仏像オタクが居るらしいぞ
次の日。
僕のクラスはある噂で持切りだった。
「心霊研究会」なる謎の同好会が発足されたらしい。
あのポスターが貼られた翌日から少し話題にはなっていたが、何故か今日、爆発的に広まったらしい。
「なあ、お前知ってるか? 心霊研究会って。何でも、超能力者と黒魔導師、それに仏像オタクが居るらしいぞ」
北野君に話し掛けられた時は焦った。というか、仏像オタクって僕のことか。
「えっと、変な同好会だよね。何するんだろうね」
と言って、誤魔化した。
もし、そこで「僕、実はその同好会に入ってるんだ」などと言ったら、変人とランク付けされて、クラスで浮くことになってしまう。……白鳥さんの様に。
北野君が他の人の所に行った後、白鳥さんがボソッと呟いた。冷たい声だった。
「橘君って、意外と世間体を気にするタイプなのね」
「…………」
返す言葉は見つからなかった。
僕はただ、平和な学校生活が送れればそれで良かった。同好会でも、目立つ活動はしたくない。ひっそりとしていたかった。
しかし、僕の儚い希望は一瞬にして砕け散ったのだ。
帰りのホームルーム後すぐ、その時はやって来た。
「心霊研究会の白鳥後輩及び橘後輩はいるかね」
鷲羽先輩が僕たちのクラスに来襲したのだ。
これで、僕たちが心霊研究会に入っているということが、クラス皆にバレてしまった。
全く何て事してくれるんだ、あの人は!
白鳥さんは平然としているけれど、僕はもう恥ずかしくて教室を走って飛び出した。
「何だよ、入ってたんじゃねえか」という声が聞こえた気がした。
宇宙君の静かな学園生活は終わりを告げました。




