第27話 新たな仲間は、巨乳で気が利く可愛いボクッ娘
――アシスタントが派遣されました――
以上の文章が、俺の頭の中に送られてきた。
そして、朝焼けに包まれる俺を心配する、とても可愛らしい声。
勝った、第3部完!
俺は、前々から考えていた。俺の能力は物理ダメージだけでなく、精神的ダメージでも適応される。せっかく成長条件が2つあるんだから生かさないともったいない、と。
だから今回、俺にとって面白くない状況が重なったこの瞬間を、利用してやろうと考えた。作戦決行の合図は、勿論マスターの一言だ。そこからは、事前の調査とその場のアドリブによって、より惨めな状況になれるように演出したわけだ。
とどめに、過去にあったあらゆる俺の都合の悪いシーンをイメージしながら、普段蓋をしている負の感情とそれらを心の中で混ぜ合わせ増幅させた。
その結果がこれだ。俺の能力はまた新たな段階へと足を踏み入れ、美少女アシスタントの派遣という、素晴らしい特典を俺にもたらしたのだ。
「ご主人【浄化】をかけたからもう綺麗だよ、目を開けて大丈夫だよ」
「おはようのキスをしてくれたら、目が覚めるかも~」
「そっか、分かったよ」
期待に胸を膨らませながら、うっすらと目を開けると、1頭のホルスタインが俺の顔に唇を近づけている真っ最中だった。俺は飛び起きた。
「うぎゃぁぁぁ!」
「どしたのご主人?」
目の前のホルスタインから、可愛らしい声が聞こえてきた。
「えっと、もしかして君がアシスタント?」
「そうだよ、よろしく「チェンジで」ひどいよ~」
どうやらチェンジは不可能らしい。まあ俺は動物は嫌いじゃないし、彼女は干したての布団の様ないい匂いがするし、【クリエイトミルク】でパックの牛乳が出せるし、背中に乗ってると、ゆりかごの様な心地よい揺れ加減だし――――やべ、寝るとこだった。
「で、アシスタントって、何してくれんの?」
「生活魔法で身の回りのお世話をしたり、移動手段にしたり……あ、食べてもいいけど、味は無いし、お腹も満たされないし、復活に24時間かかるしでお勧めしないよ。あ、あとスキルポイントの管理だね」
スキルポイント! 何それ、そんな便利な機能あったのかよ。
「調整したいなら、ボクの右の乳首を触ってね」
「ここか?」
「いやん、右だったら」
「右側全部触ったのに何も起きねえじゃねえか!」
「あ、ごめん、ご主人から見ての右」
お、これか……周囲の視線が痛いんですけど。
事情を知らない人から見たら、今の俺は、日も出て間もない時間に牝牛を押し倒し、乳首を愛撫している変態にうつっているだろう。
「お若いの、止めときなされ、怪我や病気の元ですじゃ」
「し、失礼しましたぁぁぁぁぁぁ!」
俺は、全力でその場を後にした。
周りにいたのが、ご老人ばかりだったのがせめてもの救いだろうか。




