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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
145/221

案外可愛らしい所もあるではないか

 白鳥さんが猫を拾ってきた。


 三毛猫のオス。


 冬の寒空の下、家の前でにゃあにゃあ鳴いていたそうだ。


「で、拾ってきてしまったという訳か」


 白鳥さんの家で、僕と先輩は事情を聞いた。


 猫は、ふかふかの絨毯の上で丸くなって寝ていた。


「しかし、意外だな。君が猫を拾って来るとは。案外可愛らしい所もあるではないか」


 白鳥さんが先輩を睨み、言った。


「私の使い魔にしようと思ったのよ。ほら、魔女がよく猫を連れているでしょう」


 魔女が連れているのは黒猫だよなあ……。


「私はてっきり、セバスチャン殿が使い魔も兼ねているとばかり思っていたぞ」


 セバスチャンさんは人ですが……。


「セバスチャンは、あくまで執事よ。使い魔は別」


 でも、使い魔にするのは一つ問題があるんだけどな。


 僕は、猫の首元に目をやった。


「その猫、首輪が付いてるよ。誰かに飼われているんじゃないの?」


 猫には、汚れているが赤い首輪が付いていた。


「だって、住所が掠れて読めないもの。もう私の猫にしても良いかしらと思ったのよ」


 いやいや、それは駄目だろう。


「飼い主だって探してるかもしれないよ?」


「大丈夫よ。セバスチャンは猫について詳しいから、ちゃんと世話をしてくれるわ」


 自分は世話しないんだね……。


「まあ、そう早まるな。元の飼い主が見つからなかった場合のみ、その猫を飼うのが妥当だろう。探してもいないうちから決めるのは早急過ぎる」


 こういう時、先輩は冷静だ。




 先輩の行動は素早く、次の日から元の飼い主探しを始めた。


 まず、「迷い猫、預かっております」というポスターを作った。猫の写真を貼り、特徴、連絡先(青山東中学・鷲羽真琴)を書いた。先輩の手描きである。


「……先輩って、字上手いですよね」


「そうか? 特に気を使ってはおらんがな」


 字の上手い人って、無意識で上手い字が書けるのかな。


「連絡先、何で白鳥さんじゃないんですか?」


 猫は白鳥さんの家にいるのに。


「彼女は猫をもう自分のものだと思っている節があるだろう。連絡が来ても無視するぞ、きっと」


 白鳥さんは飼い主探しに消極的だ。ポスター作りにも参加せず、一人で帰ってしまった。飼い主が見つからないことを願っているのかもしれない。


「まさか、白鳥後輩は猫に名前を付けてはいまいな?」


「さあ、どうでしょう。聞いてないです」


「名前を付けると愛着が湧いてしまうからな。なるべく早いうちに飼い主を見つけねばなるまい。期間が短い方が傷も浅い」

三毛猫のオスはかなり珍しいそうですね。

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