表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの日の約束  作者: ウチダカツヤ
腐ッタ影
46/75

小狭い玄関の扉をくぐるとむせ返りそうな異常な湿度が俺たちを包む。

外でさえ薄暗く感じさせる家だ。

室内は更に光が少ない。

そして不気味なほど静かだ…


「木の腐った臭いが酷いわね…床が抜けやすくなってるわ。気をつけて。」


母親は土足のまま玄関にある20センチほどの段を上がった。

俺もその後ろを続く。

見回すと壁、天井、廊下の所々で自然に還ろうと砂と化した部分が見受けられた。

当然床の損傷は酷く俺達が動く度苦しそうにキシキシと軋む。

完全に腐って抜け落ちている所を避けながら慎重に進まねばならない。


玄関を上がり数メートル先にて左右に部屋を見つけた。

右にある木の扉は押入れ、左はふすまで仕切られた和室のようだ。

まず先に押入れの扉を開けてみようと試みたが

木の腐敗のため形が歪んでいる。

もし無理に開けようとすれば外れておそらく倒れるか崩れてしまうだろう。

気にはなるが危険なためこの中を調べることは断念した。

押入れの向かいにある和室の襖は少しだけ空いている。

そこから中を覗くと部屋いっぱいにこもった腐って痛んだ畳のカビくさい臭いが俺の鼻を刺激した。

雨漏りなのか、天井や畳みにシミがいくつかついてる以外はただの空っぽの部屋らしい。


和室を離れ、奥へ進んだ所には古びたキッチンがある。

母親はそこで周りを見回しながら棚や引き出しを開けゴソゴソと何かを探していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ