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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
136/221

いや、友達じゃなくて

 ◆




「えっ、宇宙が家に友達を連れて来るの?」


「いや、友達じゃなくて同じ同好会の人たち」


 六月の中旬。


 この日は僕の誕生日の三日前だった。


「宇宙が友達を家に呼ぶなんて、考えてみれば初めてのことだよね。いやぁ、嬉しいなぁ」


 何故、こんなことになっているのか。


 そもそもの発端は、僕が軽はずみにもうすぐ誕生日だと先輩に教えてしまったことにある。「では、橘後輩の家で誕生日会を開こう」と先輩が提案し、白鳥さんがそれに乗っかり、いつの間にか話がまとまってしまった。


「だから、友達じゃないって。それに仕事があるでしょ。『親御さんの都合が悪いのなら諦める』って先輩も言ってたし。断っても大丈夫だよ」


 出来れば、あの二人と父を会わせたくない。会話が噛み合いっこないことは目に見えている。


「仕事? 大丈夫、大丈夫。即行で終わらせてケーキ買って帰って来るよ。あっ、料理も作らなきゃね。その日はご馳走だー」


 余程嬉しいらしく、父はくるくると回っている。


 これが、三十代後半のサラリーマンのすることかと疑いたくなる。


 僕は大きく溜息を吐いた。




 あっという間に三日は過ぎ、僕の誕生日になった。


 父は朝から張り切っていたし、先輩も楽しそうにしている。白鳥さんは普段通りだ。


 僕の家へは学校から直接行くことになっており、現在三人で家に向かっている。


 途中、先輩がコンビニに寄り僕の誕生日プレゼントのケーキを買い、そのまますぐにくれた。ラッピングなどがない所が先輩らしい。


「私も自宅に寄って良いかしら。橘君にプレゼントを用意しているから」


 意外だった。白鳥さんが僕にプレゼントを用意しているなんて。


「何よ、その顔は。もっと嬉しそうにしなさいよ」


「ご、ごめん。……プレゼントありがとう」


 プレゼント貰えるのは嬉しいのだけど、普段無愛想で冷めている所為で上手く笑えないのだ。


「まだあげてないわよ。お礼はその時まで取っておきなさいな」

宇宙君の誕生日は作者の誕生日と同じ6月14日です。

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