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第48話 盗賊との嬉しい再会

「行け! キルモーフ、ロケット頭突き!」

「フェフェルフォフォフォー!」

「ギャウ! ――グルルル!」


 狩りを始めてから数十分、あれ以降仲間は増えていない。相性か、運か、それともほかに条件があるのか、どこかで魔物使いにあったら聞いてみたい。

 仲間はともかく、連戦のかいあって魔物肉は結構集まった。相手も不利と分かれば逃げ出すし、群れで襲ってくることがほとんどなせいで、とどめを刺せたのは2体しかいなかったが、全力で戦えば5体の群れまでなら、互角に戦える事が判明した。


「敵がこの程度なら、村の外でもやっていけるかもな」

「ですがそれは、天力や魔力があればの話です。特にシンクの【眠り攻撃】が使えなくなると、大群を相手にした場合に逃走さえできなくなります。事故を防ぐためにも、やはり安全な拠点は欲しいものですね」


 今回【眠り攻撃】は、数的不利を覆すのに非常に役に立った。自分のレベルを上げるためだけに今まで使ってたけど、魔物の集団が相手なら強力な武器になるかもしれない。

 もしかして、さっきの盗賊団も眠らせる事が出来たなら、腹に槍を突き刺す必要はなかったかも。あー、試さなかったのがもったいない!


「はぁ、とりあえず戻ろう。キルモーフ獲物を担げ」

「フェフォ」

 キルモーフは、仕留めた獲物を担ぎ上げ歩き出した、反対方向に向かって!


「な!? 連れ戻しましょう、迷子になってしまいます!」

「……いや、ひょっとして自分の巣に向かってるんじゃないか?」


 おかしいと思ってたんだ、あんなザコモンスターが1匹で外を歩き回って無事だった事が。きっとこの近くにキルモーフの巣があって、あいつは今そこに向かって歩いてるんだ。

 都合よくいけば、俺達の探してる安全地帯とやらが手に入るやも?


 お、立ち止まった。

 キルモーフは、平気な顔で近くの断崖絶壁をよじ登ると、岩の隙間から奥に入っていった。なるほどな、あんな所に入れるのは、多脚生物か空を飛べる奴らぐらいだ。よっしゃ、俺達もGOだ。

 マーテルを背負って、崖をよじ登った。


「フェフォ―、フェフォ―」

「マーテル気づいてるか?」

「はい、人の気配です……後ろから!?」


 背後から1人、ナイフを持った盗賊が現れた。

 俺は右手を盾にして、ナイフごと盗賊の手をつかみ捻り上げた、悲鳴の感じから女のようだ。ちょうどいい、さっきの【眠り攻撃】の件を試す絶好の機会だ。俺は左手に意識を集中させ、盗賊の腹に軽~く――。


「ちょ、タンマタンマ! あたいだよ、新入り、テニシラだって!」

「その声……その口元!」


 毛皮で出来たフードをバサッと取り外すと、そこには口元がセクシーな美女の顔があった。間違いなくそれはギルドでの仲間、シーフのテニシラさんだった。

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