表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

2.部長の話

 部長は俺の顔を見て大きなため息をつく。

「まぁまぁ、彼女まだ新人なんだからお手柔らかに頼むよ。最近はパワハラだのセクハラだのうるさいしさぁ」

「お騒がせして申し訳ありません。怒られてるっていうのにニタニタ笑ってたものですから、つい」

 俺の言葉に部長は目を丸くした。

「は? 笑ってたって?」

「そうなんです。ちょっと異常ですよね」

 さすがに同意してくれるだろうと思ったのに部長は「いやいや」と首を横に振る。

「僕の位置からも彼女の顔は見えてたけどずっと項垂れて神妙な顔してたじゃないか。嘘はいかんよ、嘘は」

「えっ……」

 俺は絶句した。神妙な顔をしていただって? まさか、あり得ない。呆然としている俺を他所に部長は話を続ける。

「それにさ、ミスばかりしてるって君は言うけどね。彼女、ミスなんかほとんどしてないと思うよ? 僕のとこにもよく資料持ってきてくれるけど不備があったことなんてないし。新人なのによくやってる方だと思うんだが」

 どうにも話が噛み合わない。これ以上言い募ってもいいことはないだろう。俺は謝罪し適当に話を合わせてその場を後にした。

(あの女、俺にだけ嫌がらせしてるってことか?)

 思えば最初の挨拶からして様子がおかしかった。着任初日、山本はフロアの中央に立ち短く自己紹介をしたのだがその間中ずっと俺の顔を見ていた。勘違いなんかじゃない。知り合いか? と首を傾げたぐらいだ。もちろん会ったことなどない。

(まぁ、いい。どうせあと二か月ちょっとの辛抱だ)

 短期派遣のため山本は三か月だけの契約だ。もうあんまり考えないようにしよう、そう思い帰宅した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ