27/75
⑥
俺の目の前では痩せ型の男が少女に覆い被さっていた
引き裂かれた服
乱れた長い髪
腫れ上がった顔には所々血がじんわり滲んでいる
少女はただ涙を流しながら『それ』が終わる時を
待っているように見えた
啜り泣く少女に構わず男は揺れ続ける
ヤ メ ロ
沸々と俺の中に沸き上がる熱くどす黒い感情
ハァ…ハッ…ハァ…ウゥ…
止むことのない耳障りな男の息遣い
ヤ メ ロ ォ ォ ! !
ドンッ!!
俺はその男目掛けて思い切り体当たりをした
しかし簡単に跳ね返りコロリと床に転がる
力が出ない…?
転がった俺は目の前に伸ばした自分の手を見て愕然とした
そこには血管が浮き出て骨がゴツゴツした“男の手”ではなく
ふにふにと柔らかいふっくら丸みを帯びた
小さな“子供の手”があった
これは……俺の手か?
ゴスっ!
突然、俺の背中に激痛が走る
ゴスっ!ゴスっ!
二発、三発とめり込む衝撃
下半身を露出させたままの男は何かを叫びながら
俺の背中を骨の浮き出た細い足で踏みつける
肺が潰れそうでうまく息が出来ない
意識が遠退きそうになった時俺の小さな体は
大きな手に乱暴に掴まれふわりと宙を舞う




