95話:3日目SIDE.D
さて、と、じゃあ、まあ、3日目。2日目が終わって、普通に3日目が始まったわ。
え、何、その、前回SIDE.GODが妙に歯切れ悪いところで終わったのにSIDE.D始まってんの、どうでもいいから前回の続き見せろ、的な目は。
そんなメタ的なこと言ってないで早く始めて早く終わらせなさいって?分かったわよ、とっとと進めるわよ。
えっと、朝起きると、目の前にはやてがいたのよ。きっとトイレの帰りに間違えてあたしのベッドにもぐりこんできたのね。まあ、はやてがベッドにもぐりこんでいたのはどうでもいいとして、あたしは、ちゃっちゃと着替えてしまう。
無難な黒のシャツにジーンズっていうまあ、比較的普通の格好でしょ?黒のドレスなんてのよりは断然無難で一般的よ。
ちょっと長くなってきた髪を束ねて、……そこで時間を見て、そろそろ頃合なので、あたしははやてを起こすわ。
「はやて、起きなさい。そろそろ起きないとパジャマで朝食取る羽目になるわよ」
あたしがそうやって声をかけると、はやては布団の中でモゾモゾと動きながら言った。
「もぉ、ちょっと……」
いつもこんなに寝起きが悪いのかしら。昨日は早起きだったんだけどね……。あれか、枕が変わって寝付けなかったから昨日は早起きだったのね。それで今日は慣れて……、適応力高すぎじゃない?
「ほら、起きてって」
あたしははやてを揺すった。しかし、起きる気配はない。もう、仕方ないわねぇ……。
「起きないとアンタの昨日の使用済みパンツ、友則に持っていくわよ」
――ブフッ!
うわっ汚っ?!はやて、唾飛んだっての……。
「ダメだよ!これ以上は?!」
これ以上は、って、前にも友則にパンツあげたことがあるのかしら……?友則のオカズになってるのね、そのパンツ。
「何枚あげたのよ……」
あたしの呆れ声での呟きが聞こえたのか、はやては頬を真っ赤に染めて言い訳を始めたわ。
「違うの。その一緒に居たいって言うけど、わたしは帰らなくちゃいけなかったし、どうしようか迷った挙句、渡せるものを渡すことにして、そのときに履いていたパンツをあげたの。それだけなんだよぉ~」
それだけもへったくれもない。何故、そこで渡せるものでショーツを選んだのよ……。他にも何かあったでしょ。そして、友則の情けないことこの上ない。
「あとは……、その、初めての記念に……」
あ~、ね。爆発しろリア充。
「まあいいわ。とりあえずとっとと着替えなさい」
はやてが着替えを始める。はやての今日の下着は薄ピンクのサテン生地のショーツとお揃いのブラね。その上に、白地のブイネックのシャツ、黒のスカート。スカートは裾が広がっているのではなく、あまり広がらず体にフィットするタイトスカート。
ぶっちゃけ、あたしはそう言った格好をあまりする気にはならないのよね。いくら露出が平気とはいえ、街中を水着で歩くのはよくても、パンチラしたまま歩くのは嫌なのよ。それと同様で、例えば白のシャツは絶対にブラが透けて見えるし、ブイネックなので前かがみになると中が見えるわ。タイトスカートもフィットする所為でパンツのラインが浮き上がるのよね……。ノーパン、もしくはティーバックを履けば何とか……?
と、まあ、そういう理由で着ないし穿かないんだけど、はやては鈍いからそう言ったことに気づいていないのよね。本当に天然で。
ま、注意しないんだけどね。別にいまさら意識されても、ねぇ。その天然は治るもんでもないと思うし。
「さ、はやて、とっとと朝ごはん食べに行きましょうよ」
あたしの呼びかけに靴下を履きかけのはやてが慌てて立ち上がって転びそうになっていた。えと、タイトスカートだとしゃがむのがきついし、足を上げづらいからベッドに座って靴下を履いていたのよ。別に太っていて立ったまま靴下が履けないとかそんなんじゃないから安心して頂戴。
「ま、待ってよぉ~、暗音ちゃぁあん」
はやては少し涙声になりながら慌てて靴下を履くと、ちょっと寝癖のついてしまっている髪をピンで押さえて、半デコ状態であたしの後をついてきた。
そして、食事に行くまでの間、いろんな男がはやての方をジロジロ見て、あたしが威嚇して追っ払うのであった。
宴会場2にて、あたし達ははやてを凝視する男子を威嚇しながら歩いてきたために少し遅れてしまったらしく、結構集まっていたわ。そんな中に、このブラ透けパン浮きを彼女とする男を見つけた。
「ちょっと友則。これ、どういう教育してんのよ?」
はやてを指差しながら友則にそう言った。すると友則は意味がわからなさそうにはやてを見た。そして、しばらくして気づいたみたいね。
「お、おま、はやて。もうチョイ別の服はなかったのかよ」
まあ、彼女のブラ透けパン浮き姿は、ねぇ……。
「ふぉえ?何が?」
はやては本当に分かっていないあたり凄いわよね。本当ならわざとじゃないか、とか、演じるな、とか思っちゃうけど、はやてだけは天然だって分かるのよ。
「ああ、もう」
友則もいつものことなので半ば諦めているらしいわね。まあ、ご愁傷様よね。でも、いいんじゃないの、悪女じゃないってことがよく分かるから。純真無垢すぎる気もするけど。
「はやて、いいのよ、はやては気にしないで。それより友則、あんた、はやてからパンツを2枚貰ってるって話本当?」
あたしが朝聞いた面白いネタの真偽を追及する。友則の反応を見るに本当っぽいわね……。キモッ!
「マジなの?」
あたしの言葉にコクコクと頷いてしまった友則。ああ、もうどうしようもない変態ね、コイツは。
「い、いや、な。家に一人になるときって寂しいじゃん。家隣なんだからはやても泊まってけばいいのに帰るっていうし。だから、何かくれるって言うからなんだろって思ったらパンツだったんだよ!これ、俺悪くねぇし」
まあ、確かにパンツをあげたはやても悪いわよねぇ。このカップル、揃いも揃って変人ね。
「てか、お前だって、弟にパンツをプレゼントしたりしてんじゃねぇの?」
たりの用法間違ってるわよ!それにまあ、紳司のタンスに紛れ込ませたこともあるけど、結局母さんが元に戻すから意味がないのよね。
「したいけど母さんが邪魔するのよ……」
普通のことよね、これ。するとあたしのことを変なものを見るような目で見てくる友則とはやて。自分等のことを棚にあげんな。
「お前も変態じゃねぇか!」
友則にそんな風に言われたわ。失礼ね……。紳司の方がよっぽど変態よ、いろんな意味で。おっぱい大好き、ちっぱい大好き、幼女でもいけるし、30代くらいまでなら年上もいけるし、匂いフェチだし、パンツ大好きだし、軽くマゾだし……挙げたらキリがないわね。
「失礼ね!あたしの弟の方が変態だわっ!」
あたしの指摘に何言ってんだコイツとか言う目で見る友則。あのね、アンタは会ったことないから知らないだけなのよ。
「いやいや、あのカッコイイ弟君がそんなに変態なわけがない!」
何を持ってそれを断言しているのよ。確かにカッコイイけどね。カッコイイから変態じゃないってのは違うのよ。
「いや、マジなのよ。あの子、大抵許容できちゃう上にモテてる自覚がないから、たぶん今は高嶺の花扱いで告白されてないけど、告白されたら大抵誰とでも付き合っちゃうような感じよ?」
ホント、誰も告白しなきゃいいんだけど……。と、すると、あたし等とは別のテーブルの女子が話しに入ってきたわ。
「え、暗ちの弟って、三鷹丘の会計の人っしょ?あの人だったら、告白しても今はそういうの考えてないから付き合う気はないって言われるって噂があったけど?」
え、マジで?てか、
「チョイ待ち、こん中にあたしの弟に告った奴とかいる?ぶっ殺すから挙手!」
何、人の弟にちょっかい掛けてんのよ。あぁん?潰すわよ、マジで。
「そっちゃんが告ってました!噂とか言っちゃってるけど実体験でフラれた子で~す」
そっちゃんこと園菓子苑嗚は、さっきあたしを「暗ち」って呼んだ女ね。ちなみにそっちゃんを売ったのは柿生菓子。お菓子コンビとして有名よ。園菓子の「菓子」と菓子の「菓子」ね。
「ちょ、かっしー人のこと売らないでって!」
そっちゃんがかっしーに怒る。けどね、あたしの方がもうチョイキレてんのよねぇ……。
「ちょっとそっちゃん、表に出てくれる?」
あたしのドスの聞いた声に「ひぃい」と悲鳴を上げる苑嗚ちゃん。そして、怯えながら言うわ。
「ちょ、今まで一回も暗ちにそっちゃんとか呼ばれたことないって!てか、マジギレ?!」
マジギレ、ねぇ。ええ、結構マジよ、これ。もうスパッって首を落としちゃいたいくらいよ?
「ほぉら、一瞬で逝けるから、怖くないから表へ出ましょ?」
ちなみに後で知ったんだけど、結局苑嗚ちゃんは告ってないらしいわね。告白しようとがんばって「付き合ってる人とか、います?」って聞いたら、「そういうの考えてないから今のところ付き合う気はないかなぁ」て言われたそうよ。そっか、マジグッジョブ。
さて、と、そんなこんなで慌しい朝食と共に、あたし達、鷹之町第二高等学校の修学旅行3日目が始まったのよ。
3日目、全体見学では大阪府を見学に行くことになっているのよ。さあて、どんなことになるのかしらね。
家の大掃除やらパソコンのクリーンアップやらをやっていたらすっかり時間をなくして昨日は投稿できなかった、と言ういいわけです。
えと、まあ、その今日はがんばって(この話含めて)2話書くんでそれで許してください。え、できるんならいつも2話投稿しろって……?またまたご冗談を……




