2話 『聖剣の力』
その力の名は“光之王”。
この力を解放することで通常の力の五倍くらい引き出すことができる。
だが、当然その分体に負荷がかかる。
だから頻繁に“光之王”を使うことができないのだ。
「しかし、俺にはそんな力は通用しない」
大男はナイフを振り回し、俺に攻撃してくる。
けれど、今の俺にはそんな攻撃は効かない。
俺は飛んでくるナイフをかわして、鎖の部分に向けて聖剣を振り下ろす。
「なんだと……!」
鎖は木っ端微塵に砕け散り地面に落下した。
「この鎖が剣なんかに負けるだと……!」
俺は少し離れている距離を一瞬でつめて大男の発言を訂正した。
「これは剣じゃない。聖剣だ」
そして聖剣を右斜め上に上げ、そして大男目掛けて振り下ろしそいつの体を切り裂いて――
「やめてっ!」
あと数センチというところで少女が大男の前に立ち塞がった。
「意味の無い殺し合いをするのは止めよ!」
「だが……」
「そうだな。その子の言う通りだ。だからこんな殺し合いは止めだ」
俺はあと少しで人を殺すはずだった剣をしまい、服を整える。
「いやー!!! 素晴らしかったぞ! お前たち!」
王は座っていた椅子から立ち上がり、拍手をしながら絶賛する。
すると、俺を殺そうとしてきた奴らは全員王に跪き、王の元へ歩き出した。
「あいつらは本当になんなんだ……」
俺が疑問に思っていると俺が入ってきた巨大な扉がもう一度開いた。
その扉から8人の人間が入って来た。
それも俺を殺そうとした奴らと、目の前に飛び出して来た少女の四人と、全くでは無いがほとんど同じ格好をしている。
白色の鎧を身につけてところどころ赤の線が入っている。
身につけている武器は人それぞれだが。
その8人も王の元へ行き、ほかの4人と合流して横一列に並んだ。
「おい、そいつらはなんなんだ。俺をいきなり殺そうとして来たが?」
「そういえばお前はまだ追放される理由を聞いてないよな?」
「俺の質問には答えないのか」
「まあまあ落ち着け。お前を追放する理由はこいつらも関係があるんだ」
こいつらが俺が追放される原因?
「クリムよ。お前は魔獣を討伐や他国からの防衛をしてくれたな」
「ああ、仕事は完璧にしたはずだ」
「そうだ。お前は完璧仕事をこなしていた。だがそれも今日で終わりだ。今日からこの12人の騎士、聖十二騎士がお前の仕事を受け継ぐ」
聖十二騎士だと?
「まず、なぜお前なんかをこの国に置いてやっていたかわかってるか?」
「俺の父様がこの国よりも大きな国の国王だからだろ?」
「そうだ」
フリュースと俺の父様は兄弟で、俺の父様の国の方がこの国よりも発展している。
この国は、父様の国の援助があり成り立っている。
そして俺も、父様に頼まれてこの国の防衛にあたっているのだ。
「そのお前が追放ということはどういうことかわかるな?」
「……お前!?」
「理解が早くて助かるよ。お前の父、いや俺の兄は死んだ」
「嘘つけ! 俺の父様が死んだなんて連絡は来てないぞ!」
「そりゃそうだろうな。なぜなら、今さっき死んだのだから」
「じゃあなんでお前がそんなこと知ってるんだ!」
「なんでかって? 俺の指示で殺したからだよ」
その言葉を聞いた瞬間、俺の体の中が今までにないほど熱くなったのがわかった。
「貴様ぁぁぁ!!!」
俺は怒りの衝動で剣に手をかけた。
それと同時に聖十二騎士達も武器に手をかける。
「兄さえいなくなれば、あとは俺のものだ。お前も今まで使ってやっていたことに感謝するんだな」
俺は剣から手を離した。
「なんだ。俺を殺しに来ないのか?」
「いや、俺は今お前を殺したくて仕方がない。だが、それよりもしたいことが見つかった」
「なんだ? この国を滅ぼしたいのか?」
「そうだ。だが、俺1人では無理だ。だから、今は何もしない。俺を追放したことを後悔させてやるよ」
そうして俺はこの国を追放された。
俺がこの国を追放されていったことは、すぐに国中に広がっていった。
人から人へ。
どんどん広がっていく。
そして、俺が追放されていったことを誰かに伝えるとき、皆こう言って伝えるのだ。
「さっき追放されてったやつ、聖剣使いだってよ」
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