73話:シャワーSIDE.GOD
ちょっとR-15?微性的な描写です。
俺は、部屋に戻ると、静巴を置いて、下の階の自動販売機にジュースを買いに行っていた。冷蔵庫内の飲み物は自由に飲んでいいが、やはり、炭酸飲料とかを飲むなら自動販売機で欲しいものを買ったほうがいい。
と、言うことで、俺は、自分用にサイダーと静巴に頼まれた紅茶を買っていた。紅茶は普通の紅茶……と言うか、ストレートティーでいいそうだ。本当は自分で紅茶を淹れたがっていたが、流石にルームサービスで頼むのは面倒だ、と静巴は自動販売機の紅茶で我慢するらしい。
割りとのんびり行ってたから結構時間がかかっちまったな……。15分くらいかかって、俺は706号室へと戻った。すると、部屋には既に静巴の姿がなかった。
う~ん?友だちのところにでも行ったのか、それとも秋世のところか。まっ、いいか。俺は俺でシャワーを浴びちまおう。
そう思い、買ってきた飲み物を部屋に備え付けてあった冷蔵庫に入れて、着替えを取り出し、バスタオルと一緒に持って、バスルームへ向かう。
鼻歌交じりに、俺は更衣室の扉を開けた。そして、ちゃっちゃと服を脱いで、念のためにタオルを腰に巻いて、勢いよくバスルームの扉を開ける。
「えっ……」
そして、俺は固まった。バスルームではシャワーの音が響いていた。しかし、それだけではなかった。
髪を束ね上げ、タオルで巻いているのだろう。うなじから背中、そして、台に腰をかけているつつましいお尻までが丸見えだ。
色っぽいうなじに、肩幅の狭い可愛らしい女性の背中。まさしく美少女と言った雰囲気が後姿からすら伝わる様な、そんな美少女。
そう、すっかり忘れていたのだが、この「楽盛館」と言う旅館は、有名な政治家なんかも利用する高級旅館。そして、そう言った客層に配慮した造りになっていて、客室が防音なのはもちろん、トイレの用足しの音やシャワーの音を聞かれたくない場合のために、個々が全て防音使用になっていて、扉を開けないと音が響かないようになっているのだった。
そう、つまり、静巴は、部屋の外へ遊びに行ったのではなく、風呂に入っていただけだったのだ!
「へ……?」
そして、俺の声で気づいたのだろう。風呂に入っていた張本人の静巴が、くいっと自分の肩越しに後ろを振り向いた。
そのまま上半身を捻って振り返っていたら……。まあ、いい。それよりも、この状況をどうするか、だな。
「あ~、いや……。その……」
俺が何を言えばいいのか考え、どもっていると、静巴の方が先に口を開いた。
「いいから閉めてください」
閉める?とりあえず、ドアを閉めた。……って、あれ、これ、余計ヤバイじゃん。これって、俺が出て扉を閉めるべきだったんじゃ……。
「そこにバスタオルがかかっているのでこちらに貸してください」
と、思ったらそうではないらしい。バスタオル?ああ、これか。俺は、バスタオルを取り、後ろに伸ばしている静巴の手に乗せた。
静巴はそれを受け取ると、すぐさま、自分の身体に巻きつけた。一応、これで、お互い一応身体を隠したことになる。
「って、何でだっ。俺が出て行けばいいんじゃないのか?」
思わず、全てのやり取りが終わってから言ってしまった。……役得だが、しかし、俺の理性が待ったをかけたのだ。
「……わたしと一緒に入るのは、嫌ですか?」
ブハッと思わず噴出してしまった。顔を赤らめて、静巴がそんな風に言ったのだった……。そんな顔で言われて断れるわけがない!てか、断る理由はない!
「いや、俺は構わないけど」
しかし、一緒に入るのか……、静巴と?姉さんならまだしも、静巴と一緒に……。思わず、ごくりと息を呑んでしまった。
静巴の体つきはお世辞にもいいプロポーションとは言えないが、それでも女性である。起伏が大きくはないが、確かにある。シャワーを浴びたからだろうか、静巴の身体は火照り、赤みを帯びている。濡れ滴る水滴が艶やかさを増させる。
バスタオルで身体を隠しているものの、元々シャワーを浴びていた静巴の身体には水が滴っていたのでピッタリ張り付いて、ボディラインがくっきり浮き上がっている。
どうやら、静巴はまだ入ってすぐだったようで、全身の汗を軽く流しただけで、まだシャンプーもリンスもしていないようだ。それを察した俺は、静かに静巴の元へ歩み寄り、そっと、静巴が頭に巻いていたタオルを解いた。
すると、濡れ滴った髪がはらりと元に戻った。ちなみにだが、何故静巴がまだ水をかけただけの髪を束ねてタオルで巻いていたか、と言うと、静巴は先に体から洗う派らしく、その間、髪から落ちる雫が冷たくて嫌いだから、と言う理由らしい。なお、まだ、ボディソープで体を洗う前だったようだ。本当に、汗を軽く流しただけ。
「……ん」
静巴は、俺がタオルを解いたことで何をしようとしているのか察したのか、シャンプーのボトルを差し出してきた。この辺は、流石だと思う。察しがいいというか、空気が読めるというか。
俺はシャンプー、リンス、ボディソープを受け取りタイル張りの床に置いて、シャンプーを少量手にとって、軽く泡立たせつつ静巴のそこまで長くない髪に当て、そして、軽く頭皮を揉むようにシャンプーを全体に行き渡らせていく。
適度に行き渡らせたら、俺は、シャワーを受け取り、シャワーを排水溝の上で少量出して適温になるまで待ってから、静巴に一言かけてお湯をかける。
「かけるぞ」
俺の言葉に、静巴は目を瞑って頷いた。目を瞑っているのは、流れたシャンプーが目に入らないようにだろう。
俺は、静巴の髪にシャワーを当てながら手でシャンプーを軽く落としていく。そして流れ落ちるシャンプーが、静巴が身体に巻いているタオルに染み込んでいく。その結果、タオルが透けて、奥の肌色が浮かび上がってきた!
なんだろうか、このチラリズムにも似た感じは。いや、見えそうで見えない、これもチラリズムかっ!
そんなことを考えながら、俺は、次にタオルを取った。さっき静巴が頭に巻いていたタオルだ。それで軽く髪の水気をふき取っていく。そして、少し水気の抜けた髪を軽く触って確認してから、俺はリンスを手に取った。
リンスが髪全体に馴染むように、リンスを手に出して両手で髪を一束ずつ包むように浸透させていく。
しばらく馴染ませると、俺は、また一言かけて、同じようにお湯をかける。このとき、爪などで強く掻くと、枝毛などの原因になるので注意して撫でるような手つきでリンスを洗い落とす。
「んひゃっ……」
静巴が艶のある声を漏らした。どうやらくすぐったかったらしい。それでも俺は手を止めないで洗い続ける。
「さ、髪の毛は洗い終わったよ」
俺が静巴にそう声をかけると、静巴は、手で、自分の顔にかかっているお湯をきる。そこに俺はスポーツタオルをさっと渡す。
「あ、ありがとうございます」
静巴はそれを受け取って顔を拭いた。そして、拭きながら、どこか疑問そうで、なおかつ困惑と怒りが交じった様な声で聞いてきた。
「でも、髪、洗うの上手いですけど、どうしてですか?」
上手いってのはよく分からんが、小さな頃から姉さんの髪の毛を洗ってきたからなぁ……。姉さん、洗い方が凄い雑なんだもん。
「ああ、まあ、姉さんの髪をよく洗ってるからな」
俺がそう言うと、どこか納得したように静巴は「あっ」と声を出した。どうかしたのか?
「そういえば、生徒会に初めて行った日に朝は一緒に風呂に入った、というふうに言っていましたね」
ああ、そういえばそんなこともあったか。そういえば、白い部屋の夢を見て、その後、思いっきり落とされて驚いて飛び起きたから汗まみれで、そんで風呂行ったら姉さんがいたんだっけか?
「でも姉弟でお風呂に入るものですか?」
静巴は一人っ子だ、と言うのは割りと有名な話だ。有名な家の人間は大体そういったことが公になっているから。
「いや、普通はないんじゃない?母さんにも普通は一緒に入らないって言われたし」
そういえば、母さんも母さんで見た目的には姉に見えるけど、あれ、どうなってるんだろうな……。別に母さんと風呂に入りたいとかそういう話ではない。
「青葉君は変わっているんですね」
そんな失礼なことを静巴が言った。変わってるって、おかしな奴ってことじゃん。いや、もっと言えば変態って意味じゃん。
「っと、次は体ですね」
静巴は、そう言うと立ち上がった。て言うか出て行かないとな、流石に。
「流石に恥ずかしいので」
静巴がそう切り出す。分かってるよ、出て行くって。俺はそんな風に、出て行こうとして、静巴の次の言葉を聞いて絶句する。
「目隠しして洗ってください」
「ブフォッ」
思わず吹き出してしまった。流石に予想外すぎる言葉に、俺は、一瞬聞き間違えたのではないかと、己の耳を真剣に疑った。
「マジで言ってんのか?」
俺は静巴に聞く。すると静巴は、顔を赤らめて、モジモジしながら、俺に言った。
「こ、ここまでやっといて、やり逃げするんですか?」
おい、何だ、その誤解を招きかねない表現は。そして、風呂でバッティングして後ろ姿とはいえ裸を見たのは事実だし、シャンプーをしただけで、静巴と一緒に風呂に入る好意は途中なわけだから否定できない。
「わ、わかった、やるよ」
俺は、恐る恐る、そう口にした。声が震えていた。だって、静巴の体を洗うんだぜ?やべ、緊張で手も震えてきやがった。
俺はそっとボディソープを手に出す。そして、目を瞑りながら恐る恐る静巴へと、その手を近づけていく。
――ボトッ
と何かが地面に落ちた。ボトッとビシャと言う音が聞こえた気がしたが、おそらく、静巴が身体に巻いていた水をよく吸ったバスタオルを解いた音だろう。
「どうぞ」
静巴も声が僅かに震えている。目を瞑りながら、俺の手が、空中をさまよい、そして静巴の身体に触れる。
「ひゃっんぅ」
甘い色っぽい声を出す静巴。ど、どうした?!
「つ、冷たい……」
あ、ボディソープを人肌に温めるの忘れてた。多少なりともシャワーのお湯とかでボトルを温めておけば多少なりとも、こういった冷たい思いをしなくても済むのだが、今日は緊張のあまり忘れてた。
「わ、悪い」
俺は、目を瞑りながら、静巴の体にボディソープを塗る。おそらく、今は、お腹あたりだろう。ぷにぷにしている。無論、ぶよぶよしているのではない。お腹のお肉がつまめちゃうわけでもなく、張りのある肌って意味だ。
俺は、その手を、そっと上の方へと上げていく。徐々に、徐々に、手が上がっていく。すると微妙な起伏を感じた。
「んぁっ……」
これはもしかして……。お腹よりも柔らかく、手のひらにすっぽり収まる様なマシュマロ……いや、肉まん?さらに、手のひらの一部に当たる、少し硬い突起。
やっぱり、これは、もしかしなくても、おっぱい……?!
俺は、今、全神経を右手に集中している。ボディソープを身体に塗るように見せかけて、静巴のおっぱいをゆっくりじっくり揉みしだく。
「んぁふっ……、柔らかい、ですか?」
静巴が甘い吐息とともに艶声を漏らしながら、俺に聞いてきた。バレてる?!おっぱい揉んでたのバレてる!
「い、いいですよ、好きなだけ揉んで」
え、マジで?と思わず聞き返しそうになったが、そこを堪える。きっと冗談か、それとも罠か、だ。でも、罠かもしれなくても揉んでいたい。
姉さんを除けば、初めて揉むおっぱいだから、とかではなく、静巴のおっぱいだから揉んでいたいのだ。
俺が目を瞑りながら必死におっぱいを揉んでいると、静巴の方にも動きがあった。俺を壁に追いやるように動く。必然的に俺は、静巴の胸を揉みながら壁に押し付けられる。
目を瞑った俺の頬に柔らかい手が添えられた。静巴の手だろう。てか、それ以外の人の手だったらビックリだわ!
「ん……」
そして、俺の唇に何かが重なった。柔らかく、しっとりした何かが俺の唇をなぞるように重なっていたのだ。
思わず、俺は目を開けてしまった。
眼前には静巴の顔がドアップで映っていた。そう、静巴が俺にキスをしていたのだった。そして、静巴は、俺から唇を離すと、妖艶な笑みを浮かべて、こう言った。
「さっきの仕返しですよ」
さっき、とは、夕食前に俺が押し倒してキスをしたことだろう。今は、俺と静巴がほぼ密着状態にあるため、俺に静巴の裸体は見えない。俺が見えるのは、静巴の顔だけだった。
俺は仕返しと言わんばかり、静巴にキスを返す。
「……んふっ」
重ねた唇の隙間から息が漏れる。それがどちらのものかも分からないが、とにかく俺と静巴はキスをした。時間を忘れて、我を忘れて、ひたすらに。
そして、幾度重ねあったか、幾度唾液が互いの口を行き来したか、幾度抱き合ったか、互いがほとんど裸――静巴にいたっては本当に裸だが――なのを忘れてひたすらに熱いキスをした。
ずっと俺の目の前にある綺麗に整った顔。吸い込まれるような真っ赤な瞳と真っ青な瞳。それらが、俺の眼前を支配していた。
まるで、その瞳の奥、奥の奥に、何かが萌芽するような、そんな気がした。そして、それと同時に、俺の心の奥底にも何か蠢くものを感じる。体が疼いているのだ。理性を吹っ飛ばすように体内に何かが生まれる様な、そんな感覚。
「……蒼?」
静巴が不意にそう呟いた。蒼って、なんだろうか?
「青葉君。その目、どうしたんですか?」
先ほどまでの甘ったるい雰囲気を吹き飛ばすように、真剣な面差しで静巴がそう聞いてくる。俺は、思わず、俺の押し付けられている壁の右の壁にある鏡を覗く。
「んなっ」
姿見であるその鏡には、俺と全裸の静巴が映っていた。肝心な部分は、俺の手で隠れたり角度的に見えなかったり、湯気で曇ったりしていて見えない。しかし、それよりも何より、一番重要なのは、俺の眼が「蒼く」輝いていたことだ。
そして、暗転。一瞬のことだった。姿見から俺の姿は消えた。いや、姿見自体がなくなった。先ほどまで、確かに部屋のバスルームにいたはずなのに、俺の姿はいつもの白い部屋にあった。
「え……」
そんな声が、俺の耳に届き、俺は、すぐに、右を向いていた顔を正面に向けて、驚いた。眼前に静巴の顔が合った。それはつまり、静巴もこの白い部屋にいる、と言う事実を示しているわけで……。
まて、冷静になれ。冷静になって、今の状況を考えろ。……冷静になって考えると、俺姉さん以外にも秋世とか宴とかの胸、揉んでんじゃん。別に初めてでもなかった……ってそんなことを冷静に思い出してる場合じゃねぇ!
「静巴、どうしてお前がここに」
俺の言葉に、きょとんとしつつも、冷静に静巴は状況を判断していた。そして、俺は辺りを見回す。
白い部屋。何度か見た、あの白い部屋に間違いない。しかし、変わっている点が多少ある。まず、壁に赤い柄に緋色の巻き布がしてある剣がかけてある。間違いない、《無敵の鬼神剣》だ。
それに、その横にショーケースに入って飾られているように見える金剛杵。《帝釈天の光雷槍》。
壁に立てかけてある穂先は三又に別れた槍。《破壊神の三又槍》だ。その横には、弓……《破壊神の煌々矢》もある。
「青葉君。貴方は、ここを知っているんですか?」
静巴の問いかけに、周囲を見るのをやめて、静巴を改めて見る。真剣な表情で俺に確認してきた。
「ああ、知ってる」
俺は、そうとだけ答えた。否、答えようがなかった。俺にもこの空間が何のかは理解していないからだ。
「もしかして、これが青葉君の《古具》ですか?」
ここに《無敵の鬼神剣》や《帝釈天の光雷槍》、《破壊神の三又槍》に《破壊神の煌々矢》と言った武具がある以上、俺の《古具》、《神々の宝具》に関係しているのは間違いないのだろう。だが、俺にもここの仕組みはよくわかっていない。
「分からん」
俺はそう言いつつ、前に、神聖語で彫られていた碑文を見る。するとまた、行が追加されていた。
「あれは……」
俺は、碑文に目を通す。
第五に、古の武道の娘の家にて己が過去の片鱗を見よ。
第六に、冥王の名を持つ冥王印の分家の娘の家にて己が殻を破れ。
第七に、黒き刃の神が天上の姫を谷の底から救い出すであろう。
第八に、古の退魔の家を2人の蒼き慟哭の力で救え。
一気に4つも追加されていた。古の武道の娘の家……これは【古武術】を継ぐ紫炎の家、明津灘家のことだろう。
冥王印は分からないが、字面からおそらく、分家と言うのが冥院寺のことで、てことは律姫ちゃんちってことだよな。
そん次は天上の姫を谷の底から救い出すってのが、まあ、単純に天姫谷ってことだろう。「黒き刃の神が――だろう」ってことは俺じゃなく姉さんが、ね。
最後、古の退魔の家、これは市原だ。ユノン先輩のときは「古の退魔の少女」だったし、間違いないだろう。
「ふむ、見れとか、破れとか、救えって命令調ですが、だろうというのが1つだけ交じっているんですね?おかしな碑文ですが……」
俺は、静巴の言葉に目を見開いた。そして、静巴に問いかける。
「あれが読めるのか?」
日本語でも英語でもなく、神聖語で彫られた碑文。それを静巴は読めているのだ。
「え、ええ。なぜか、読めるようですね」
自身でも困惑しているらしく、よく分からない表情で首を傾げる静巴。ふむ、読める理由は分からない、と。
「はぁ……、読めるなら、まあ、いいか。他の人には黙っててくれよ?」
俺は、静巴になら、俺の能力について話してもいいと思ったのだ。だから、教える覚悟を決めた。
「静巴、俺の《古具》は《神々の宝具》って言うものだ。そこらにある、神が使っていたり、神が齎したりした武器を呼び出して使うことができるのが俺の能力だ。どうやらここは俺の能力に関係しているらしいんだが、よく分かってないんだ」
俺が、俺の能力について語ると、静巴は静かに頷いた。
「能力については分かりましたが、何故、秘密にしておく必要が?」
ふむ、秘密にする理由か。これに関しては結構理由がある。まあ、理由もなしに秘密にはしないだろう。
「まあ、俺の能力はどちらかと言うといろんな物を出せるという特徴がメインみたいなものだ。どっからそれがバレるか分からないからな。実際、俺が《古具》を使えるということ自体生徒会には伏せていただろう?」
まあ、他にも理由は多々あるんだが。っと、そろそろ、落ちる頃かな。ああ、いつものあれだよ。
俺はそっと静巴を抱き寄せる。まあ、実際に落ちるわけではないが、その準備ってわけだ。
「ふぇ?」
静巴は、急に抱き寄せられて驚いている。まあ、あんまり態勢は変わってないけど、密着するし、驚くか。
「さて、そろそろだな」
俺がそう言うと、またも床が消えて浮遊感に包まれる。
「ひゃぁあああ」
耳元に静巴の大きな声が響いた。
そして気がつけば先ほどのバスルームにいた。全裸の静巴と俺は、抱き合う格好でバスルームにいたのだ。
「な、なな、何ですか、今の?」
静巴が、ビックリしたように目を見開いていた。いや、まあ驚くわな。俺も実際驚きまくってたし。
「まあ、驚くよな。さて、とこれからどうする?」
俺が問いかけると、静巴は、顔を赤らめて、こんなことを言うのだった。
「べ、ベッドで、さきほどの続きを……」
俺達は、脱衣所で着替えることもせず、軽くバスタオルで自分達の身体を拭うと、そのままベッドへと飛び込んだ。
またも日数が空いてしまいましたが、これに関しては、1日はいいわけのしようがありませんが、実質2話分有るということで残りは許してもらえませんか?
本当は2話に分けてもよかったんじゃないかとか思うレベルです。静巴ルート一直線!