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20話 『真実が明かされるとき』

 「クリムさんはどんなスキルを持っているんですか?」

  

 不死鳥(フェニックス)を使うのをやめたラーシェは、何かを期待するような目を向けて、そう質問してくる。

 だけど参ったな。

 俺はスキルを持っていないんだよ。

 聖剣の力の光之王と魔王で戦ってきたわけで、スキルを使用したことは一度もない。

 まず、使いたくても出来ないし。


 「スキル持ってないだよ俺」

 「そうなんですか。ちょっと意外です」

 「聖剣に好かれても、スキルには好かれなかったんだね」


 うるさいやつだな。

 もう一回腕を切断してやろうか。

 いや、笑顔を浮かべるその顔を首から切断してやる。


 「ここからだと《笑うピエロ》の本部まで少し距離が短くなりましたが、このまま歩いていきますか? それとも、一旦王都に戻って馬車を借りてもいいですし」

 「本部って王都にあるんじゃないのか?」

 「いえ、王都の隣の街にあります。王都に移動させようとしましたが、念のためにやめておきました。最悪逃げてない可能性もあったので」

 「そういうことか」

 「それで、どうやって移動するの?」 

 「せっかくここまで歩いてきたんだし、このまま行っちゃいたい」

 「では、歩いていきましょう」


 そうして俺達は、本部へ向かう為に足を進めた。





 「クリムさんは、どうして隣国の国王様を殺してしまったのですか? 何か特別な理由があったのだと思いますが」

  

 ラーシェは突然話を振ってきて、俺がまだ話していなかったことを聞いてきた。

 確かに気になるだろうな。

 だけど、その前に俺も一つ気になることがある。


 「俺がその質問に答える前に、一つ聞いておきたいことがある。俺が聖剣使いでとミラノが魔族だと知りながら、家に招き入れた理由はなんだ?」

 

 さっき聞きはしたのだが、《笑うピエロ》の話や聖剣の話をしたせいで、結局聞けずに終わってしまった。

 ラーシェは俺への質問で、どうして隣国の国王を殺したのかと聞いてきた。

 つまり、この子は俺が本当は殺していないということを知らないのだ。

 そうなれば、ラーシェにとって俺は魔族と手を組む殺人鬼である。

 それにも関わらず、家に招き入れて、漏れたら自分自身が処刑されてしまうかもしれないような情報を教えてきた。

 もし、俺がラーシェの立場だったら絶対に家に入れないし、騎士に報告をしに行く。

 だが、俺の横にいる人物はそれをしなかった。


 「確かにまだ話していませんでしたね。今の質問に単刀直入に答えるなら、クリムさん。貴方には《笑うピエロ》へ加わってほしいのです」

 「俺が? なんで?」

 「私達は、約二ヵ月後にヴァラグシア王国の王都に侵攻を開始します」

 「だから、俺が戦力として必要だと」

 「その通りです。それで、国を追われる身となったクリムさんなら、必ず協力してくれるのではと思いまして」


 そういうことか。

 ようやく謎が解けた。

 簡単に言ってしまえば、「犯罪者だから新しい犯罪行為くらい手伝ってくれるよね?」ってことだろ。

 

 「王都に侵攻するっていうことは、ヴァラグシア王国も《堕天使》と関係していたのか?」

 「はい。それが判明したのはつい最近のことでした。あの組織と関連のある国を徹底的につぶしていったのですが、《堕天使》が完全に消滅することはありませんでした。私たちはその原因を突き止めるために総力を挙げて調べ上げ、たどりついたのが、ヴァラグシア王国でした」 

 

 あの国王は一体どんな取引を行っていたんだ。

 《堕天使》は、殺人、略奪、人身売買、違法奴隷売買など、ありとあらゆる犯罪に手を染めていると聞く。

 そして、最終的にたどり着いたのがこの国だったということは、それだけ重要な取引相手だったに違いない。

 そう考えていた時、黙っていたミラノが口を開いた。


 「《堕天使》って奴隷売買とかしてたりするの?」


 通常の口調とは違い、落ち着いていて真剣さが感じ取れた。

 それにラーシェも気付いたのか、一回頷いてその質問に答えた。


 「はい。良く行われています」

 「その中に、魔族とかって入ってるかな」

 「《堕天使》は種族を問わず人身売買を行っています。人間は勿論、魔族や獣人族、地底族などその他の種族も取引されています」

 「……そう。教えてくれてありがとう。話を止めちゃってごめんね」


 なんだ?

 今のミラノからは、微かな怒りが感じられる。

 まだ出会って少しの時間しか経過していないが、それでもこんな暗い雰囲気を出すなんて思いもしていなかった。

 昔何かあったのか?

 ……だけど、まあいいか。

 所詮俺達は利害が一致しているから手を組んでいるだけで会って、「これからずっとよろしく」なんていう仲間になった訳ではない。

 そんな関係は俺が気にすることではない。


 「話の続きですが、ヴァラグシア王国はほかのどの国よりも一番《堕天使》と関わりが深かったです。恐らく、国王も認知しているはずです」

 「……国王が?」

 「はい。調べてみたところそこそこ前から繋がりがあるようでしたし」

 

 俺はそれを聞いて、あることが脳裏に走った。

 

 「それって具体的にいつからか分かるか?」

 「日付までは資料を見ないと思い出せませんが、約三年程前からだったと思います」

 「はっ……やっぱりそういうことか」

 「何か心当たりでも?」


 今の話のおかげで、俺の中で色々結びついていった。

 そして結果的に、一つの答えにたどり着いた。


 「ヴァラグシア王国が取引を始めたのは約三年前からだったよな」

 「それが何か?」

 「あの男が王の座に座ったのも約三年前からだった」

 「え……!? ということはつまり」

 「ああ、国王が認知しているとかの話どころではなく、()()()()()()()()()()()()()()()


 だからだ。

 だから、俺の父様は殺されたんだ。

 多分だが、父様はあの男が《堕天使》と取引をしていたことに気が付いた。

 そして、それを止めようと行動を起こそうとした時、毒を盛られて殺されたんだ。

 

 

 

 

 

 


 

 













 


 

 


 

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