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香織は三年前俺のバイト先に入ってきた女の子で、俺の一目惚れから猛アタックの末付き合って二年経つ自慢の彼女だ。
スタイルはいいとは言えないが背が小さくオシャレで可愛い。
同い歳なのだが外見からはやはり幼さが感じられる。
しかしその外見とは裏腹に芯の通った真っ直ぐな子で自分の夢を叶えるために去年、服飾の専門学校へ進み今は卒業制作と就職活動で忙しい毎日を送っている。
会おうと思えば会えるのだがなかなか香織に時間がなく最後にデートをしたのは1ヶ月近くも前だ。
会えない期間は一日に数回のLINEと週に数回の電話を繰り返している。
「まぁ、元気出せよ。そのうちイイ事あるって。気晴らしに合コンでもやっちゃうか?
俺のツレにS大行ってる女の子がいんだよ、合コンやろうってうるさくてさ。S大なら女子レベル結構高いぜ?」
「合コン?!バカ言うなよ、俺は香織一筋なの!」
にやけ顔で肩組みしてきた直哉を制するように軽く振りほどいた。
やっぱりか、とつまらなそうに呟く直哉の表情が面白く思わず拭き出した。
「ま、お前も早いとこイイコ見付けてこいよ。せっかくのイケメンくんなんだ、理想が高いのかお前が難ありなのかわかんねぇけど♪」
「ふん、俊介彼女いたって最近はぼっちみたいなもんじゃねえか。俺や宏紀とばっかし遊んでるくせに。あ、そいえば前にちらっと言ってた『アレ』、その後どうなんだ?」
『アレ』…
別に大した事ではない。
わけの分からないイタ電が最近よくかってくる、とこの前直哉にポロっと漏らしたのだ。