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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
114/221

通りすがりの正義の味方ですよ。



 裁判所は貸切だった。




 おい、これ、市の建物だぞ。いいのか……。




 そう思いながらも、おれは傍聴席に座る。




 薫も隣に腰掛ける。




「わいら傍聴席やから、裁判に手は出せへんね。美和子は上手いとこやってくれはる思うけど」




 今回、白鳥におれ達の助けは必要ない。




 セバスチャンが白鳥の補佐をしている。




 下僕のおれは、御主人様の勇姿を見守るだけだ。






「今回の裁判は正式なものではありません。だから、弁護士も検察官も裁判長もいません。……あなたの罪を糾弾するためだけの法廷です、烏丸冷奈さん」




 カラスマレイナ……。烏丸の母親の名前だ。




「……あなた、何者なの? いきなりこんな所に呼び出して。凛に頼まれたの?」




 烏丸母は、イライラしているような口調だ。




「通りすがりの正義の味方ですよ。ちなみに、今回の件は、私が勝手に捜査しました。烏丸君は頼んでません。……むしろ、余計な御節介だったのかもしれません」




 正義の味方って……。自分で言うな。




「烏丸冷奈さん、あなた、烏丸君が学校でどのように過ごしているか知っていますか? 学校だけじゃない。ホストとして彼がどんな気持ちで働いていたか、引き篭もっていたとき何を考えていたか、彼の本当の気持ちが分かりますか?」




 烏丸は、成績優秀、スポーツ万能、品行方正で学校中の人気者だ。




 しかし、それは全て烏丸の演技。




 完璧な「烏丸凛」を演じていたのだ。




 精巧な仮面を被って……。




「そんなの、知らないわよ。あの子とは、まともに話をしたことがないんだもの」




 自分の子どもとまともに話したことがないなんて。




「あなたが話そうとしなかっただけではないですか?」




 自分のことばかりで、子どもを見ようともしない。




「何で、子どもと話さなきゃいけないのよ。ちゃんと、八神に世話させてたんだから、いいじゃない」




 自分の子どもだろ。




「あなた、自分の子どもに愛情を感じたことはありますか? 子どもはあなたの道具ではありません。……烏丸君の双子の兄には存在すらも認めてあげなかったじゃないですか。彼が自殺した時、あなたはどう思いましたか?」




「……そんなの、アイツが勝手に死んだだけじゃない」




 平然と答える。最低だ




 その言葉を聞いた白鳥が、明らかに嫌悪の表情を示した。

烏丸君の母親は私が思いつく限りの酷い親にしました。

ごめんね、烏丸君。

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