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第23話 女神様が見ている(その2)

第3章開始です。


「う~ん、何がいけないのでしょう?」


 命名師の女性は、変装を解き女神としての正体を現した。

 宿の一室で女神は、シンクの今後について悩んでいた。


 一応、働く意思のかけらは見せたため、今回は罰とも褒美ともとれる素敵な名前を提供する事にしたが、まだまだシンクのだらけ癖は治らないようだ。


 あのゴンザレスという男、本来であればゴブリンとの戦いで大きく成長したシンクが、仲間達の援護の元、華麗に叩きのめし一躍ヒーローになるという筋書きだった。

 万が一ピンチになった時の為に道具屋をそばに配置し、起死回生のアイテムを手に入れてもらおうとしていたが、報酬を商人への情報料として払っていたため、結局無一文で素通りされてしまった。


 そして、ゴブリンの王、ディアーク。彼と相対する事で、向上心を目覚めさせようとも考えていたが、その役目を他の人間に譲ったためご破算になってしまった。


「……やはり女でしょうか。女神として、あまり褒められる行為ではありませんが、致し方ありません! 女です! 数々の美女を差し向けて、それらに貢がせるためにあくせくと働いてもらいましょう!」


 そう考えた女神は、天界から各種データを取り寄せると、使えそうな人間をピックアップし始めた。


「見た目は勿論ですけど性格もですよね、あと物理的に接点がない人間も候補から外しましょう。そうだ、人化できる魔物も候補に入れてしまいましょう。いやむしろ、可愛らしければ男でもいいのでは?」


 そんな恐ろしい発想の元、女神によるシンク真人間化計画は進められた。

 そして、引き延ばされた時間軸で1週間、人間界での5分が経過した。


「素晴らしい、半日の間に人間時間で168時間も働いてしまいました。ああなんと素晴らしい、この素晴らしさをあの少年にも早く理解させて差し上げなくては」


 女神は瞳をらんらんとさせながら、出来たばかりの計画書を抱きしめた。


「おっと、もうこんな時間、休憩時間はおしまいです。女神に休息は不要なのですが、不眠不休で働くと町の人達に怪しまれますし……なんともったいない。計画の実行は、夜間に行う事に致しましょう」


 そんな事を言いながら、女神は教会に向かって歩き出した。

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