??? その二人、新たな火種につき――
本日2話目の投稿です
読み飛ばしにご注意下さい
光も届かぬ暗い一室。
複数の幾何学的な紋様がそれそれで絡み合う複雑な装飾が刻まれた奇妙な床。
今にも動き出してもおかしくはないほどに精巧に作られた石像。
それらを照らし出すのは魔導具の照明ではなく、多くの人間が手に持つ蠟燭の頼りない光。
「この不義なる世界を照らし、清浄な世界へ導きし尊きレイテシア。遍く邪悪に抗い、されど昏き闇に惑いし非力なる我等に進むべき道をお示し下さい」
『この不義なる世界を照らし、清浄な世界へ導きし尊きレイテシア。遍く邪悪に抗い、されど昏き闇に惑いし非力なる我等に進むべき道をお示し下さい』
石像の足元、そして模様の中心には跪く白い外套を纏う女の言葉を蝋燭を持った者たちが復唱する。
女が言葉を紡ぐたび、復唱する声が次第に揃い、気付けば一寸違わぬ物へと変転していく。
更に言葉を重ねていくうち、様々な思惑を持っていた物達の意思が一つに統一されていく。
思考を誘導されていくような感覚を全員が味わいながら、誰もがその事に疑問を抱かない。何故ならその感覚は、まるで母親に抱きしめられる様な優しく包み込むような、得も言えぬ安心感を伴っていたから。
どれほどの時間をそうしていたのか
聖句を中心の女が呟き、周囲の者達が一斉に続いた次の瞬間、その場に居た全員の体から魔力が溢れ出る。
それは意識的な物ではなく、まるで栓の壊れた蛇口の如く止めどない勢いを伴うもの。
しかし誰もが異常に気付かない。
身を包む安心感が、周囲の人間との一体感がその異常に気付かせない。
一人、また一人と魔力を完全に失って倒れていく中、唯一中央に跪く女だけは何事もなく聖句を口にし続ける。
「尊く美しき乙女よ、強く清廉なるレイテシアよ。どうか我ら迷いし者たちをお救いください」
そうして中心の女が聖句を締めくる言葉を口にした時、まるで仕上げと言わんばかりに一斉に魔力が溢れ出し、呼応するように奇妙な模様の床、更には彼女達が奉ずる乙女の像までもが光輝く。
そして中心にいた聖女を除く全員が倒れ伏す。
『汝らに、不義の根源たる魔王を討つ勇者を使わそう』
その日、神聖皇国全土にある教会にいた者たち全員に神託が降った。
そして皇国の中心、聖都の地下にある祈りの間にて祈りを捧げていた聖女の前に、二人の少年が現れる。
詰襟の黒い服。
短く切り揃えられた艶のある黒髪。
顔の凹凸は少ないながらも整った目鼻立ち。
少年と青年の丁度中間にあるような青年は、何が起きたのかと言わんばかりの戸惑った表情を浮かべていた。
だが直ぐに何かに気付いて少年が振り返れば、そこには少年と色合いこそ違えど、似た形状の衣装を纏う陰気な少年。
「い、一体何が起こったんだ?!」
「わ、わからない。いつも通り歩いてただけなのに。一体ここは何処なんだ……?」
困惑する二人の声に、魔力を急速に失ったことで生じた眩暈で塞ぎ込んでいた聖女が顔をあげる。
霞んでいた視界が像を結び、見慣れぬ服を纏う二人の人物に焦点が定まると、魔力欠乏に陥っていた事も忘れて感嘆の声を上げる。
「あぁ、勇者様!!どうか我らの世界を御救い下さい!!!」
指を組み、首を垂れて祈りを捧げる聖女らしき女の言葉に、二人の人物ーーーー讃良 涼介と仲正 和樹は理解した。
小説の題材としては王道の、異世界召喚なるものに巻き込まれてしまったのだと。
ただ、この時一つの異常が起きていた。
しかし気付く者はいない。
二人の日本人は召喚されたばかり故に。
そして聖女は記憶が抜け落ちてしまっていたが故に。
聖女を中心として周囲を囲んでいた者たちが衣服も、名残も、その者にまつわる記憶すらも跡形もなく消えているというのに。
誰もこの異常に気づく事が出来ずに、状況だけが無遠慮に流れていくのだった。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
これにて4章完結となります。
また、いいね・評価・感想・レビューなど頂けたら5章の執筆速度があがる、かも……?
一応八割方書き上げてはありますが、気長にお待ちいただけたら嬉しく思います。
では恒例となってる[もしもステータスがあったなら]
《四章完結時》
レイラ・フォレット
【HP】100(種族最大値)
【MP】730
【SP】400
【一般技能】
身体強化:lv.40
武器強化:lv.38
魔力撃:lv.25
思考加速:lv.38
並列思考:lv.19
魔力感知:lv.28
投石:lv.15
戦技/一般:lv.45
戦技/斧:lv.50
戦技/拳:lv.25
戦技/両手斧:lv.25
戦技/片手剣:lv.20
戦技/盾:lv.17
戦技/短剣:lv.22
戦技/弓:lv.9
武術/ルチャ・ガルミア:lv.23
痛覚鈍化:lv.30
隠密:lv.30
狩猟:lv.22
基礎魔術:lv.5
宮廷作法:lv.20
【特殊スキル】
・死出の衣
・殺人鬼
・天稟
・鈍する者
・潜む者
・偽る者
・観察眼
・俯瞰眼
・魔力撃
【称号/二つ名】
・赫の狼(知名度+30、名声+20、悪名+20)
・陽光の防人(知名度+5、名声+5)
・貴族の先兵(知名度+10)
・魔人狩り(名声+5)【NEW】
・王族の知己(名声+5)【NEW】
【主要装備】
頭 部:朱暗檀の面当
上半身:刀角鹿のプレート付き軟革鎧(防護点20、耐打撃+1、耐斬撃+3)
下半身:鎧蛾のたっつき袴(防護点10、耐打撃+2、耐斬撃+2)
手・脚:緋彩鋼の小具足《破損》(防護点15、耐打撃+5、耐斬撃+5、移動速度-2、隠密性-2)
武 器:なし
その他:
・疾風の首飾り
・霞の身衣
・琥珀の起点具




