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51話 湖底遺跡調査(4)

忘れてましたが前回で50部でした。150部くらいまで続くといいですね。


 スライムと遭遇して倒してから、別のモンスターと遭遇するかもと警戒していたが、全く出てこなかった。後ろから走ってきたエニグマとも合流し、再び3人集まって歩いている。

 エニグマは向かっていった右方向の通路だけでなく、誰も行かなかった左の通路まで虱潰しで行った。スライムが数匹居て、右の通路の行き止まりには石版、左は宝箱があったらしい。


「なんぞこれ」


 右の通路に落ちていたらしい石版、それをエニグマから借りて見てみるが、三角形しか描かれてない。

 この先の仕掛けや謎解きで使うとしても、この石版が何を表すのか。全然予想できない。エレベーターのボタンみたいな感じで上を指し示すとか?


「三角形は色々意味があるからな、俺にも分からん」


 この石版を拾ってきた、無駄…ではないが知識があるエニグマでも分からないらしい。エニグマが分からない事で僕が分かることなんてそう多くないので、この件については諦めよう。


「エニグマ、ニュースについては話したぞ」


「サンキュ」


 エニグマとアズマの会話が聴こえた。

 アズマからニュースの話をされて、その内容が衝撃的だったからそっちの印象が大きくなってしまったけど、比較的健康な生活をしている僕より、ほぼ常にこのゲームにログインしている2人の方が世間について詳しいのは何故なんだろうか。

 いや、僕が世間に疎いのは新聞は読まないしニュースも見ないからなんだけど、そうだとしてもこの2人は一体いつそれを調べているんだろう。


「リン、色々不安だとは思うが病院で検査して、正式に手続きをした方がいい。あと病院はなるべくデカい所のがいいぞ」


 エニグマが改まって諭すように言ってくるが、僕はアズマからその話をされた時に行こうと思っていたし、行けと言われて行きたくなくなるという天邪鬼のような性格でもないので、意思は変わりない。

 それでも大きい病院に行った方がいいというのは耳寄り情報だ。兄さんに相談したら同じこと言われそうだけど。


「ならいい」


「…今日何日だ?」


 会話が終わり、沈黙が続いて気まずかったのか、アズマが話を強引に変えてきた。


「7日」


 水曜日だよ。と付け加えて返事をする。8月に入ってからもう1週間も経っているのか、と思いながらアズマの話の続きを待つ。


「10日、祭りだよな。行く?」


「んぁー、俺はどっちでも。お前らが行くなら行く」


 そういえば、毎年8月の10日と11日の2日間、近くの公園で祭りをやっている。なんだかんだ毎年行って3人で焼きそばを食べながら花火を見たりしていたが、今年の夏休みは1週間に3回くらい、最近は毎日ゲーム内で会っているため祭りに行く必要はあまりない。祭りは集まる機会というだけだ。

 だが、花火を見たり焼きそばを食べたりはゲーム内ではまだできない。いつかできるようになるかもしれないが、今は無理だ。


「どうしようかな」


 焼きそば食べたいしなぁ。


「ヨダレ出てんぞ」


 おっと。

 エニグマに教えてもらってヨダレが出てるのに気付く。すぐ乾くし袖で拭っても平気だろう。


「で、どうする? リンとアズマに任せるが」


「オレもどっちでも良いんだよな。エニグマが暑い暑い言いながら来るのは面白いから行きたい気持ちもあるけど」


「お前なぁ…」


 暑がりのエニグマからしたら夜とはいえ夏に外出するのは辛いだろう。そう考えると今までよく来てたな。


「焼きそば食べたいなぁ」


 どうしたものか。僕もエニグマ程ではないが暑いのは苦手だしな。


「あ、2人に焼きそば買ってきてもらってウチで食べるってのは?」


「じゃあアズマ頼む。俺はリンの家に真っ直ぐ行くから」


「嫌だが?」


「は?」


 今にも喧嘩しそうな雰囲気。だが確か2人で居る時はこんな感じのが平常運転だった気がするし、口調が強くなってるとはいえ喧嘩が始まらないから大丈夫だろう。多分。


「埒が明かんし、後でクジ引きかなんかで決めるか」


 それがいい。

 祭りの話をしている間にもまあまあ進んだらしく、また広い部屋に出た。これで3回目だ。


「うわ、またか…」


 毎回恒例の壁を眺める時間。この部屋の壁には矢印で繋がれ、循環しているように見える4つの窪みがあり、1つ以外は埋まっている。上向きの三角形の上の方に横線が入ったもの、下向きの三角形、下向きの三角形の下の方に横線が入ったもの、それぞれが描かれた石版が嵌められている。残りの1つにはさっきエニグマが拾ってきた石版が入りそうだ。逆に、嵌っている石版を取り外す事もできそうだ。

 他にも、三角形にイコールが付いて、その横に何かの絵がある。絵は4つあり、全ての石版に描かれている三角形の意味を表しているのだろうが、部分的に消えているため1部は予想しないといけない。


「…ぉん」


 エニグマから変な声が漏れた。どういう発音なんだと困惑しつつ眺めていると、また突拍子もなく石版を外し始める。


「エニグマ先生」


「いや、これは考えりゃ分かる」


 だから自分で考えてみろ、と厳しい言葉を貰ったのでエニグマを頼らず、自力で解いてみることにする。


 まず、エニグマが拾った石版に描かれていた上向きの三角形。これにイコールで繋がっているのはぐにゃぐにゃした線。行ったり戻ったりしながら右上に向かっているが…よく分からない。

 下向きの三角形と繋がっているのは下半分しかない円。こういうのって半円と言うんだったか。イコールの位置と比べて若干位置が低いので上に何かがあったと思っていいだろう。

 上向きの三角形に横線が入っているものは、円の中に円があったかと思われる絵。これも所々消えているため分からないが、渦巻き模様である可能性も否定できない。

 最後、下向きの三角形に横線が入ったもの。これと繋がる絵は、比較的保存状態がいい…と思う。消えている部分があったとしても消えているかどうかを判別できないが、現状確認できるのは不規則な五角形。


 まとめると、ぐにゃぐにゃの線に半円、円の中に円と五角形。

 石版を嵌める窪み同士が矢印で繋がっているのを考えると、この4つには共通点か関連性があると思われる。だとすれば内1つが分かれば他も分かりやすくなる筈なのだが。


「4つの三角と対応する絵ねぇ…」


 ブレーメンの音楽隊同様、何かの童話を元にした題材だろうか。僕でも知ってる童話というと有名なやつ、それこそ白雪姫とかシンデレラくらいだ。ロミオとジュリエットとかは演劇でやるっていう話をたまに聞くけど…あれは童話だったっけか?

 4つの三角形が登場するような童話なんてあるのか、仮にあったとしても僕が知っているかという問題。


「これ僕の知識で解ける?」


「ああ」


「童話とか関係ない?」


「ねぇな」


 ちゃんと考えれば解けるらしい。絵をある程度復元すれば簡単に解けるとの事なので、絵から考えてみよう。

 保存状態が比較的良いのは円の中に円のものと五角形。円の方は指でなぞってみると繋がってないように見える。つまり渦巻き模様である可能性の方が高そうだ。五角形は消えている部分が見えず、全く欠けてないように見えるが…。


「正五角形じゃない、不規則な五角形…」


 そのままではないが、近しい物を描いたことがあるような気がする。

 数学の授業や課題…ではない、もっと最近。夏休みに入ってから、何度も…


「…岩?」


 魔法陣を描く時、その中で土属性を作ろうとしている時。山か岩を描いて属性を指定しているが、その時に描く岩と少し似ている。

 この五角形が岩、もしくは土属性を表すとしたら。渦巻き模様も岩か土属性に関連するかもしれない。

 土属性と風属性だろうか。仮に壁に描かれた絵が全て属性を表すとしたら、残りの2つも属性であり、土、風と来たら残りは基本属性という括りで火と水だろうか。半円の物が雫の下部分で、ぐにゃぐにゃの線が炎の左上部分だとすれば納得が行く。


「じゃあ属性か」


 となれば、窪みと窪みの間に描かれた矢印は属性の相性? 火は水に弱く、水は土に弱いというあれだろうか。


「火→風→土→水の順番で石版を入れたら正解?」


「よくできたな」


 そう言って頭を撫でてくる。正解したのは嬉しいが、子供扱いされるのは気に入らない。


「見た目が子供だからって子供扱いされるのは嫌だよ」


「ちょうど手を置きたくなる高さなんだよな」


 やめてくれなさそうだ。

 アズマは既に解いていて僕を待っていたのか、解くことを諦めているのか、はたまた最初から解く気がないのか壁に寄りかかって待っていた。エニグマが石版をそれぞれ窪みに入れると、扉が開いて進めるようになる。


「これは壊しちゃ駄目だったの?」


 今思ったが、一つ前の部屋と同じように扉を壊してしまえば謎を解く必要はないのでは?


「あの部屋は扉が脆かったからあれで正解だろ」


 扉の材質だけ見て判別なんかつかないよ。というか扉同じじゃない? 前のも今回のもレンガみたいな材質だと思うんだけど…何か違うのかなあ。


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