第39話 続・ドワーフと始めるエンチャント講座
明日も投稿します。
「うう、恥ずかしいであります……こんな未熟な――」
「こらこら手で隠すな! ん? このぬるぬるしたのは何だ?」
「ああ! ダメであります、そこは弱いであります。なっ! 顔を近づけてクンクンするなであります。そんなに見られたら、あんまり手入れしてないのバレちゃうでありますぅ~」
なんだろう、俺はただミケルの家で魔道具を見せてもらってるだけなのに、とてもいけない事をしている気分になった。
だがこれで、分かったことが2つある。1つは、俺の守備範囲が思っていたより下方向に広かった事。もう1つは、ミケルは俺の欲望を満たすに十分な技術を持っているという事(魔道具的な意味で)。
「で、どんな感じで作るの、これ?」
ミケルが、魔道具作りを実演したくれた。
魔力が付与されたアイテムの事を魔道具と呼び、アイテムに効果を付与する事をエンチャントと呼ぶらしい。
魔道具の良し悪しは、使用する魔石の量とランクに比例し、強力な効果を発揮するには、より高価な魔石が必要なんだそうだ。
「出来たであります! バナナの皮で転びにくくなる指輪であります!」
「何それ、しょっぼ」
「仕方ないであります魔石は基本高価な代物、練習用の粗悪なものでも無い限り、そう簡単には手に入らないであります」
なるほどな、店売りのあの値段は魔石が高価な代物だったからか。
だとすると、俺の能力向上には使えそうにないな。でもまあ、もう1つの目的は達成できそうだしよしとするか。
「バナナの皮以外は、どんな効果を付与できる?」
「うーん、猫に嫌われる確率を増やす効果、財布を落としてもだれも見向きもしなくなる効果、段差が近くにあると小刻みに振動する効果――――」
聞いた感じだと、発動条件を事細かく設定していく事で、ちょっとは増しな効果を発揮させる事が出来るようだ。そのどれだけ条件を限定的に出来るかも、魔石のランクに比例しているらしいが、一般人が私生活の中でかすり傷を負う回数が減る程度の加護は与えられるようだ。
「よーし、今から言う条件で、7個ほど頼む」
「7個……ちょっと大変ですが、頑張るであります!」
「それが終わったら次の条件で、4つ」
「追加で4つ……そのくらいまだなんとか」
はぁ、魔石の値段かぁ、ミケルにエンチャントの経験があるから、もしかしたら超強力な魔道具をバンバン作ってもらえるかもとか、とか思ってたのになぁ。
特訓と装備、あと他に自分を強化する方法……なんだろう?
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