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懲罰の結果

邪神の使徒を片付けなければならない。まだまだだ。

与平はアーリエント王国王宮の上空に魔導船を浮遊固定させた。相手からは見えないよう隠蔽している。

魔導拡声器を使って、国王に話かける。



「隣国、ガーランド国の避難民を国境に押し込め、餓死させようとしたのは何故だ。私は光の精霊である。答えよ。答えなければ、王国を潰す。」

1時間待ったが、返事が無い。



王宮の庭園に強い光が落ち、庭園が消えた。

「答えがないのは、構わないということで良いのだな。この責は全て国王にある。民は愚鈍な国王を持った不幸を恨むと良い。」



その時、王宮のベランダに男が現れ、

「待ってくれ。国王だ。話を聞いてくれ。」

「今さら、何だ。」


「国境の避難民に関する情報を領主が隠蔽していて、私に届いていなかった。領主を捕縛して確認していたのだ。」

「国を守る為に、情報を集めるのは国王の仕事だろう。お前の失策が招いたのだ。その領主は何故隠した。」



「神の啓示を受けたと言っていますが、定かではありません。」

「神の啓示。神がいるのかこの世界に。辺境の領主なのに、逆に、侵略された場合の事を考えないとは、愚かな者を領主にしたものだ。」

「反論のしようもありません。ですが、国王と言っても全てを統べているわけではありません。王権は領主達の支持の上でしか成り立ちません。」

「確かに、少し言い過ぎた。」



「その領主は神の啓示で何を聞いた。」

「国境を越えて逃げて来る百姓どもを送り返せと。」

「何故、訳のわからない神の啓示などに従ったのだ。」

「従わなければ、命の危険を感じたからと。」

「愚か者めが。力のない邪神に脅迫誘導されるとは。避難民を保護している。食糧支援が必要だ。明日までに、用意できるか。」

「承知しました。」




ガーランド王国を横切り、サーペント帝国の帝宮上空に魔導船を浮遊固定する。

魔導拡声器を使って、皇帝に話かける。


「隣国、ガーランド王国から避難民が来ているはずだが、支援はどうなっている。私は光の精霊だ。」

帝宮の入口に整った顔の男が現れた。


「光の精霊様、お答えします。国境を越えて来た避難民は、避難所に収容し、食事の支給をしておりました。しかし、この数日、帰国する者が多く、数日中には全員帰国するものと予想しています。」

「ご苦労だった。隣国の悪政により避難民の多くが国を離れたため、食料の生産が激減している。支援を頼めないか。」


「承知しました。明日までに、揃えられる糧食を用意いたします。」

「感謝する。これからも頼む。」



糧食は各村に配分する。暫くは続けることになる。


王都はゴーレムに囲まれた。領主や貴族達及び兵士達は王都に追い立てられた。王都は身動きできないほどの混雑である。


結果的に、ガーランド王国は国土の殆どを失い、王都では食料不足が深刻になって来た。兵士として徴集されていた百姓達は次々と王都から逃れた。



王都を囲んだゴーレムの前に白旗を掲げた兵士達に囲まれて、宰相がやって来た。

ゴーレムを通じて話を聞く。

「どういうことだ。わが国を侵略し、食料を奪うとは。直ちに占領を止め撤退せよ。我は神の指示を受けて、この国を治めている。」と言い捨てて去って行った。


神の指示だと。なんだというのだ。邪神の使いか。



飢餓に陥った王都民がゴーレムに押し寄せて来た。


王宮の宰相執務室では、

「多少死んでもしょうがない。逆に、沢山死ねば、相手側も無視できまい。もっと、圧をかけろ。人が減れば、食料不足も多少は改善する。」


兵士により圧迫される王都民はゴーレムに向かう。しかし、そのままゴーレムが間を開け通過させる。その一方、兵士達は押し戻されてゆく。

ゴーレムは王宮を取り囲んだ。


与平は魔導船を王宮の上空に浮遊固定させる。

「出て来い、民を甚振る邪神の使徒よ。」



王宮のバルコニーに宰相が現れた。

「我は神の庇護下にある。精霊ごときが神に逆らうとは不届きである。」

と言うと、手にしていた何かを稼働させた。

すると、王宮を囲むように結界が張られ、周囲を異様な雰囲気が包んだ。



宰相が突然声を張り上げた。

「光の精霊とか申す者よ。我はここに神より使わされた、神の意志を実現するために異世界より召喚された者だ。今すぐそこに膝を折り、神の為に祈りを捧げよ。」


- 周囲の人間や生き物の意思を操る魔道具のようです。この魔道具を使って、この国の宰相の地位を奪い取ったと推測されます-

「操られる気がしないのだが。」

- 光の精霊は操ることはあっても、操られることなど決してありません-



与平も声を張り・・・、いや魔導拡声器で答える。

「悪徳宰相、神とは何だ。何か存在していて価値があるものなのか。邪神か悪魔か、はたまた盗賊か。教えろ。」

「神を知らんとは不届き者め。天罰が下るぞ。」


「だから、その天罰とやらを下して見よ。」

「むむむ。本当に知らないのか。」



「知らぬ。多くの民にも聞いてみたが、知っている者はいなかった。何なのだ。神とは。何か邪教集団なのか悪魔なのか。はっきりしろ。お前はここで命を落とすことになる。言い残すことはないようにしろ。ほれ、足を1本弾いたぞ。」

宰相の右足が切り取られた。出血は直ぐに止める。



「何をする。痛いいい。」

「だから、神とは何だ。何かできる存在ならば、助けて貰え。それ、腕1本。」



「い、い、い、痛い。死ぬ。」

「死ぬ前に答えろ。神とは何だ。お前は大和から来ていたな。大和の神とは何だ。」

「天上におられる尊いお方だ。」

消え入るような声になった。



「この世界の神とは何だ。」

「天上にいる・・・」

「声が小さくて聞こえんぞ。痛みは消してやる。大きな声で答えろ。」



最後の力を振り絞って叫んだ。

「何の力も無いのに、天上にいて命令するだけの愚かな存在だ。これでわかったか。」

「なるほど、良く判った。神の名を騙る邪神だな。碌でもない連中とつるんだな。そろそろだな。」



何か弾ける音がして、結界が消えた。

その瞬間、上空から眩しくて鋭い光が舞い降り、ベランダが宰相もろとも消滅した。

「これで良かったか。」

- 満点です-




王宮の地下牢から、国王が救出された。

アーリエント王国とガーランド帝国は、話し合いの結果、新しくなったこの国の名を精霊国とし、暫定政府を置くことになった。



暫く島で休んだ。


それにしても、神の名前が悪宰相と国境の領主の口から出て来たのが気になる。人を操る神がいるのか。いるとしたら何の為にあんなことをしたのか。わからないことだらけである。

日本の神は民の為に何かをすることはないのかもしれない。民の祈りと信仰を集めてはいるが、民に災いを及ぼす存在ではない。

この世界の神は何か民に言い知れぬ悪意を持っているように感じる。力はないので万能とは言えないだろうが、邪な存在であることは間違いない。



「この世界に神はいるのか。」

- いるとは思いますが、何の力も無くただ眺めているだけの集団です。神の使徒と呼ばれる古竜やフェンリル等がこの地上にいるようですが、連絡を絶って久しいようです-



「何がしたいのか全くわからない。次回、このような事があれば、邪神は徹底的に潰す。しかし、物部何某は日本から転移させられたと言っていたが、邪神まで異世界召喚をしていたのが気になる。」


岩のゴーレムを回収した後は、村が落ち着き、食料事情が改善するのを待つしかない。





与平は島に帰り、畑や果樹の世話をしながら、時折熊に会いに行く。

落ち着いてきた所で、島の中で気になっていたダンジョンの様子を見に行くことにした。


刀を腰帯に差す。

外に出ると、昨日の夕方も雨が降ったようで、草木が濡れ、水溜まりがあちこち出来ている。乾季から雨季になったのか、良く判らない。

畑の近くに溜池を掘るのもいいのかもしれない。



ダンジョンは温泉の先の高台から丘の方向に向かった所にあるようだ。

高台の上に転移し、林の中へと下る。

木々が茂り、蔦が纏わりつき、垂れているところもある。森、いやジャングルのようだ。

ジャングルは右側、つまり島の北側に広く続いており、幾つかの大きな魔力を感じ取れる。この島の魔獣の住処は、島の半分以上を占めるこのジャングルの中にあるのだろう。



刀で切り開きながら進む。四半時かかって、ダンジョンと印してあった場所に着いた。

洞穴に重厚な鉄の扉があった。

こんなところに違和感しかない扉を誰が何の為に付けたのだろうか。



開けてみようと思ったが、鍵穴があるので、諦めた。

引き返そうとしたその時、扉が軋んだ音を立てて開いた。

どうしようかと迷ったが、いざとなったら転移すればいいと考え扉の中に滑り込んだ。

入った途端、後ろで扉がガシャンと音をたてて閉まった。




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