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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
149/223

そんなもの、自分で考えろ

  ◆




 春休みは終わり、新学期になった。


 僕と白鳥さんは二年生に、先輩は三年生にそれぞれ進級した。クラス替えで、白鳥さんとクラスが分かれた。


 学年は上がっても、僕達は相変わらずだったけど。


「こんにちは、先輩。ついに受験生ですね」


「そうだな。君達は中だるみの時期か」


「……嫌な事を言わないで下さい」


「まあ、何はともあれ……」


 そう言って、手の中に飴玉を出現させた。先輩お得意のマジックである。


「今年度も宜しく頼むぞ」


 飴玉を差し出しながら言った。


「一年も経つと、さすがに見飽きたわね、そのマジック」


「あっ、そういえばまだ、そのトリックを教えてもらってないですよ」


 いつか教えてもらおうと思っていた。


「そんなもの、自分で考えろ」




 結局、最後までトリックは分からなかった。


 インターネットで調べたら負けたみたいになるので、それはしなかった。


 いつか、ふと思い付くかもしれないと思った。


 


 始業式から数週間が経った。


「今日は新入生の勧誘をする」


 先輩が突然言い出したのだ。


「いきなり何ですか。ていうか、そもそもこの同好会の存在自体、知られてないと思いますよ」


「だから、今日はポスターを作って来たのだ。悔しい事に、児島君の科学研究会にはもう二人も新入生が入ったそうだ。我々も負けてはおれん」


「何で科学研究会をライバル視してるんですか」


 科学と心霊は相容れないけれども。


「そこで、どうしたら新入生が我が研究会に入ってくれるかと、私なりに考えてみた」


 多分、ろくなアイデアじゃない。


「マスコットキャラを作ることにした。……最近はご当地ゆるキャラとかいうのが人気らしいからな。それに乗っかってみたのだ」


 ほらね。何で、そうなるんだが……。


「それで、マスコットキャラとやらは何処よ」


「このポスターの中に描いておいた」


 先輩は持っていたポスターを机の上に広げた。


「ほら、これだ。私が昨夜徹夜で考えた、その名も『心霊君』だ。どうだ、愛らしかろう、ゆる可愛いかろう」


 ポスターの下の方にイラストが描かれていた。魔法使いの帽子を被ったお化けが舌を出している。お世辞にも上手いとは言えない。ポスターの字は無駄に上手い分、ミスマッチ度が上がっている。


「……これが徹夜のクオリティですか」


「小学生の落書きって感じよね」


「何を言うか。児島君は中々良いと褒めてくれたぞ」


「……適当に言っただけでしょう」




 そのポスターは一学期の間、掲示板にずっと飾られていたが、効果は全く表れなかった。


 白鳥さんが新入生を(脅して)連れて来たことがあったが、その人達は一、二回で来なくなってしまった。


「やっぱり脅しは駄目だよ」


「全く、私がせっかく入れてあげたのに」


 本人は望んでなかったと思うけどね。


「人数が多過ぎても面倒だからな。実際、三人くらいが一番丁度良いのかもしれん」


「アニメで、キャラが多過ぎると上手くまとまらないみたいなこと?」


「まあ、そんなものだ」

心霊君を考えちゃう辺り、先輩はお茶目ですね。

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