いつか、きっと
次の日。
今日は、美月さんと真斗君とプラネタリウムに行く。
久しぶりのプラネタリウム。
何となく、行きたくなったのだ。
季節は秋。寒くも暑くもなく、丁度良い季節。
晴れやかな秋空の中、僕は集合場所の駅前に向かう。
途中、大きなお屋敷と、そこから出て来る見知った顔が見えた。
少し前まで会うのを避けていた人。
本当の友達が出来るまで、会ってはいけなかった人。
「白鳥さん」
懐かしい名前を呼ぶ。
「あら、久しぶりね、橘君」
彼女が振り返って、何事もないかのように僕を見る。
約二年半、全く会っていないのに、あの頃と何も変わらない口調であった。
「ちょっと、この人誰⁉」
「お前の知り合いか?」
白鳥さんの隣には、アイドルみたいな超イケメンと何処にでもいそうな普通の男子がいた。
何があったのか、言及はしない。
「友達が出来たんだ」
このことを伝えたかっただけだから。
「そう。私は下僕が出来たわ」
会話はそれだけだった。
きっと白鳥さんと一緒にいた人達には、何のことかさっぱり分からなかっただろう。
でも、それでいいのだと思う。
長い話は三人が揃ってから。
僕と、白鳥さんと、先輩。
離れていても、この空で繋がっている。
「……いつか、きっと」
晴れやかな秋空の下、僕はそっと呟いた。
二人は会えました。
さて、先輩は……?




