表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

洞窟に住居

衣食住の目途がつくのか与平。さらにこの孤島を探検する。

砂浜から飛び、草原の台地に降りる。


海側に暫く進むと、岩場に押し寄せる波の飛沫が見えて来た。飛沫の向こうは深緑の深い海の色。

周囲の海の中は崖のように切り立っていて、この島だけが垂直に伸びている気がする。海底火山の爆発でできた島かとも思ったが、島には溶岩は見当たらない。不思議な島だ。



飛沫の無い場所が確かにある。しかも岩場が切れている。

岩場に降りて先端に向かう。


あった。岩場の間に飛沫のない場所が。

両手両足を使って岩場を辿る。慎重に岩場の切れ目まで行き覗き込む。

中が暗くて良く見えないが奥まで続いている。


洞窟の続く方向を見定めて、台地に戻り、林の方角に向かう。



台地の表面はなだらかで起伏は少ない。台地から林の手前まで下ると、

予想した通り、下り坂の途中が一部途切れている箇所がある。

その下に洞窟があった。やはり、通じていた。

まさに、人工的に作られたのかもしれない。わくわくとする一方、不安もある。



林の手前に回り込み、用心しながら洞窟の中に入る。

洞窟の中は真っ暗で、進むのを躊躇うほどだ。

しかし、中に入って行くと壁が薄明るく、歩くのに支障がない。


さらに歩を進めて行くと、前方の奥が明るく光っている。

ちゃぷちゃぷと波の音も聞こえて来た。

何と洞窟内に岸壁があった。



洞窟の左側が急に開けて水路となり、奥は海に繋がり、日差しが見える。

水路の中程はかなり広くなっており、中央に波けしのためか岩が積み上げられ、打ち寄せる波を受け止めている。船は波けし岩を迂回してこの岸壁に接岸するのだろう。良く出来ている。


水路の右側は、岩が平らに積み上げられてまさに岸壁である。

小舟、いや中型船までならば、余裕で着岸できるだろう。

まさに人工の岸壁だ。


故郷の漁港も石を巧みに積み重ねて作ってあったが、この岸壁も引けを取らない。



右手をみると薄暗い中に何かがある。な、なんと家があるではないか。

待望の住処だ。人気はない。

岩を積んで平らにした基礎の上に木造の家が建っている。

屋根に瓦はない。

洞穴に雨は降らないから、必要かと言われれば必要ない。



岸壁から岩で組んだ階段を下りて、右奥に進み、階段を上がり、扉を叩いて暫く待つが返答はない。

あるとは思ってはいなかったが、それでも胸をなでおろす。

扉を開けると、ギィーと音がして開いた。蝶番が錆びている。

中は暗い。



『質問』に聞いた。

「照明が欲しい。」

― 生活魔術の明かりを使ってください。他に、清掃術の浄化、飲料用の水、着火用の火を使うことが出来ます。やれやれ素人が。失礼しました-



明かりと呟くと、天井に明かりが灯り、家の中が明るくなった。

テーブルに椅子、右奥に薪を燃やした後が残る竈があった。

正面、奥にもう一部屋あり寝室のようだ。


長く使われていなかったのか、埃が凄い。

浄化と呟く。



家の中の埃が消え、雑巾で拭いたように綺麗になった。

何かが頬を伝う。涙か。

1昨日は恐怖の1日を過ごしたが、今日は食べ物と住処を見つけた。魔術も質問の助言があれば何とかなりそうである。何とかこの島で生きる目途がついた。張り詰めた気持ちが緩むのは当たり前かもしれない。


寝室に入り、浄化と呟いた途端ベッドに倒れ込んだ。

眠いのは魔力切れではなく体力消耗だ。お休み。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ