表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/245

89話 超新星爆発

暑いとやる気出ないし食欲も湧きませんね


 エニグマからは午前中に行くという連絡が来た。そこは午後じゃないのと言ったら、午前に憂いを無くして午後でゲームを楽しみたいらしい。

 ただし午前にやる関係でサスティクのダンジョン攻略、今日は休みになるとか。今日は自由行動だから全員好きな事やるだろ、と言っていた。


 話している間に時間も決まったようで、9時辺りにくるそうだ。

 現在時刻は6時くらい。まだ3時間もあるし、余裕はあるだろう。先に宿題をまとめておいた方が良いかな。


 宿題はプリントか自分で用意した紙やノートに答えを書く形式なので提出する分はそう多くない。1部の教科からは宿題が出てないのもある。

 教科ごとにまとめ終えたが、まだ朝ご飯食べたばかりだしFFにログインする気にはならない。多分健康に悪いし。


 じゃあ何するかと考えているとふと、FFを誘われて始める前にやっていたゲームを思い出す。確か戦国時代の忍者になるゲームをやっていて、まだクリアしてなかった。

 難易度は高いけど、クリア出来ない程ではないしやっておこう。どうせFFやらないなら暇だし、積みゲーみたいにやりたいけどやれないとかそんな状況になったりするのは嫌だ。


 そのゲームは家庭用ゲーム機でプレイし、尚且つその家庭用ゲーム機は1階にあるのでまた降りる。

 さっきから1階に行ったり2階に行ったりと何回も上り下りしているなーと。


 ゲーム機を起動すると前回のプレイしていた所から再開する。

 ただ、FFをやって時間が経ってしまったため何をするべきなのかを一切思い出せない。メニューから色々探して、ようやく見つけたのは谷の底にあるアイテムを取ってこいという目的。


「谷って何処だ…?」


 マップを開いて探すが、谷は何個かある。目的地表示とかがない辺り、総当りで探せって事なのかな。

 前にやった時にどこかの谷を降りた記憶はあるが、それがどの谷なのかは思い出せないためもう1回行くかもしれない。






 オープンワールドのゲームという事もあり、ちょくちょく目的を忘れて探索したり延々と敵を倒し続けたりと楽しんでいて、自分が操作する主人公のキャラにも愛着が湧いてきた。


「カッコイイなー、忍者」


 爆竹とかはFFで作れそうだ。義手や仕込みの武器は…頑張れば作れるかな。

 傘で戦うというのも憧れる。金属製の傘を展開して攻撃したり、敵の攻撃を弾いたり。今後作れたりするならやってみようかな。


 このゲームの内容をFFで再現出来たりしないかと考えているとピンポーンとインターホンが鳴る。

 ドアスコープから覗くと、鞄を背負ったエニグマとビニール袋を持ったアズマが立っていた。



「いらっしゃーい」


 なんだかんだ時間を潰す事には成功していたようで、何時間も集中してゲームしていたようだ。

 既に8時半になっていて、兄さんも真白も起きているようなのでエニグマ…もとい祐哉とアズマが来ているという事だけ伝えておく。


 2人を連れて自分の部屋まで来て、テーブルの上にさっきまとめた宿題を置く。


「なんだその服」


 こっちだって色々聞きたい事があるのに、それを遮るようにエニグマが質問してくる。


 僕が今着ているのは聞いてきたエニグマ本人が僕にくれたTシャツだ。白い生地の前面に「超新星(すーぱーのゔぁ)爆発(えくすぷろーじょん)」とひらがなの振り仮名付きでプリントされていて、このひらがなの気の抜ける感じが可愛くて気に入っている。

 エニグマから貰った、という点を強調して伝えると、案の定本人は忘れていたようでそんな事もあったな、と言っている。


「じゃあ僕から質問していい? 9時に来るって言ってなかった? まだ8時半だけど? あとなんでアズマ居るの?」


「一気に聞くな。まず早くなった理由だがな、憂いが勝ってしまったからだ。早く終わらせたい気持ちが強くなったからこうなった」


「じゃあアズマが居るのは?」


「FFで一緒に居たからだな。ログアウトするっつったらバレた」


 バレたって…。そんな疚しい事じゃないのに。

 ただ宿題見せるだけだし、来てもやることないんだけど。


「えー、じゃあ何かする? アズマ」


「スパイダーベイビー」


 アズマはアズマで何言ってるか分かんないしさぁ…。

 スパイダーベイビーって何だよ。蜘蛛の子? 日本語に直しても意味分かんないけど。


「まいいや。エニグマはさっさと写してよ」


「助かる」


「アズマは宿題終わってるんだっけ?」


「いや? 継続的にやらないと忘れるから毎日少しずつやってる」


 何処からか取り出したヨーヨーで遊びながら、アズマは答えた。ずっとFFやってるのにいつ宿題やってるんだろうか。あとなんでヨーヨー持ってるんだ。


「そっかー。僕暇だし何しようかな」


 流石に2人をここに放置して下でゲームやるというのは出来ない。

 とりあえず2人に飲み物か何か出すか。ジュースの方はあるけどお菓子あったかな。


「飲み物持ってくるよ。飲みたい物あったりする?」


「エナドリ」


「ないね」


 エナジードリンクなんて常備されてない。むしろ常備されてる方が珍しいだろう。こういうのはオレンジジュース出しとけば案外どうにでもなるのでオレンジジュースにしておこう。


 トレイにさっき使ったコップと食器棚から取り出したコップを2つ、紙パックのオレンジジュースを乗せる。

 キッチンの棚にクッキーが入っていたのでそれもトレイに乗せて2階へ戻ると、アズマがヨーヨーの糸を複雑に指に絡めているのが1番に目に入った。


「何してるの」


「スパイダーベイビー」


 それか、スパイダーベイビー。確かに言われてみれば糸が蜘蛛の巣みたいになってる。

 というか器用だな。なんでその状態でヨーヨーが回り続けてるのか全然理解出来ないが、多分相当難しい技だ。


「オレンジジュースでいいよね」


「エナドリは?」


「ないって言った」


 アズマが持っていたビニール袋はコンビニの物で、来る途中で買ってきたらしい。中身はお菓子とパンとおにぎり。

 お菓子はともかく、パンとおにぎりは何であるんだろう。朝食?


 アズマに聞いてみると、来る途中でエニグマとアズマの朝食として買ったらしい。お腹が空いたら勝手に食べるとの事なのでこれは触れないでおく。

 お菓子の方は手ぶらでくるのも悪いと思ったから買ったと言っていた。


「うーん、でも暇だね」


「暇なら写すの手伝ってくれ」


「それは嫌かな」


 なんで頑張って終わらせた宿題を自分でもう1回写さなくちゃいけないんだ。

 絶対に嫌だね。


「だよな。そうだな…FFでやりたい事とかをまとめてみるのも良いんじゃないか?」


 まあ、それならあり。

 スマホのメモアプリを起動すると、前回の編集履歴が残っていた。錬金道具の確認だとか、合成の実行といった内容が書かれている。


 いつのやつだ、これ。

 合成をやろうと思ったのって…初日? サービス開始日のメモ、ずっと残ってたのか。


 だがこのメモの内容はどれも実行を終え、意味を持たない文字列へと変化している。

 なんて考えながらデリートキーを押しっぱなしにして、1つずつ消去されていく文字を眺める。


 数十秒で真っ白な状態になったメモに、やってみたい事を書き込んでみる。具体的な物から抽象的な物まで、書けるものはその方法や手段なども加えて。


 ガスマスクの開発継続、爆弾の作製などの生産活動だけでなく、弓術スキルのレベル上げやうさ丸の強化みたいな戦闘に関わる活動、あと空を飛びたいとかそういう分類が難しい抽象的な目的まで。



「見ろリン、散歩」


 メモに色々書き込んでいると、ずっと黙り込んでヨーヨーで遊んでいたアズマが珍しく声を掛けてきた。

 アズマの方を振り向くと床にヨーヨーを転がして進み、手に戻してからもう一度転がして、と繰り返してながら部屋の中を歩き回っている。ヨーヨーは回転が止まっている訳はなく、回り続けたまま動物の散歩に使うリードのように糸でアズマの指と繋がっている。


 何がどうしてそうなったのか分からない。


「どうなってるのそれ」


「ウォークザドッグって技だな、俺も出来る。進行方向と同じ向きに回転させたヨーヨーを下降上限で止め、ゆっくり床につけて転がして回収すれば成立するぞ」


 アズマに聞いたのだが、聞きたかった情報に要らない情報も混じってエニグマが解説してくれた。


「宿題やりなよ」


「おいおい、解説のエニグマ先生だぞ。それくらいやらせろ」


「その二つ名初めて聞いたけどね、解説のエニグマ先生」


 そう言うとエニグマは左手の人差し指と小指だけ立たせ、親指と中指、薬指を合わせて影絵の狐の形を作り、僕に向けてから宿題を写すのに戻った。


 いや、なんで狐?


「武器にヨーヨーもありだな、作ってもらうか」


 何故狐を出してきたのかを聞く間もなく、エニグマがそう呟く。

 武器にヨーヨーとは奇抜な。それならけん玉とか独楽(こま)も武器に使えたりするのかな。


 正直、エニグマの発想力が羨ましい。

 錬金術や弓術なんかのスキルを選択し、僕と同じ立場だったとしてもエニグマならやりたい事、やるべき事は僕の何倍も多く思い付いて実行するだろう。


 なら今書いたメモのうちの、目的はあるけど手段が分かってないものもその手段を知ってたり思いついたりするんじゃないだろうか。


「エニグマ、FFの中で空って飛べるかな」


「出来なくはないだろうな。後で試してみるか?」


 流石。予想は当たったようだ。


「やりたい!」


「宿題が終わればな」


「早く終わらせなよ」


「出来るんならそうしてんだよなぁ」





 その後は昨日から今日にかけて、FFで夢の世界に行った事とかの報告をしたり、アズマからヨーヨーを借りて使い方を教えてもらったりして過ごした。

 エニグマはイヤホンを使って音楽を聴きながら宿題をやっていたが、集中力が続かないのか数分毎に中断していた。


 そして数時間。ようやくエニグマが宿題を写し終えた。


「化学基礎ってなんか出てなかったか?」


「え? 出てないと思うけど…。どうだったっけ、アズマ」


「オレらのクラスは出てない。エニグマは別クラスだから知らないが」


「…まあ忘れてもどうにでもなるし最悪出さなくてもテストで点取っとけば良いだろ」


 良くはない。でもなんだかんだテストの点はいつも良いからタチが悪い。


「さて、これでもう夏休み中に悩む事はないな。帰ってFFやるか」


「今日はなんかやるの?」


「これといった予定はない。さっき言った空を飛ぶ実験とかはお前がやりたいなら今日でもいいぞ」


「じゃあ今日で」


 というか今、実験って言わなかった?


 エニグマの言う「実験」というのについて聞く暇もなく、2人は立ち上がって荷物をまとめ、帰る準備を終わらせる。

 仕方ないからゲーム内で聞くか。


 2人を玄関まで送ると、靴を履いてからこちらを振り返ってくる。


「そうだ。言うか悩んでたが、そのTシャツ着て外出ない方がいいぞ」


「なんで」


「ダサいからだよ」


 くれた本人が言うのか…。

 ダサくないと思うんだけどなぁ。「超新星(すーぱーのゔぁ)爆発(えくすぷろーじょん)」、可愛いのに…。



先日、ユージーンに「読みにくいからもうちょい行空けろカス(要約)」って言われたのでいつもよりスペースを空けた書き方をしてます。

とりあえずお試しなので続くかは分からないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ