⑤
「本当に?祝ってくれんの?」
「うふふ、うん!俊くんの記念すべきハタチのバースデーだもん、この日をきちんと祝わないと俊くん大人になれないかもしれないし。」
ふふ、と笑う香織が愛おしく俺はまた嬉しさがこみ上げ子供のように飛び跳ねた。
「や…ったーーー!
予定のないハタチの誕生日なんて寒すぎてまじピーターパンシンドロームだし!香織に祝ってもらえるなんて最高だよ。祝って祝って、俺が大人になる日!」
無意識にガッツポーズまでとっていた。だって、誕生日香織と一緒に過ごせる!
「当日の夜に俊くんち行くよ、カオリ特製のバースデースイーツ持ってね。」
「特製ってことは手作り?楽しみ。俺、今なら空飛べるかもしれん!」
あまりに喜ぶ俺をわかった、わかったと笑いながらなだめる。
「本当に寂しかったのね、ごめんね俊くん。
OK、俊くんが好きなチョコレートでびっくりするくらいとびっきりの作って行くよ、愛情まるごと込めて!あと他に何ほしいか考えておいてね。」
「おう!考えとく!あんなコトこんなコト、
いろんなコト考えとく!!香織も食べちゃうかな♪」
「あはは、ばーか。んじゃ楽しみにしててね。あ、アドレスも変えたならちゃんとメールしてよ?これから企業見学なの、今日は友達も別々の企業だから一人でめっちゃ不安だけど頑張って行ってきまーす!」
「おう、行ってこい行ってこい!気を付けてな。」
もう少し話をしていたかったが香織が頑張っている姿を想像すると自然にまた笑みが生まれる。
あーーーー…誕生日、もう、すげー楽しみ。
先程まで沈んでいた気持ちから一変、小躍りするほどウキウキしながら早速香織宛のメールを作った。
Sub:俊介だよ~
新しいアドレス登録しといてね。
誕生日すげー楽しみにし
ピピピピピ…
《通知不可能》
「うぉ!…え?」
メールを作ってる最中突然携帯が鳴った。
通知不可能。
いや、そんなまさか。