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カミサマが助けてくれないので復讐します 3  作者: つくたん
キャラ設定、あらすじ
2/105

今までのあらすじ

ここまでのあらすじ


【カミサマが助けてくれないので復讐します】


実家は弓術道場、しかしその腕前は人並み以下という男子高校生、猟矢(さつや)。道場を継ぐ腕前もなく、さりとてやりたい仕事もなく、鬱屈した日々を過ごしていた。

その慰みとなっているのは趣味の小説書き。これまでいくつもの作品を生み出してきたが、どれも設定だけ、あるいはプロットまで、もしくは序章まで書いて放置という典型的なエタ小説書きだった。

そんな猟矢はある日、家の裏にある雑木林で妙なものを見つける。夜の闇にぼんやりと光る銀の輪を拾い上げると――


「これより、日の出の輪、ソール・オリエンスに選ばれし主人公を異世界にお連れします!」


「選ばれた主人公よ、どうぞ世界に羽ばたき給え!」


そうして、猟矢は異世界に連れてこられた。否、召喚されたのだ。

武具と呼ばれる魔法の起動具を用いて悪事をなす魔術師団パンデモニウムによって故郷を滅ぼされた"不滅の島"ビルスキールニルの皇女、アッシュヴィト・リーズベルトによって。

パンデモニウムへ復讐を誓うアッシュヴィトが、その力を求めた結果、猟矢はこの世界に呼び出されたのだ。

"灰色の賢者"と異名をとどろかせる彼女が言うには、召喚の際に願ったこと、つまり"パンデモニウムへの復讐"がなるまで元の世界に帰れないというのだ。

「復讐って、どうやって」

「同志がいるノ。ボクみたいに……アイツラにヒドイコトされたヒトたちが」

世界を蹂躙するパンデモニウムに対し、対抗せんとする勢力がいる。それと合流するつもりだと展望を語るアッシュヴィト。

道中、パンデモニウムに怨恨を持つバルセナ・ベルヴェルグと彼女の相棒であるハーブロークという名前の鷹を加え、一行はディーテ大陸西の港町、貿易都市エルジュにたどり着いた。

バルセナの案内で、一行はエルジュに拠点を置く反パンデモニウム組織、バハムクランの本拠地に向かう。

バハムクランのリーダー、ユグギルは一行を歓迎し、"観測士"アルフ・アベット、"耳無し"ダルシー・クァルスリーウを加え、そして猟矢たちはこのバハムクランへと落ち着くことになった。


反パンデモニウム組織、その本体は"アトルシャン"といった。バハムクランは"アトルシャン"の末端にすぎず、各地には同じように"アトルシャン"の支部がある。

それを取りまとめるのはキロ島の領主、クロエ・エンシェントであった。

自警団が反パンデモニウムを掲げるのではなく、今までのようにパンデモニウムに怯えたままでなく、各国もパンデモニウムへ反旗を翻してほしい。そうクロエは考えていた。

その構想の体現として、ディーテ大陸の都市国家間の相互防衛同盟を作れないだろうか、と。


反パンデモニウムの声明を兼ねた初陣が始まる。ドラヴァキア山脈のふもとに構えるパンデモニウムの砦への襲撃作戦に参加することになった。

砦には雑兵と扱われるレッター級をカーディナル級と呼ばれる幹部級が率いていた。そのカーディナル級を打ち倒し、砦を奪還することが作戦の目標であった。

難なくレッター級を蹴散らし、カーディナル級がいるという砦の最奥へと切り込んでいく猟矢たち。

そこにいたのは、"呪縛"の二つ名を持つカーディナル級、シャオリーと。

「…ドウシテ…キミがいるの……?」

ビルスキールニル王家の近衛騎士であったはずの、ラクドウ・フィルセットの姿があった。

「恋人の仇」とアッシュヴィトを憎悪するラクドウは、パンデモニウムによって記憶を歪められ偽りを吹き込まれていた。

幼馴染同然に付き合ってきた友人であり従者であったラクドウに手も足も出せないアッシュヴィト。偽りを信じ剣を向けるラクドウは、かつての主人と対面したことで記憶の揺り戻しに苦しみ始める。偽りが剥がれるのを察したシャオリーがラクドウを連れ撤退したことでその場はおさまるが、アッシュヴィトは釈然としない顔でいた。


砦の襲撃作戦からその後。猟矢たちはラピス諸島へと向かうようにユグギルから指示される。

そこでは年に1度、アブマイリの祭と呼ばれる祭事がある。そこでは古に結ばれた神と人との契約を示し神への感謝を捧げる儀式を行うのだ。今はまさにその時期なのだった。

アッシュヴィトのビルスキールニル皇女という肩書きが明かされ度肝を抜かれる一同をよそに、儀式を執り行う巫女が一同を迎える。

ヴェイン・サイト。ラピス諸島の領主の娘であり、巫女である彼女のその容姿を見て猟矢は驚愕する。

「…ユズ…!?」

なんと巫女ヴェインの容姿は、猟矢の幼馴染の弓束(ゆづか)に瓜二つだったのだ。


そして、アブマイリの祭が行われる。

ヴェインの手で武具が作り出されていく。完成の直前、不意に彼女が消えた。

「巫女の身柄は我々パンデモニウムがいただいた」

「我々は"破壊神"を作り出し、神を殺し世界を砕く」

宣言したのはパンデモニウム第2位――セシルであった。


ヴェインが残した武具は猟矢を選んだ。アブマイリの祭で作られた武具を受け取った者はルッカと呼ばれ、英雄となる運命を持つとされる。

どうか娘をお願いしますと頼まれる猟矢。しかし、手がかりは何一つなかった。


パンデモニウムは故郷だけでなく友人も奪うのか。そうアッシュヴィトは憎悪する。

ラクドウに続きヴェインまで。何もかもを奪っていく。

必ず取り返さねばならない。じりじりと焦るなか、ラピス諸島からエルジュへ救助要請が届く。捕らわれたヴェインが抵抗するのでその制裁としてラピス諸島にパンデモニウムが派遣されたのだ。その中には、シャオリーとラクドウの姿もあった。

連絡を受け、猟矢たちはラピス諸島へと向かう。そして、ラクドウの記憶を歪めた武具の破壊に成功する。

操りをなしたシャオリーを殺すことはできなかったが、ラピス諸島の防衛、そしてラクドウの奪還を果たした。

記憶が戻り、自らの行為を恥ずラクドウを悪いのはパンデモニウムなのだとアッシュヴィトはあっさりと許す。再びの忠誠を誓うラクドウとそれを受け入れるアッシュヴィト。忠義は再び結ばれることとなった。


ナルド海の海竜、ナルド・リヴァイア。その巫女でもありミーニンガルドの領主でもあるナクアブルから猟矢たちへ呼び出しがかかった。

ディーテ大陸の都市国家間の相互防衛同盟構想、その旗印となるであろう猟矢とアッシュヴィトをナルド・リヴァイアが呼んでいるというのだ。

世界を蹂躙するパンデモニウムに対抗する力があるのか、神の一端として見極めたいという要求に従い、猟矢たちはミーニンガルドへと向かい、ナルド・リヴァイアと対面する。

そこにパンデモニウムが現れた。海竜を捕らえ、"破壊神"の製作の素材とせんと現れた"倒錯"の双子アスクとエムブラ。2人の顔を見てバルセナが顔色を変えた。バルセナはあの2人に因縁があった。

武芸に優れたベルベニ族の一撃で双子の片方を仕留め、捕らえられたナルド・リヴァイアを解放する。

残るは双子ひとり。しかし、刃が割り込んだ。

ラピス諸島への制裁としての襲撃を失敗したことで罰を受けたシャオリーと、それを操るノーラが双子の片割れを始末する。

「あぁ、出涸らしになったので、ラピス諸島の巫女はお返しします」

そう言ってノーラが差し出したのは、パンデモニウムによって意識と知識を抜き取られ抜け殻同然となったヴェインであった。

そのまま戦闘へと突入するが、"呪縛"の二つ名を体現するシャオリーの武具に手も足も出ない。全身の動きを封じられてしまうが、その時、双子が身に付けていた武具が砕ける。

それと同時に屈強な男がその場に現れた。"倒錯"の名を示す武具によって鷹へと姿を変えられていたハーブローク・アドニルであった。

ハーブロークはシャオリーを難なく下し、ノーラへと槍を向ける。

姉と慕うシャオリーを殺されたことで逆上するノーラへ猟矢は武具無効の武具でもって対抗する。万策尽きたノーラにナルド・リヴァイアが迫る。

そして2人はナルド・リヴァイアが起こす高波に飲み込まれていった。


ナルド・リヴァイアはその戦いをもって猟矢とアッシュヴィトを認めた。そして、彼らを旗印として組み立てられる相互防衛同盟の存在を許した。

こうして、ディーテ大陸とラピス諸島による相互防衛同盟"コーラカル"は締結された。


【カミサマが助けてくれないので復讐します 2】


"コーラカル"同盟が締結されたが、パンデモニウムは静かだった。レッター級による散発的な集落への略奪とそれを守るための衝突はあれど、大規模な襲撃もなくいたって平和であった。

ある日、猟矢は今までのことを整理していた。今まで見聞きした内容を創作に生かそうと取っておいたメモを見るが、それはどれも見覚えのあるものだった。

すでに知っている、どこかで見た覚えのあるという既視感の正体に、猟矢は気付く。

「この世界は俺が今まで作った創作……?」

今まで書くだけ書いて放棄してきた未完結の創作たち。この世界はその寄せ集めであるということに。


"コーラカル"は締結された。だがパンデモニウムと事を構えるにはまだ足りない。

世界を蹂躙するパンデモニウムには、全世界で対抗しなければならない。そのためには、各地の島や、なによりもうひとつの大陸であるベルミア大陸を引き入れなければならなかった。

少しずつ説得して輪に加えていくしかない。キロ島も表向きは中立としているが、機を見て"コーラカル"へ合流するつもりだ。そうクロエは語った。


そんな中、世界中の領主、国王へと緊急の通信が入る。

パンデモニウムが、と一言の後に断末魔を残して途切れた通信はクレイラ島からのものだった。

クレイラ島は砂嵐の季節を迎え、外部から完全に閉ざされている。転移武具を使わない限りは外へ出ることも内部に入ることもできない。それを利用してパンデモニウムが現れたのだ。

砂嵐の季節によって閉ざされると同時に領主を殺し、さらには神から使わされた獣クレイラ・セティを傷つけクレイラ島を支配下に置いたパンデモニウムを率いているのは、"強欲"ミュスカデ・アベット。つまり、アルフの姉であった。

猟矢たちはクレイラ島の自警団ミララニと合流し、ミュスカデの討伐、そしてクレイラ・セティの解放に乗り出すこととなった。

ミララニのメンバーであるスティーブ、ヴィリ、グウィネス、ゼフィルの助力を借りてクレイラ・セティの解放とミュスカデの討伐を果たす。

そして、命を果たして道を切り開いたグウィネスはクレイラ・セティによって神の御許へと送られた。


帰還して数日後、ミリアム諸島がパンデモニウムに襲撃されるという事件が起きる。

ミリアム諸島はアレイヴ族が住む森林島である。樹木を愛する亜人たちは精霊トレントのもと、外部と関係を持たずに暮らしていた。

襲撃によって何人かのアレイヴ族が拐われ、また一部の集落が焼かれた。命からがら逃れ、"コーラカル"に保護された北の集落の長ルイスを橋渡しに、猟矢たちは精霊トレントを説得し、"コーラカル"への加入を促すためにミリアム諸島に向かった。

アレイヴ族は森とともにありそれ以外には関わらない。それが古来からの精霊トレントとの契約である。トレントの代理人である族長のはそう説く。

橋渡しとして場を作ったルイスさえ外部と関わりを持った汚らわしいものと呼ぶシスとの対談のさなか、アレイヴ族の薬師のニルスが精霊ドリアードに拐われたと知らせが入る。立ち入り禁止区域に足を踏み入れたとして処刑するというのだ。

ドリアードを止め、ニルスの救助へ向かう猟矢たち。それを指してルイスはシスへ旧態依然としたアレイヴ族の姿勢を問う。

猟矢たちはドリアードとの戦いを経て無事にニルスを救助する。

これを受け、シスは決断する。外部に関わるなというトレントとの契約があるために"コーラカル"へ加わることはできないが、ニルスの救助の恩を返すために一度だけ力を貸すことを約束する。


エルジュへ帰還した猟矢たち。アッシュヴィトは故郷ビルスキールニルへと一時帰還した。ラクドウの様子見と、神と交わした約束の再確認のためである。

「パンデモニウムを一人残らず殺したら」

「ビルスキールニルの時を巻き戻して在る日の姿に」


平穏は続かない。

キロ島にパンデモニウムが現れたのだ。セシルが"破壊神"の完成を告げ、そして兵を率いてキロ島の領主クロエに降伏を迫った。

クロエはそれを突っぱね、そしてそのまま戦闘へと突入した。

その助力へと猟矢たちは向かう。キロ島の部隊による海の神、骨鯨の召喚を経てパンデモニウムを追い返すことに成功する。

しかし、それと同時に破滅の一撃が落ちた。

"破壊神"が放った一撃によって、ベルミア大陸の北東の国、アルフェンド国が消失したのだ。


一国を難なく吹き飛ばす一撃は世界だけでなくパンデモニウムの一員ですら震わせた。

恐れをなして逃げ出したパンデモニウムのレッター級、ガルシア、グインはベルミア大陸に拠点を構えるクラルテクランへと保護を求めた。

2人の話から、2人を処罰せんと追うオーダー級、ネツァーラグがヴェインの意識と知識を抜き取った張本人であり、そしてそれらを封じた武具を持っていることを知る。

そして、ヴェインの意識と知識を取り戻すため、ガルシアとグインを使ってネツァーラグをおびき寄せる作戦が始まった。


グインを失い、ガルシアも心を壊した。被害もあったがネツァーラグは仕留められなかった。

撤退したネツァーラグをみすみす逃してしまった猟矢たちに、クラルテクランの一員のエメットが、自分がシヴァルス国の国王の娘であることを告げる。

「"コーラカル"に入るようにって、ベルミア大陸を統べる4王家、ノーブル・コンダクトを説得したいの」

「"コーラカル"の旗印が目の前にいるなんて、これ以上ない説得力だから」


ノーブル・コンダクトは決断を迫られていた。パンデモニウムから告げられた10万人の供出に従うかどうか。さりとて逆らったらアルフェンド国のように滅びるだけだ。

揺れる議会にエメットが乱入する。

「"コーラカル"が守るから、パンデモニウムに従わないで」

その証拠を見せろとノーブル・コンダクトはエメット、ひいては、クラルテクラン、そして猟矢たちに要求する。

自らを囮とし、現れたパンデモニウムを追い返すことでベルミア大陸を守るに足る力を見せろと。


そうして始まった作戦。現れたのはブランガと名乗るカーディナル級だった。

アレイヴ族の捕虜から一転してカーディナル級にのぼりつめた彼は、ヴェインの奪われた知識をその体に植え付けられていた。


ブランガを殺したことで知識がヴェインに返還された。しかし、意識がまだ戻ってない。ヴェインの快復はまだ遠かった。

そこに再度の"破壊神"の一撃が降り落ちる。ノーブル・コンダクトの議場、ベルミア大陸の中心を狙うそれは、ベルミア大陸へ引導を渡すものだった。

誰しも逃げ出す中、猟矢はそれに立ち向かった。

「"破壊神"の一撃を……"キャンセル"!」

この世界に渡る際に保障として与えられた万象を打ち消す"キャンセル"の力でもって。


そして、ノーブル・コンダクトは"コーラカル"への加入を決めた。

クレイラ島、そしてキロ島もそれに加わり、"コーラカル"は改めて歩み始めた。


この先には、パンデモニウムとの戦争が待っていた。

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