第10話 ギルドと愉快な仲間達
「おお! おおお! おおおお! 人だ、人がいる!」
「当たり前でしょう、村なんだから」
「村っていうか……城じゃね?」
歩き続けること数日、遂にカンナの故郷にたどり着いた。
王宮を中心に高い壁が築き上げられており、城下は多くの人で賑わっていた。
「早く教会に行こうぜ、その腕くっつけないと」
「その前にギルドよ、討伐報酬貰わないと」
うっひゃー、ギルドとかまであるのか。
マジでファンタジーな世界に来てたんだな、俺。
道のど真ん中でそんなことを考えていたせいで、通行人とぶつかってしまった。
「す、すみません!」
「おい、こんなとこで立ち止ま……ひぃ、カ、カンナ!」
「み、みんな逃げろー!」
「いやぁー、ぶっ飛ばさないで―!」
俺の事など眼中にない様子で、横にいたカンナを見るなり、みんな逃げ出した。
さっきの賑わいはどこへやら、取り残された商人達の必死の営業スマイルが胸に刺さった。
「ギルドだ! ギルドに急ごう!」
俺は、カンナを抱き抱えた。
「ちょ! いきなりびっくりするじゃないの!」
俺の顎に、拳が突き刺さった。
俺の体は、カンナを抱き抱えたまま宙を舞い、とある建物の壁をぶち抜いた。
「あ、着いたわよ、ギルドに」
頭が突き刺さったまま、俺はギルド内を観察した。
西部劇の、酒場みたいな所だと思った。
意外な事に女性も多い。
しかも結構美人だ。
お、美人が1人こっちに歩いてきた。
「よおカンナ、生きてたのか」
「そっちこそ、また顔の傷増やしてあげようかしら」
あ、俺は無視ですか、そうですか。
そして、2人は右頬を殴りあった。
そしてそして、厚い抱擁。
「心配したんだぜチクショウ! マスターがあんな無茶言い出すから」
「ホントダメかと思ったわよ、ドラゴンがあんなにヤバいだなんて」
「え? ほんとだ、カンナだ!」
「ミルクの飲み比べ野郎ゼイ!」
「おっつかっれ、さん!」
カンナの知り合いだろうか?
全員1発ずつ拳を交えた後、厚い抱擁を交わしていた。
カンナは、うれしそうに笑っていた。
「そこの人、あんたもこい、よっ!」
力任せに引っ張られ、壁からの脱出に成功した。
そして、左頬を殴られた。
「冒険者同士の挨拶だよ、さあ、ガツンと」
「……がっつ~ん」
「よし、次はオレな!」
「え!? ちょ!?」
俺は、ギルド中の人間に暴行を加えられる羽目になった。
スキル【ギガヒール】を習得した。
ただし、魔力が足りない!