青春だねぇ
「宇宙~、明日が卒業式だって時にまで勉強することないんじゃない? いくら受験生だからってさぁ」
「やっとかないと不安になるんだよ。……でもまあ、今日はこのくらいで終わるけどね」
僕は問題集を閉じて、一息吐いた。
「でもさぁ、卒業式終わって即受験なんて大変だよねぇ。受験終わってから、卒業式やればいいのにねぇ」
全くその通りである。卒業してもまだ気は抜けない。
午後十時過ぎ。もう寝ようと部屋に向かった時だった。
「ピーンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。
「こんな時間に誰だろ……」
何となく直感で誰が来たのか分かった。
僕達の活動は、この時間帯に行われることが多かったから……。
「今日だけ限定、心霊研究会復活よ、橘君」
数十分後。
僕と白鳥さんはセバスチャンさんの車に乗って、学校へと向かっていた。
「で、何をするの?」
詳しいことは何も聞かされずに連れ出されたのだ。
父は「青春だねぇ」とか言って、止めもしなかった。
制服で来いということ、行き先が学校だということから、学校に泊り込むつもりだと予想出来た。恒例の徹夜だ。
受験が近いが、問題はない。大丈夫だという気がする。
「前に、先輩がグラウンドに自作のミステリーサークルを描いたことがあるじゃない? あれに似たことよ」
「ああ、あれか……」
覚えている。夜中に学校に忍び込んで、石灰で線を引いたのだ。体育の時にラインを引く機械を使って。
あの時も先生に怒られたが、あれはそんなに迷惑行為じゃないと思う。使った石灰だって、白鳥さんが新しいものを買ってくれたし。それに上から見ると、けっこう綺麗に描けていて、クラスメイトから賞賛の声を貰った。
「今回することは、黒魔術と超能力の融合よ。魔方陣の中でテレパシーを送るのよ、先輩に向けてね。言いたいことが山ほどあるのよ」
きっと白鳥さんだって、分かっているんだ。こんな馬鹿げたことをしても、先輩が戻って来る訳がない。
でも、このまま何もしないで卒業するのは嫌だったんだ。何かのケジメをつけたいんだ。
だったら、僕も最後まで付き合おう。
もうそろそろクライマックスです。
皆さんも最後まで付き合って下さると嬉しいです。




