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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
しずかとしょかん
30/221

うるさい

ここから「しずかとしょかん」パートに入ります。

主人公はたちばな 宇宙そら君。

少し卑屈な陰キャですが、よろしくお願いいたします。




 うるさい、うるさい、五月蝿い。




 学校の教室の中。


「ねえ、知ってる? まっつんと二組の篠田が付き合ってるって噂」


「あ~、どっかで聞いたわ、それ。あのまっつんと地味な篠田が付き合うなんて、ホントびっくり~。あ、もしかしてただの繋ぎじゃね?」


「確かに~。まっつん、スポーツ出来る人がタイプって言ってたし」


「じゃあ、すぐ捨てられちゃうね、カワイソ、篠田」


「まっつん、前、真斗君がいいって言ってたもんね」


「真斗君とか、競争率高過ぎっ」


「でも、イケメンだよねっ」


「うんうんっ」


 同じクラスの女子達の会話が、聞きたくもないのに耳に入ってくる。


 心底どうでもいい話を聞かされるのは苦痛で仕方ない。


 授業と授業の間の十分休憩。


 その十分を、クラスメイトがどう使おうと彼らの勝手だ。実際、クラスの大半は友達とのお喋りに興じているようで、もし仮に十分休憩の時間に何をしていますか、というアンケートが実施されたとするならば、7割が友達との談笑、2割が仮眠、そして残り1割の少数派が読書という割合になるだろうと予測している。


 僕は、その少数派。読書をしているのだ。


「あっ、真斗君、帰って来た!」


「お~、噂をすれば、ですなっ」


「話し掛ける? ねえ、どうする? この前の試合のこと、聞いちゃう?」


「うんっ、行こ行こっ」


 ドンッ。


 勢いよく飛び出して行ったうちの誰かの肘が僕の机とぶつかり、その衝動で机がずれる。


 そんなことお構いなしにお目当ての男子生徒の元へ向かう女子達。


 僕なんか、眼中にないのだろう。注意する気も起きず、手元の本に視線を戻す。


「昨日の恋色さ~、まさか樹とキスするなんて、全然予想してなかった!」


 うるさい。


「おっ、レア引いたぜっ!」


 うるさい。


「なあ、今日の小テストどうする?」


 うるさい。


 うるさい、うるさい、五月蝿い。


 クラス中の話し声が耳にガンガンと響く。本に集中出来ない。


 何故、こうも僕の周りは騒がしいのだろう。


 五月蝿い、黙れ。


 この言葉が言えたらどんなに楽か。まあ、言った瞬間、このクラスに僕の居場所はなくなる訳だが。こんなことを学級委員でもない僕が出しゃばって言ったところで、総スカンを食らうのがオチだ。


 なるべく目立たないように、上手くやり過ごす。怒りは口に出さない。


 それが、僕の高校生活のスタンス。


 一人静かに読書をしているだけの、いわば空気みたいな存在。


 それで、いい。




 でも、一つ注文を付けるとしたら、静かで落ち着いて本が読める空間が欲しい。

私も学校の休憩時間は読書をしていました。

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