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第55話 雪原の盗賊団、再び

「くぁー、良く寝た……あれ、焚火がない?」


 目を覚ますと辺りが真っ暗で、手足もうまく動かせない状態だった。

 まさか盗賊団に拠点が見つかって、寝てる間に袋詰めにされてどこかに連れ去られてる途中なんじゃなかろうか。さらに暴れていると、目の前の空間から抵抗がなくなり、俺はバランスを崩し固い地面に倒れこんだ。


『おはようダーリン』

 振り返ると、胸の前のファスナーを全開にしていたキルモーフと目が合った。どうやら俺は、さっきまでキルモーフの体内に取り込まれていたらしい。何でファスナーがついてるだとか、内臓はどこに行ったとかつっこまない事にした、疲れるから。

 謎生物も一緒だった、着地の際に俺の体で押しつぶされ、ギャグマンガのようにペチャンコになっていたが、これまたギャグマンガのようにキュポンと元の形に戻った。見た目以上に、頑丈に出来ているようだ。


「おはよう、ここどこだ? 2人はどうした?」

 俺は辺りを見渡したが、マーテルとテニシラさんの姿は無かった。


『もう、折角2人っきりなのにムード無いわね!』

「芋虫相手にムードもくそもあるかよ……」

「ん~~ぱくぱく、ぱくぱく」

「餌をくれって、今から! ……ほい、痛っ」

 謎生物が大きな瞳で俺を見つめながら、金魚のように口をパクパクさせて餌をねだってきたので、仕方なく右腕を差し出した。【自動回復】のおかげでしばらくすれば回復するし、なにより周りに食料に出来そうな物が無かったからな。


『うふふ、たくさん食べてパパみたいに大きくなるのよ』

「お前の主成分が綿でなきゃ、きっといい餌になったろうにな」

「ん~~~ん~~~」

 満腹になると、再び眠りだした。

 俺は、自分の右腕に目をやった。当たり前だが、噛み後からは血が出ていた。感染症も毒や麻痺のように状態異常として扱われるので、消毒などしなくても問題は無い。無いのだが、血の匂いで他の生き物が寄ってくるので危険な事には変わりない。

 もっとも、この洞窟内には嗅覚に優れた魔物はいないはずなので、あまり気にする必要はないのだが――。


「!? 獣の足音! 何でだ、ここにはそんなのいな――」

「グァウグァウ!」

「こっちだ! 追え、追え!」

 シルバーウルフの鳴き声と、大勢の人の声と足音が洞窟内に響き渡った。まさか、本当に盗賊団に拠点がばれたのか? だとしたら、マーテルとテニシラさんは――。


「見つけたぞ! 大人しく――」

「【眠り攻撃】」

 現れた盗賊とシルバーウルフに【眠り攻撃】を浴びせると、電源スイッチを落としたようにストンとその場に崩れ落ちた。

 こいつらは、復活さえしなけりゃ大した相手じゃない。【眠り攻撃】が通用するなら、勝算は十分にある。


「おーい、どうなった応答しろ」

「おれが行くまで殺すんじゃねえぞ、へっへっへ」

「ランプが切れちまった、誰か明かりもってこーい」


「3名様、夢の世界へご案内」

「「「えあ!?」」」


 ――ストン

 ふぅ、これだけの人数がいるって事は、拠点がばれたとみてほぼ間違いないだろうな。


 俺は、より有利な場所を探しながら、キルモーフから情報を聞き出す事にした。

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