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登頂

島の全容を目の前にします。どうするのか、与平。

薮が開けた場所を探して歩く。


今大事なのは、巨大な殺意が迫る前に移動することだ。


前後左右を見て進む。土砂崩れが起きたのか、黄色い土が薮を押し流している場所があった。運が向いてきた。




小半時ばかり、黄土の上をがむしゃらに進むと、山頂と言うより小高い丘のような頂上が遠くに見えて来た。


あそこなら周囲を見通せる。


小袖に羽織姿の与平は腰を下ろし、脱いだ羽織を腰に縛りつけてから歩き出した。




やっと中腹に着いて、そこから丘を見上げる。そこからの登りは、さらに傾斜が急で這うように進むことになりそうだ。だが、疲れはない。


振り返ると、丘を中心に裾野が広がっている。瓦礫のない粘土質の土壌で落石はないようだ。




履いている草履を締め直し、もう少しだと己を鼓舞しながら這い登ろうと見上げた時、視界が突然変わった。青空が見える。


丘に向けて踏み出そうとした途端、頂上に着いていた。




- 頂上に転移しました。楽出来て良かったろう。失礼しました-




「転移なのか? これで2度目だ。見える範囲には転移できそうだ。光の精霊に出来ないことはないというのは本当なのかもしれない。」




ふと考える。精霊王は何故、この地を選んだのだろう。たまたま見つけた場所に転移させたとは思えない。あの理知的存在がそんなことをするはずがない。何か理由があるに違いない。直観なのだが、この場所と精霊王との間には何かしらの繋がりがある。




丘の頂上から見える東側の景色は圧巻だった。


紺碧の海に、白い砂浜。沖の岩場に砕け散る白波。雲一つない真っ青な空に朝日が海の地平線から出て来た。全てが輝いている。心が揺さぶられる美しさである。暫く、見とれる。




周囲を見回す。驚きだった。


四方八方、何処を見ても周囲は海だった。


海の向こうも海で、陸地は見えない。完璧な孤島だ。


愕然とする。これだけの絶海の孤島は知らない。


故郷にも多くの島があったが、陸地が見えないという事はなかった。




朝日が昇る海岸線を見てゆくと、砂浜の両側が台地で、台地の突端には波が打ち寄せ砕け散っている。こちらは陽が昇るのだから東になる。


砂浜は入り江の中にあり、沖合の岩場には白波が立っている。


入り江の中は穏やかだ。


後ろを振り向くと下った先に草原が続いており、その先は切り立っているようだ。断崖かもしれない。こちらは西になる。




視線を東に戻し砂浜を眺める。


砂浜の右側の台地の突端、その岩場の中央部に違和感がある。


そこだけ波飛沫がない。


人の手が入ったのか、人工物があるのか。


それだけでもうれしい。何しろ何の手がかりもないのだから。


超巨大白蛇が近づいている。




その気配を避けて、砂浜を目指して丘を下ることにした。


立ち上がり頂上から急峻な下りを下り始めた途端、体が浮いた。慌てて手足を振ったが落ちない。ゆっくりと砂浜のある方角に向かうことにする。




進むのを止めようと思ったら、空中で停止した。


空を飛べたのだ。飛ぶことは人の夢だ。嬉しい。楽しい。


光の精霊の力は途方もない。




眼下に広がる景色を眺める。壮大な眺めに気が昂る。


超巨大白蛇の気配がなくなった。突然空を飛んだので、見失ったのかもしれない。


この孤島は意外に大きい。転移と飛翔でかなりの距離を動いたので時間はかかっていないが、歩けば丸1日や2日はかかっていただろう。




暫く留まった後、前進し林の前に来ると、ゆっくりと降下した。


あっという間だった。




そのまま、丘の上から見えた砂浜の方向に歩いて向かう。飛ぼうと思えば飛べるがもっとこの島を知りたい。周囲の気配を探りながら、林の中を暫く歩く。




林の中を下って行くと、地面は少しずつなだらかになり、土に砂が混じるようになってきた。海岸線が近いのか。


期待が膨らみ、急ぎ足になる。


気を引き締めようと思ったその時、2つの大きな気配、強い魔力に気づいた。




超巨大白蛇との遭遇の時とは違う、殺気と殺気がぶつかり合っている。



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