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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
103/221

超天才型め。

   ◆



 カラスは漢字で「烏」と書く。




 鳥という字とよく似ているが、一本足りない。




 カラスは鳥として、何かが欠けているのではないか?




 僕もカラスと同じで、人間として何かが欠けているのではないか?






 彼女は白い。




 自分に自信を持っており、正義を掲げる。




 僕は偽物だが、彼女は本物だ。




 本当に、清らかで美しい。




 




 ハクチョウは白くて、美しい。




 カラスは黒くて、汚らわしい。




 どうして、こうも違うのか?




 僕がどんなに、白く見せようと化粧をしても、元の黒さは変わらない。




 仮面をどんなに被っても、僕の本質は変わらない。






 彼女の白さが妬ましい。




 雪のように白い肌も、聡明な瞳も、輝くような本物の美貌も、正義の心も、妬ましい。




 彼女の全てが、妬ましい……。


               ◇


「僕、実は幽霊が見えるんだ」




 いきなりのカミングアウトだ。




 明日が終業式という日の帰り道、烏丸が突然、言った。




「はあ、いきなり何だよ?」




「だから、僕、実は幽霊が見えるんだよ」




「幽霊が……、見えるう?」




「君たちは恋愛相談よりも、本当は心霊相談を求めてるんだよね? だったら、僕が力になれると思うんだ。……僕を救ってくれた恩返しのつもりなんだけどな。ダメかな、白鳥さん?」




 白鳥を懇願の眼差しで見詰める烏丸。 




「……本当に見えるのね?」




 念押しだ。




「うん。今まで、誰にも言えなかったんだけどね。君たちに秘密は無しかなと思って」




 あの秘密に比べれば、軽いもんだしな。




「……分かったわ、烏丸君。心霊相談の時は宜しくね」




 恋愛相談も手伝うのは無理だ。




 だって、本人目の前だしということになる。




「僕も、白鳥さんの下僕ってことでいいよ」




「えっ、いいのかよ⁉」




 烏丸、もしかしてドMなんじゃねえの?




「あなたを下僕に使うなんて出来ないわ。立場的には、私の同僚で良いわ」




 おれは平気で扱き使えるのか。




「わー、ありがとう、白鳥さん」




 烏丸は少し大げさに喜んだ。




「で、幽霊が見えるというあなたから見て、近場の心霊スポットは何処かしら?」




 少し考えてから、烏丸は言う。




「駅前から少し離れた、人通りのほとんどない所にある廃病院なんてどうかな?」




「目の付け所がいいわね、烏丸君。私もいつかまた調査に行こうと思っていたのよ。……そうだ、早速、今日行きましょう」




「今日? いきなり過ぎだろ。明日も学校あるし」




 昨日はホストクラブ潜入で、ほぼ徹夜だったから、今日はゆっくり寝ようと思っていたのに。




「なんとなく行きたい気分なのよ。それに、どうせ明日は終業式と掃除くらいしかないわよ」




「あと、通知表も返って来るね」




 烏丸が嫌なことを思い出させる。




「どうせ、お前はオール5だろ」




「さあ、どうだろうね」




 余裕の笑みだ。




「そういえば、烏丸君。あなた、夜はホストクラブで働いていたのに、よく勉強する時間が取れたわね。特別な記憶術でも使っていたのかしら?」




「そういやそうだ。どんな勉強法をしているんだ?」




「特に何もしていないよ。宿題だけはやったけど」




「予習は?」




「予習なんかしなくても、ほとんど答えられるから。僕、物覚えはいいから、特に勉強しなくてもテストはそれなりに取れるみたいなんだ」




「くそっ、超天才型め。おれなんか、勉強しても点取れねえんだぞ!」




 こんな奴が学年トップクラスかよ。




 白鳥も、烏丸の「僕、勉強してないよ」発言にショックを受けたのだろう。




 白鳥も勉強しなくてもそこそこ点が取れる天才型なのだが、さすがにテスト週間には勉強していた。




 同じ天才型でも、烏丸の方が格上ということだ。




勉強しなくても良い点が取れる烏丸君。

羨ましい限りです。

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