表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
129/221

これくらい常識だよ

作業は簡単で、すぐに終わった。


「心霊研究会?」


 ポスターにはシンプルに黒ペン一色で、こう書かれていた。しかも手書きで、中々の達筆だ。


『心霊研究会 部員募集中  入部希望者は、二年五組 鷲羽真琴まで』


「どうだね、もし興味があったら是非入ってくれんか。何しろ部員が足りなくて、未だ同好会としても認められていないのだ」


 興味がある所ではない。私の専門分野だ。


「一九二五年、イギリスの探検家ミッチェル・ヘッジスがマヤの古代都市遺跡で発見したものは何?」


「クリスタル・スカルだろう。何、これくらい常識だよ」


 間髪入れずに答えを返してきた。それなりに知識はあるらしい。


 その後、彼を試すつもりで幾つか質問をしたが、どの問いにも正確に答えた。


 少し、驚いた。中学生にしては上出来だ。


「いいわ、あなたの同好会に入ってあげるわ。何しろこの私は黒魔導師よ。この道のプロフェッショナルよ」


「ほう……」


 一瞬驚いたようだが、すぐに満面の笑みで言った。


「そうか。ならば私は超能力者だ」


 ならば?


「そういえば、まだ君の名前を聞いてはいなかったな。先輩後輩という仲になるのだ、名前を知らねばな」


「白鳥美和子よ」


「そうか。これから宜しく頼むぞ、白鳥後輩」


「し、白鳥後輩?」


 先輩には先輩と付けるが、後輩に後輩と付けるだろうか……。


「後輩を後輩と呼んで、何が悪い」


「う……」


 確かに、そう言われるとそうだけれど。


「しかしな、まだ一つ問題がある。我が校には部員が最低三人はいないと同好会とは認めない、という鉄の掟があるのだ。あと一人を何としてでも見つけたい。私の方でも当たってみるが、君も探してみてくれぬか?」 


 部員候補の心当たりは大有りだった。


「ええ、分かったわ」


 


 こうして私は心霊研究会に入部し、鷲羽真琴は私の先輩となったのだった。



後輩を後輩と呼んで何が悪い!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ