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獣の道楽

 嫌な匂いだ。私はこのような場所に来るといつもそう思う。タバコに酒、そして金持ちのきつい香水の匂い。私を捕らえた人間は、いつもこのような場所で私を売り買いしようとする。そういった環境はこの物達の中身をあらわしているようだ。顔にもそんな様子が浮かび出ている。しかし、私はわざと捕まっているのだ。いつもわざと人間に捕まり、人間が聖獣である私に何億という値段をつけ、買い取る姿を見て優越感に浸る。そこで満足したところで、自分の力を使って逃げるのだ。そのときの絶望した顔など最高にそそるのだ。


 このような道楽を行ってはや100年、姿形を変えるすべをもつ私には退屈しないあそびだった。今回はとても美しい姿に化けている。見た目は狼に近く、毛並みは銀色で、瞳は紫。まあ、なんというか人間が考えやすい聖獣の姿の一つではなかろうか。しかし、狼に似た姿では動物だと怪しまれる。そのため一つだけ奇妙な部分を作っておく事が大切だ。今の私の姿で言えば、狼の姿の背中に片方だけ生えたツバサがあるということだ。片方だけでは飛べるはずもないが、それによって、私がただの動物でなく、未知の物である事に確信をもたせる。金持ちはこのような美しい姿のものは喉から手が出るほど欲しいだろう。


「さて!今回の商品は一級品だよ!今日買わなきゃいつ買えるか……一生に一度の出会いだよぉ!」


 どこにいってもこの台詞は変わらない。20年ほど前に私を売った商売人は、もっと私を上手く売っていたはずだ。そうして私を売る値段がついていく、言い値がつきそうで私も満足している。しかし、一つの声が会場を静まらせた。


「その獣、私がこの中の誰よりも高い値段で買い取りますわ」


 この場にふさわしくない、凛として透き通った声。会場の奥に一人ぽつんと座った少女が、まっすぐに手を伸ばして言った。少女は私の方を力強く見つめていた。その姿は、とても凛々しい。会場はもちろんざわめいていた、何より一番驚いたのは私だった。


 私はその少女によって買い取られる事になった。これまでにも、娘のためにペットとして買い取りたいと言ってきた富豪には何人もいた。しかし、自分自身で私を買い取ろうとした少女は初めてだ。少女は茶色い髪の毛を高い位置でまとめ、フリルのついた赤いワンピースを着ていた。首もとまでしっかり隠れた襟元には、白いリボンが結ばれている。その赤さと白いリボンが彼女をより一層気高く見せていた。私はふと、もうすこしこのままでいようかと考えた。今思えば、この考えがいけなかったのかもしれない。


 結局私は、思うままにその少女についていった。裏商売人の店があった裏路地を抜けて、さらに深い路地へと入った。大体、金持ちというのは自分のやましい行動がばれないように、店から少し離れた場所に移動するための馬車等を置いているのだが、少女は違った。彼女は、どこかに何かを止めた様子もなく、ただ黙々と歩き続けた。夜の闇にまぎれて、ひそひそと話す声が聞こえる。貧しい物たちの中でも夜に活動する人間たちが動き回っているのだろう。私は普通の人間では聞き取れないような声や物音に耳を傾けながら歩いていた。この少女は自分が夜中に一人で歩いていて、襲われるなどといった恐怖はないのだろうか。周りの人間達も私には目もくれない様子だ。自分たちの計画で必死なのだろう。そんなことを考えながらも少女は歩き続ける。気づくと、海に面した白いボロ屋の前で少女が止まった、なんとそこが彼女の家だというのだ。私は一層少女の身の上に興味を持った。そして、私とこの少女の奇妙な生活が始まったのだ。

とりあえず、思いつくままに書いてみたかったので書いてみました。正直ネットの文章って詰めて書くと読みづらいですかね……。

聖獣と少女についてはあまり最初には書き込んでません。これからしっかり、書いていけたらなぁと。短い作品にするつもりなのでそんなに長くは続きません。

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