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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
131/221

粋な名前だな

 そして、訳が分からないまま放課後になってしまった。


「ここよ」


 白鳥さんに連れて来られたのは、あるポスターの前だった。


『心霊研究会』


 まさか、これ?


「二年五組、……ワシハネマコト?」


「それでワシュウと読むのよ」


「へえ、珍しい苗字だね。……って、それよりも僕は、心霊とかにはあまり興味なくて……」


 そもそも何で僕が連れて来られたのか。


「だって、あなた仏像が好きなのでしょう? 教室の後ろに掲示してある自己紹介カードに書いてあったわ。好きなものの欄に、仏像って。他の男子がゲームなどと書いてある中、あなただけ異彩を放っていたわよ」


 う、それは……。僕も薄々感付いていたことだが、どうも周りと趣味が合わないのだ。お小遣いはゲームに使わずに、歴史関係の本代とか奈良・京都への旅行代の貯蓄に充てていると、同級生に話したらドン引きされた。


「でも、何で仏像と心霊が結び付くの?」


 僕が好きなのは普通の仏像だ、曰く付きのではなく。


「仏像=スピリチュアルだから」


「それも心霊に入っちゃうんだ……」


「入っちゃうのよ」


 そうだったのか……。


「それにあなた、他に興味ある部活あるの?」


 仏像=スピリチュアル=心霊なら、この同好会が僕にとって最適かもしれない。


「……ない、けど」


「フィールドワークとして仏像鑑賞に行くかもしれないわね、京都とか奈良に」


「入ります、心霊研究会に入らせて頂きます!」


 僕、瞬殺。迷いが一瞬で消えた。


 そして、僕がそう言ったのと同時に……。


「そうだ、その言葉を待っていたぞ!」


 柱の影から人が出て来て、いきなり僕の手を掴んだ。


 その人物は満面の笑みを浮かべながら、言葉を続けた。


「私は鷲羽真琴、超能力者だ。まず、君が我が同好会もとい研究会に入ってくれたことに礼を言うべきだな、有難う。さて、君たちが入ってくれたお陰で、私もやっと堂々と活動が出来るというものだ。いやあ、楽しみだなあ、実に楽しみだ」


 今、どういう状況なんだ。というか、この人は一体何者なんだ。先生か、いやでも学ラン着てるし。え、もしかして二年五組のワシハネ違ったワシュウマコト? ってことは中学生、この顔で⁉ どう見たって二十過ぎてるでしょ。


 それに何か重大なことを忘れているような……。


「……って、超能力者?」


「如何にも」


「ちなみに、私は黒魔導師よ」


「それは知ってる」


 ていうか、超能力とか黒魔術とか、有り得ない。


 きっと適当言ってるだけか、妄想だ。何て言うんだっけ? 確か、何とか病。


 僕、この二人と上手くやっていく自信全く無いんだけど。断るなら今しか……。


「あの、僕……」


「仏像鑑賞、フィールドワークで奈良京都」


「うぅ……」


 白鳥さんが僕の心を読んだかの様に、脱退を阻む言葉をぶつけて来た。


「では、君の名前を聞こうか、新入部員よ」


 戸惑う僕を気にもしないで、鷲羽先輩は言う。


「……橘宇宙。……宇宙って書いて、ソラと読みます」


「ほう、宇宙か。それは中々、粋な名前だな」


 粋……。褒めてるのかな。


「では二人とも、これから宜しく頼む」


 大丈夫かな、僕……。




 結果、大丈夫じゃなかった。


 予想通りというか、普通の中学校生活は送れなかった。


 特に、鷲羽真琴の居た二年間は酷かった……。

奈良京都の仏像が見たい宇宙君。

瞬殺でした。

これで3人揃いましたので同好会として認められます。

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