


 たしか、そんな名前だった。


 クラスでも、殆ど目立つことのない人物である。


 いつも静かに本を読んでいて、誰かと仲良く喋っているところを全く見た事がない。


 何か神秘的な魅力を持った女子。


 そんな印象を持っていた。


 僕に何か用でもあるのか?


 目と目が一瞬合ったが、次に瞬きをした後には、もう彼女の視線は本に注がれていた。



大久保真斗君と浅羽満月さんの登場です。

リア充・大久保君と大人しい浅羽さん、宇宙君とどう関わっていくのかお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ