表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
逢坂君とゲームクリエイト
208/221

その度にめちゃくちゃ怒られたわよ。



「キャラはこのくらいにして、次は萌えシチュエーションやな。君ら青春のど真ん中におるし、エピソードは豊富やろ」




「青春のど真ん中ってのは違う気がするけどな。おれ等もうすぐ高三だし」




 青春を謳歌するヒマがあるのって、せいぜい高二までな気がするけど。高三は受験でそれどころじゃないだろ。




「そんな心配せんでもええって。受かるって、大学」




「何で、お前そんなに気楽なんだよ」




 数学1なのに。一番、危機感を持つべきだと思うが。




「だって、わいが受けたいとこ、試験に数学ないもん」




「なら大丈夫か」




 もう受かったも同然じゃん。




「で、どうするの? ストーリー的なことを考えるんでしょ。最初に言っておくけど、僕にそういうエピソードはないからね。告白は沢山されたけど、全部断ってるし。中学生活の半分が引き篭もりだった僕に期待しないでおくれよ」




「お前さ、わざと暗い方に話を持って行こうとしてないか?」




 逸れた話を戻してくれてはいるのだけれど。




「僕は事実を言ってるだけなんだけどねえ」




 その事実が暗過ぎるんだろ。




「烏丸はいいよ、話さなくて。……あっ、そうだ。白鳥、あの話してやれよ。お前の中学時代の話。心霊研究会だっけか。あれも一応、青春だろ」




 確か、烏丸には話したことないはずだ。




「別に良いけれど。でも詳しく話すと膨大な文字数を費やすことになってしまうわよ。ざっと5万字くらいは必要かしらね」




「いや、詳しく話さなくていいから」




「あら、そう。では超簡潔に言うと、全校を巻き込んだテレパシー実験をしたわね。放送室を占拠したりして楽しかったわ。後は、夜の学校に忍び込んで七不思議の調査をしたこともあったわね。そうそう、グラウンドにミステリーサークルもどきを描いたこともあるわよ」




 懐かしそうに話す白鳥。実際に楽しそうだし、おれも白鳥と中学が同じだったら、混ぜてもらいたかったよ。




「へえ、すごいね。先生とかに怒られなかったの?」




「怒られない訳がないじゃないの。月に一回くらいのペースで何かやらかしてたから、その度にめちゃくちゃ怒られたわよ。……三人で活動していたのだけれどね、先輩が相当な変人で、私ももう一人も色々と振り回されて。反省してない反省文を何枚も量産して。でも、楽しかったわよ。青春していた、とでも言えるでしょうね」




 でも、と白鳥は続ける。




「これは参考にはならないわね。恋愛エピソードなんてなかったし。彼ら、私以外は男子二人だったのだけど、ただキャラが濃いだけで、恋しようと思えるような人達ではなかったわ」




 確かに、心霊研究会の面白エピソードに乙女ゲーム要素はないなと思う。




「あ、一方はそんなに濃いキャラでもなかったわ。高村君よりは個性があったけれど」




「おい、おれが無個性みたいに言うのはやめろ。悲しくなるわ」




「じゃあ、中学時代に印象に残ったエピソードは?」




「………………」




 考え込んでしまった。何かあったっけ?




「あっ、修学旅行とか」




「在り来たりね。そこで何か?」




「東京に行ったんだよな、夢の国とかさ」




「そこ、千葉県よ」




「耳とか付けたぜ、おれ」




「ふうん。あまり興味無いわ」




「写真あるけど? 家に」




「見たくないけれど」




 こういう言い合いで、白鳥に勝った試しがないんだよな。毎回、撃沈。




「高校なら、けっこうあるのにな……」




 白鳥の下僕になったこととか、印象に残りまくってるんだけど。ていうか、忘れられないだろ。後は、白鳥と旅行に行ったこととか、白鳥の誕生日パーティしたとか、つい最近は白鳥とカラオケにも行ったしな。




 あれ、白鳥ばっかだな。もしかして、おれの人生って白鳥がいないと灰色なのかな。




「白鳥、何かありがとな」




「な、いきなり何を言い出すのよ。気持ち悪い」




 お礼を言ったら、気持ち悪がられた(悲)。




「そうだよ、気持ち悪いよ、高村君。あまり白鳥さんに近付かないでくれる?」




 けっこうマジなトーンで言う烏丸。怖いって。




「ゴ、ゴメン。……それで、薫はどうなんだよ? ゲーム作るのはお前なんだから、人の意見聞いてるだけじゃダメだろ」




 役に立ったかどうかは別にして。




「わいが通ってるとこは男子校やで。そんなエピソードがある訳ないやろ」




「そっか。なら仕方ないな」




「あー、でも……。ちょっとアレな感じの……」




「いいから、その先は言わなくていいから」




 不安になるようなことは聞かないぞ。




「まあ結局、私達は恋愛的な話とは縁がないということね。薫のゲームのアイディアは妄想の中から出していくしかないわ」




「何だよ、その残念な結末」




 




 その後の妄想の話は、本当にもう語るのも恥ずかしい内容だったのでカット。







 後日談。




 その後、薫とネット仲間はゲーム作りを本格的に始めたそうだ。ちなみに、ゲームのキャッチコピーは「若社長に貢ぎたくなる恋愛ゲーム」らしい。変な所がちゃっかり採用されちゃって困る。

心霊研究会の話が懐かしくなったら、また「あの空に捧げる回想録」編を読み返してみてくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ