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グリーンハイツ  作者: 伊藤康弘
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第7章・侵入

 日暮れ後。

 都市郊外の一角。

 周りの緑地が闇に埋没して不夜城の如く佇むグリーンハイツ。

 10台以上並ぶモニターの前に座っている警備員の制服を着た中年の男。イヤホンを耳に入れうつむいてスマートフォンを注視している。液晶画面に映るのは未成年と思しき少女のポルノ動画。

 突然部屋の明かりが瞬く。

 顔を上げて電灯を見る男。

 再び瞬く蛍光灯。

 イヤホンを耳から外すと聴こえてくるエンジン音。

 怪訝な表情を浮かべて立ち上がる。


 団地入口側の部屋から出てきた警備員が目の前の光景に思わず呟く。

「なんだよこれ…」

 延ばされたアームに何本もの電線が絡まり張力でフロントを1メートル近く浮き上がらせた大型の真っ赤なクレーン車。手綱を握られた暴れ馬のように高速で空を切っている前輪。轟くエンジン音。

 ホルスターから拳銃を抜き出し警戒しながらクレーン車に廻り込む男。

 ドアの無い運転席が視界に近づき声をあげる。

「おい!誰だ!」

 銃口の先に見えたのは空の運転席。

 アクセルが天井から鉄パイプで押さえつけられている。

 横から声。

「こっち」

 男が振り向くと強烈なライトが顔に照射される。

 思わず目を閉じた瞬間に響く3発の銃声。


 倒れている男に歩み寄り拳銃を拾いあげて弾倉をチェックしたあとに悠里が言う。

「なんで警備員がチャカ持ってんだよ」


 電柱が傾くとクレーン車の前輪が地響きを立てて地面へと落ちバウンドする。そして電柱をなぎ倒しながら団地内へ進み始める。


 グリーンハイツから全ての明かりが一斉に消えた。


(第7章・侵入・終わり)

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