表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
106/223

この天才肌供が



 次の日、補講の帰りに白鳥の病室に行った。




 烏丸も一緒だ。




 気が利く烏丸は、お見舞いとしてケーキを買っていた。




 また、比べられるんだろうなと思いつつ、病室のドアを開ける。




 そこには、セバスチャンともう一人、おれのよく知っている奴もいた。




「おっ、久しぶりやん、秀」




 ここで、やっと逢坂薫の登場である。




「ホンマ、待ちくたびれたで~。20話くらい待っとったんよ、わい」




「待たせて、すまんかったな」




「えーっと、彼は?」




 烏丸は薫とは初対面である。




「私の従兄妹よ。大阪に住んでいるの」




「わい、逢坂薫いうんよ。逢坂の関の逢坂に、『源氏物語』の宇治十帖の主役の薫と同じ字の薫や」




「僕は、烏丸凛だよ。よろしくね、逢坂君」




 烏丸はメモ用紙に「烏丸凛」と書いて、薫に渡した。




「よろしゅうな、凛。……字、上手いやん」




 生徒会書記を二期連続で務めてるからな。




「平安京の烏丸小路の烏丸に、凛然の凛か。ええ名前やね。凛って書くと少し女っぽいんやけど。まぁ、わいも人のことは言えへんけどな」




 凛も薫も女子っぽい名前だしな。




「そういえば、お前のとこは補講とかないのか?」




 おれ達の学校は進学校なので、全員強制補講である。




「ああ、補講はないよ。わいは数学の特別補習があるけどな」




「特別補習って?」




「数学で1が付いた人らが受ける補習や。でも、美和子が入院したって聞いて、補習どころじゃあらへん思うて、サボって来たんよ」




「……サボるなよ」




「先生にはちゃんと言うたんよ、従兄妹の見舞い行くから補習サボるて。そしたらな、先生、数学の補習プリント二十枚もくれはったんよ。こんなに貰うても、わい、やらへんのになぁ」




「やれよ。そんなんだから、1が付くんだ」




 プリントを見ると、平方根とか因数分解とか二次関数とか、中学の復習みたいなのだった。




「お前、よく高校受かったな」




「わい、推薦入試やったから。面接だけで受かったんよ」




「私は推薦ではなかったけれど、特に勉強することなく、高校に受かったわよ」




「僕も、あまり勉強はしなかったな」




「……この天才肌供が」




 おれなんか、一日十時間勉強した日とかあったぞ。




「薫、あなた、烏丸君に数学を教えてもらったらどう? どうせ、何日か泊まる予定でいるのでしょう」




「そのつもりやで」




 今度は薫がホームステイだ。




「では、高村君も含め、三人で勉強合宿でもすればいいわ。私の家の空き部屋を貸してあげるわよ」

数学アレルギーな薫に先生も手を焼いています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ