②
俺がアパートに帰った時にはとっくに日が暮れていた。
部屋に入り、荷物を降ろして帰り途中に電池が切れた携帯を充電器に繋ぐ。
そして埃と砂まみれの服を脱いだ。
ボサボサの頭と大量に汗をかいた身体が気持ち悪くて熱いシャワーを浴びる。
「…ふぃ~~」
濡れた身体と髪を乾いたタオルでくしゃくしゃに拭きながらTVをつけ、充電していた携帯を手にとるとサーバーに何件かたまっていたと思われる直哉と宏紀からのメールが届いていた。
三日前直哉の部屋で起きた一件から、再び他の誰かをも危険な目に遭わせてしまうかもしれないと俺からの連絡は控えていたがその危険性は多分、もうない。
宏紀も直哉から聞いていたのだろう、メール内容は直哉と同様に俺の安否を心配するものだった。
二人宛に謝罪と感謝、そして明日から学校とバイトに復活する旨のメールを作成して《送信》を押す。
ぐぅぅぅ~…
突然腹の虫が大きな声で鳴いた。
そういえば今日何もまともに食べていない上に一睡もしていない。
時計を見るともうすぐ21時になるところだ。
「腹減ったなぁ…」
特に買い物もせず帰ってきてしまった事を後悔しながらとりあえず小さな冷蔵庫を開けてみる。
しかし予想を裏切って一昨日母親が買ってきてくれた食材の余りが十分にあった。
心配性の母親に感謝しながら寝る前に簡単に夕飯を食おうとキッチンに立つ。
野菜を油で炒める音とTVから流れる騒がしいバラエティー番組の声で携帯の着信に気が付いたのは料理が出来上がってからだった。
不在着信 3件
《通知不可能》
《通知不可能》
《通知不可能》




