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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
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 探検開始や~



 数日後、午前の補講が終わり、白鳥の病室にて。




「はあ? また、あそこに行くのかよ?」




 白鳥からの指令が下っていた。




「前は、中途半端で終わってしまったじゃない。だから、今度は、高村君、烏丸君、薫の三人で行くのよ。勿論、セバスチャンも同行させて構わないわよ」




 あの廃病院にもう一度行けと言っているのだ。




 烏丸が取り憑かれ、白鳥が骨折し、おれがビビリまくっていた、あの廃病院である。




 いい思い出は一つもない。出来ることなら、もう二度と行きたくない。




「何よ、私の命令が聞けないっていうの?」




 女王様め……。




「分かったよ、行けばいいんだろ、行けば」






 その夜、というか深夜。




 次の日も補講だってのに、白鳥はお構いなしだ。




 廃病院は、今日も不気味だった。




「お~、何か出そうな雰囲気やね。ちょっと、ワクワクするわ~」




「お前何でそんなに楽しそうなんだよ。おかしいぞ、これは、ゲームじゃねえんだぞ」




「ゾンビ倒す系のゲーム感覚でおるわ」




「その割には武器も何もねえけどな」




「では、私は車で待っておりますので。お気をつけて、いってらっしゃいませ」




「何で、いつも車内待機なんだよ、セバスチャン」




 もしかして、怖がりなのか。実は、今、ポーカーフェイスしてんじゃないか。




「美和子様の指示ですので」




「はあ、白鳥の?」




「ええ」




 何だか釈然としなかったが、仕方ない。




「どうしたんだい、高村君? 早く行こうよ」




「そやで。呪われた廃病院、探検開始や~」




 薫がおれの腕をグイグイと引っ張っていく。




「ちょ、止めろ。ま、まだ心の準備が……」






「ここで、百物語とかしたら楽しそうやね」




 こんな所でも、爽やか笑顔だ。




 ていうか、それはマジで止めろ。怖過ぎる。




「でも、百物語は変な霊を呼ぶともいうよ。止めた方が良いと思うな」




「そうだぞ、烏丸がまた取り憑かれたら、どうすんだよ。霊媒体質なんだぞ、烏丸は」




「え~、でも今回は霊除けのお守り持ってるから、大丈夫なんと違う?」




 そう、おれ達三人は白鳥から霊除けのお守りをもらっているのだ。




 しかも、本物の魔導師であるという白鳥の祖母作。




 効果は絶大なはずである。




「こんな話があるんやけど。ある病院に一人の医者が居ってな。それなりに腕のある医者やったんやと。ある日、緊急で患者が運ばれて来たんや。それで、ちょうど、その医者が当直やったんで、緊急オペをすることになった。患者は出血多量で、危ない状況だったんよ。そりゃもう、血だらけやったって。その医者は、何とか助けようとしたんやけど、ダメやった。患者は亡くなってしもたんよ。で、患者の血がな、壁に付いてしもて、医者が拭いても拭いても、血は取れへんかったんよ。……で、その後、手術に失敗したことが頭から離れんようになった医者は、とうとうノイローゼみたいにおかしくなってしもた。それから、医者はすぐに自殺して、今も何処かで霊となって彷徨っているんやと。……そういえば、あそこにある赤いシミも取れへんかったみたいやね」




「や、止めろよ。あんなん血じゃねえよ、多分」




「でも、ここは手術室やね」




 ていうか、何でこういう時に(以下略)を使わないんだよ。語りまくってんじゃねえよ。




「そういえば、さっきから、メスを持った医者が高村君の方をジーっと見てるけど」




 烏丸がおれの耳元で囁いた。




「うわああああ」




 またもや、情けなく悲鳴を上げるおれ。




「ご、ごめんね。冗談だよ。……あっ、でも霊はいるみたい」




「やっぱ、何かいるんじゃねえか~」




 ビビリまくるおれ。




「えっ、この部屋に霊おるん?」




「うん」




「じゃあ、わいがここでカメラ回してるから、二人で地下室の方行っとってええで。わい、ここで、霊と睨めっこしてはるから」




「何で、お前そんなに楽しそうなんだよ!」




「ここは逢坂君に任せて。ほら、行くよ、高村君」

薫は怖い系の映画を笑って観られるタイプです。

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