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①
「本当にすまなかった…こんなことに巻き込んで。」
俺は引き留めようとする直哉に深く謝罪し自分のアパートに帰った。
得体の知れないあの女の子の標的は明らかに俺だ。一人になるのは恐ろしい。
しかし香織にしたように直哉にまで手を出したあの子は躊躇することなく他の俺の周りの人間にも危害を加えるつもりだろう、彼女にとって『邪魔になるもの』全て。
俺は一人でいなければならない。
自分のアパートに戻った頃には空は明るくなっていた。
ドア下に投げ捨てたままだった携帯は電池が切れ電源が落ちている。
いつ電話が掛かってくるかわからない恐怖を感じながら充電器に差し込み、電源を入れ直す。
携帯を充電している間、俺はドアノブに掛けられていた白い花の冠を手に取りじっと眺めていた。
このお花知ってる?
お姉ちゃん
このお花大好きなの
この花は昔住んでいた家の近くにある公園にもたくさん咲いていた花…
昔…住んでいた家…?




