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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
烏丸君の家族
220/225

お兄ちゃん



 次の日の朝、僕と弟は白鳥さんの家を訪れていた。僕の手には、旅行かばんがある。




「この子は、そこに預かってもらうことにするよ。勿論、ちゃんと了承も得てる。それに、信頼できる所だよ」




「そう。賢明な判断ね。あなたには学校もあるし、それに今年は大学受験もあるしね。子守が忙しくて大学に落ちましたなんて、洒落にならないもの」




 白鳥さんは眠そうな顔で言う。寝ていた所を僕が起こしてしまったのかもしれない。だとすると、申し訳ない。




 どうでもいいが、逢坂君は東京で泊り込みらしい。高村君もまだ来ていない。




「それと、名前を決めたんだ。白鳥さんから勝手に一字頂いちゃったんだけど、いいかな?」




「構わないわよ。……何て名前なの?」




(なごむ)って名付けたんだ。……どうかな?」




「そう、良いと思うわよ」




 和やかで平和な日々を送って欲しい、という願いを込めて……。







 数時間後、僕と和は電車に揺られていた。窓から見える景色には、長閑な田園地帯が広がっている。




 もうすぐ、僕の実家、祖母の家に着く。




 




 目的の駅に着き、電車を降りる。




 和と二人で、並んで歩く。




 昔、よく散歩をしていた道。




 あの頃は悶々と悩みながら歩いていた。




 でも、今は穏やかな気持ちで歩いている。




 僕の弟と手を繋ぎながら。






「ただいま」




 家の奥から、懐かしい声が聞こえる。




 その後、数日掛けて様々な手続きをした。幼稚園入学の手続きや養育費の工面などだ。祖母に代わって書類には全て目を通し、間違いが無いように、内容を全て理解した。家族のために、責任を持って。






 名残惜しいが、一通りの手続きが終わると、僕は帰ることにした。






「またね、お兄ちゃん」




 別れ際。和が言った、自分の口で。




 一瞬、何とも言えないような気持ちに襲われる。




「……またね、和」




 僕は笑顔を作って、こう返した。






 少しだけ、高村君の気持ちが分かった気がした。




 そして、家族に温かみに触れることが出来たような気がした。




 そんな気がした。

烏丸君が願いを込めて付けた名前、白鳥さんから一字もらって「和」とても良いと思います。

これから烏丸君の精神状態も良くなっていくといいですね。

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