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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
あの空に捧げる回想録
125/224

僕のことなんて知らないだろうけど

 中学校に入学して二週間が過ぎた。


 そろそろ、どの部活に入るかを決める時期である。


 運動は苦手で芸術的才能も無い僕は、部活動への興味が持てなかった。


 帰宅部に入りたいのだが、担任が許可してくれない。


 仕方なく、一番楽そうなコンピュータ部にしようかと思っていた。


 彼女が登校してきたのは、そんな時だった……。




 こんな話がある。


 宇宙人が地球視察のために、自分の星の住人をエージェントとして送り込むのだ。既存の地球人そっくりに手術をして。勿論、既存の地球人は始末される。


 だから、ある日突然、友達が変な行動を取るようになったり、性格が別人になったとしたら、それは宇宙人かもしれないね、と父が話していた。


 これを聞いた当初は、そんなバカなことがあるものかと思っていた。


 しかし今、僕はその話が本当かもしれないという恐怖を感じている。


 あだ名が「ウチュウジン」といっても「本物」と仲良くなれるはずがない。


 僕の隣に宇宙人……。


 白鳥美和子は宇宙人……。


 そうでなければ、なぜこうも性格や表情が変わっているのか。


 まるで、別人だ。


 小学校の頃の白鳥さんは、明るくて、よく笑って、友達も多かった。


 人を寄せ付けない雰囲気なんて無かった。


 こんな不機嫌そうな顔ではなかった。


 少なくとも、学校に来て一時間でクラスから浮くような子ではなかった。


 そして「黒魔導師」ではなかった。


 彼女は、自分は黒魔導師だと名乗ったのだ。


 宇宙人か黒魔導師か。……どちらも厄介である。


 なるべくなら関わりたくない。


 関わりたくはないのだけれど……。


「あなた、宇宙って書いてソラと読むの? まさか、そのままウチュウとは読まないわよね」


 話し掛けられてしまった。


しかも読み方、合ってるし……。


「……あ、うん、そう。……えっと、僕の名前は橘宇宙。僕のことなんて知らないだろうけど、君と同じ東山小出身で……」


 無視するのは駄目だと思ったので、とりあえず自己紹介をすることにした。


 白鳥さんは、そんな僕をジトーっとした目で見ていた。


「……まあ、一年宜しく」


「あ、そう」


 僕なんかどうでもよいというような口振りだ。初対面の人に向かって、その態度はないだろう。


 いくら冷めた性格の僕だって、ここまで酷くはない。


 少しムッとした気持ちで、僕は読みかけの本に目を落とした。


 彼女がこの時、僕をどう思ったのかは分からない。


 でも、僕の彼女に対する印象は「嫌な人」であった。

黒魔導師白鳥さんはツンツンしてます。

すぐクラスで浮いてしまいます……。

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