表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんとチョコレート
200/221

僕としては嬉しいことなんだけどさ。



「やあ、白鳥さん。明日はついにバレンタインデーだね」




 と、唐突に烏丸君が話し掛けてきた。




「えっ、あっ、そうね。明日はバレンタインデーね。……あら、やけに嬉しそうね」




 高村君が言う所の「烏丸スマイル」がキラキラ度を増している。マクドナルドでスマイル百円として売ってもいいくらいだ。でも、作り笑いなのだろうけれど。




「あ、分かる? 実はね、嬉しいことに気付いちゃったんだよ」




「何?」




 いつもより馴れ馴れしい烏丸君に、若干の鬱陶しさを感じつつ、聞く。




「最近さ、高村君が白鳥さんの周りをうろつかなくなったんだよね。で、高村君に聞いてみた所『もう来なくていい』って言われたらしいんだよ。これはつまり、白鳥さんの方から、高村君を遠ざけているってことだよね。そして、高村君は心変わりが早いのか、白鳥さんのお友達の住吉さんと急に仲良くなり始めた……」




「よく見ているわね」




 人の気持ちが分からないと言っていた割には、烏丸君は人をよく観察している。いや、分からないから観察しているのかもしれない。




「まあね。……で、また住吉さんの恋愛の手伝いをしているんだろう? 住吉さんも意外と趣味が悪いね、高村君を好きになるなんて。でもまあ、それを機に白鳥さんと高村君が離れてくれるのは、僕としては嬉しいことなんだけどさ。住吉さんに感謝しないと、高村君なんかを好きになってくれて有難う、ってね」




 今日の烏丸君は、よく喋る。高村君のことはどう言おうと構いはしないけれど、双葉の好みをどうこう言われるのは癪に障る。




「ちょっと、あなたね……」




「それにさあ、白鳥さん」




 文句を言おうとした所で、烏丸君に遮られた。




「君から、最近いつもとは違う、何か甘い匂いがするんだよね。チョコレートみたいな感じの……」




 ……………………。




 普通に引いた、ドン引き。私の匂いが分かる? というか、それは怖い。怖過ぎる。




「じゃっ、明日、楽しみにしてるね」




 何を勘違いしたのだろうか、更に嬉しそうにして去っていく烏丸君。




 頭痛の種が、もう一つ増えた。







 その日の夜。つまりバレンタインデー前夜。




 運命の日を明日に控えた、というのは大袈裟過ぎるか、告白をするのは双葉であり、私はただ義理チョコをあげるだけなのだから。




 でもこれは一応、本番である。いつもより気合をいれるつもりでチョコクッキーを作る。




 完成。え、作る過程の描写? そんなものは省略よ、「巻き」の指示が来たのだから仕方なく、ね。




 では、味見をしましょう。




「……うん、悪くはないわね」




 悪くはないが、良くもない。




「まあ、いいか。どうせ高村君のだから」




 まあ、烏丸君にもあげるのだけれど。というか、あげないといけない様な気がする。

この辺の烏丸君は気持ち悪いですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ