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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
109/224

無表情

 ◆






 ああ、僕はまた、同じ過ちを犯そうとしている。




 こんなことしても、何の解決にもならないんだよ。




 お願いだ、止めてくれ、兄さん!



            ◇




 おれと烏丸は地下室に続く階段の前に立っていた。




 ここから落ちて、白鳥は骨折したんだよな。




 烏丸に押されて……。




 いや、烏丸に取り憑いた霊に突き落とされて……。




 一人は手術室、あとの二人は地下室。




 この状況は、前と同じなんじゃないのか。




 でも……。




「あのさ、からす……」




 そう言って、振り返ろうとした時、冷たい声がおれの声の上に覆い被さった。




「何をしてるん?」




 普段の声とは別人のような冷たい声。




 前に一度だけ、聞いたことがある。




「……薫?」




 薫が烏丸の手を握っていて……。




 いや、違う。




 薫は、おれの背中を押そうとしていた烏丸の手を止めていたのだ。




 そして、もっと驚いたのが、その時の烏丸の表情だった。




 何の感情も感じられない、虚ろな目。




 本当に、無表情であった。




「……か、烏丸?」




 一体、どうしたんだ? 




「も、もしかして、霊に取り憑かれたのか? でも、白鳥の祖母さんのお守りが……」




「そのお守り、凛のだけは偽物なんや」




「って、どういうことだよっ!? だって、烏丸が取り憑かれないようにするためのお守りだろ?」




「逆や。凛には霊に取り憑いてもらう。凛の中に居る『兄さん』ちゅう奴にな」




「な、何言ってんだよ。兄さんって……」




「わいは、美和子に言われた通りにやっただけやさかい、詳しいことは凛本人に聞け、言うとったで」




「つまり、白鳥がこうなるように仕組んだってことかよ」




 薫が無言で頷く。




 おれだと、顔に出て簡単にバレるからか……。




「……このことも知られちゃうなんてね」




 烏丸が言う、悲しそうな笑顔で。

「兄さん」とはどういうことなのでしょうか?

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