表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの日の約束  作者: ウチダカツヤ
オ帰リナサイ
44/75

母親の視線の先に目をやるとそこには敷地を取り囲む石塀の隙間から突き出ている伸び放題の雑草の奥にひっそりと建つ木造・平屋建ての小さな家が見えた。

まだ昼間だと言うのに家を取り囲む空気は重々しく何年も太陽の光に当たっていないかのように薄暗い。

妙な威圧感と共に佇むその様はまるで誰かが家に近づくのを拒んでいるように見える。

昔の姿から変わり果ててしまったのだろう、この外観に見覚えなんて微塵もなかった。


「外から見るだけじゃわかんねぇよ、残念ながらこの家に見覚えなんて全くない。」


「そうね…ちょっと待って、もしかしたら…」


そう言って母親は家の玄関へ歩み寄り入り口横に設置された、昔ポストの役目を果たしていたと思われる茶色い錆びだらけになった鉄製の箱に手を伸ばした。


下の扉が開くタイプのポストのようだが、何年も開けられなかったせいか錆びきって固く口を閉じている。

母親が扉をこじ開けようとつまみに力を入れた瞬間ぼろん、とつまみが取れてしまった。


「あちゃー…取れちゃった。」


「ちょ、代わって?」


黙って母親の様子を見ていた俺は地面に落ちていた手頃な石拾い、ポストのもろそうな場所に照準を定めてコツンと一突きした。





カラン…





ほとんど手応えがない程呆気なくにぎり拳大の穴が空く。


「ちょっと!そんなあからさまに壊さないでよ。」


「もう母ちゃんがつまみ壊しちゃったからいいかと思って。」


悪気なく言った俺を少し睨んだ母親は穴が空いた所から中を覗き込む。


「……あった!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ