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《神》の古具使い  作者: 桃姫
京都編
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66話:姉弟ⅠSIDE.GOD

 俺は、カノンちゃんを追いつつ、向こうの方を見た。その瞬間、大きな黒色の斬撃がその周囲を包んだ。俺は、咄嗟に悟った。


――姉さんだ!


 俺は、向こうのバスが、姉さんの通う鷹之町第二高等学校だと言うことを理解し、そして、今向こうで、市原裕太や美人であろう結衣さんと戦っているのは間違いなく姉さんであることが分かった。

 あの斬撃は、姉さんの《黒刃の死神(ブラック・エッジ)》による斬撃だろう。てか、地面削れるんじゃなかろうか……。駐車場大丈夫かな?まあ、大丈夫じゃなかろうと関係ないけど。


 っと、よく眼を凝らすと、なにやら大きな3つの塊が姉さんに迫っていた。あれだけ別方向に攻撃を打っていた姉さんが、あれに気づいていないわけがない。ってことは、俺にやれってことなのか?姉さんは時々、すんごく遠くにいても場所を把握されるからな……。

 しゃーない。俺は、遠距離から攻撃できる武器を使うことにする。


「《破壊神の煌々矢(シヴァ・ピナカ)》」


 その言葉とともに、俺の左手に弓が現れた。そして、弓を見て、矢を生じさせる。これ、一回一回見なきゃいけないのが弱点だよな……。

 三本、矢を生じさせて番えると、撃ち放つ。吸い込まれるように、俺の放った光の矢が一直線の軌道を描き、塊を霧散させた。


「さて、と。あとはどうにかしてくれよ」


 俺がそう言ったのと同じくらいのタイミングで、ドォンと地面が揺れた。どうやら姉さんが何かしたらしい。

 駐車場をあまり壊さないで欲しいんだが……。バスの移動が難しくなるかもしれないじゃないか。


 それにしても姉さんは割りとむちゃくちゃやるよな……。俺も人のことは言えんが……。それにしても、結衣さんってどんな人なんだろう。美人なのかな?美人だったらいいなぁ……。裕太とか言うやつはどうでもいい。


 しかし、おっぱいかぁ……。俺の周りは胸の大きな人から小さな人までいる、と思っていけど、あまり中間っていないよな……。


 例えば、巨乳って言えば、ミュラー先輩を筆頭に姉さん、律姫ちゃん、紫炎など……。


 例えば、貧乳って言えば、静巴や天姫谷など……。


 普通って言うと、……ユノン先輩か秋世ぐらいか?あと、宴。


 あれ、それなりにいるな……。でも、宴はどちらかと言うと大きい部類だろうし、ユノン先輩も……。ってことは本当に中間なのは、秋世だけか。


 カノンちゃんは、すでにユノン先輩を抜いているであろうし……、結衣さんはかなり期待できるのではないだろうか!


 きっと、こう、浴衣を着て、窓辺で一緒に外の花火を見上げる夏の一時が似合う美女に間違いない!

 そう考えると俄然、急いで姉さんの下へ向かわなくては!俺は、姉さんの下へと駆け抜ける!






 おお!天女だ!と思わず思ってしまうような美女がいた。それと真っ黒なドレスを着た姉さんと、何か格好いい男と、美女に抱きつくカノンちゃんも。

 おそらく、市原結衣さんであろう美女。漆黒の髪を下の方で一つに結っているダウンポニーテイルだ。何かあったらしく、カノンちゃんをなだめている。何かあったのだろうか?

 顔立ちは、整っている。ユノン先輩のときも言った様な気がするが、整いすぎて、まるで人形の様である。

 パッチリと大きな黒い眼に、長い睫毛。真っ白い肌。大人っぽい色気が感じられる雰囲気。流石、ユノン先輩の姉、と言った雰囲気だ。

 胸も大きい!ここ重要だから!おそらく、ミュラー先輩に並ぶ!

 そして、この結衣さんとカノンちゃんがくっついている様子は、まさに幻想的……。姉妹そろってこの美貌は、ホント罪だよ。


「ああ、なるほど、色欲魔ね」


 ふむ、その冷たい視線と冷たい言葉も、俺に響く。Sっぽい感じがまた何とも言えなくいい!


「ああ、ダメよ。この子にそう言う視線とか言葉とかでも興奮しちゃうタイプのダメな子だから」


 姉さんの注意が入った。って、何その酷い言い方。俺もいくらなんでも無条件にそんな風にならないよ?美人だからなるんだよ?


「手の付けようのない色欲魔ね」


 結衣さんがキッと睨みつけてきた。その目でジッと見られると、割りと興奮してしまう。だって、結衣さんは美人だから、ねぇ?


「変態なのよ、基本的に」


 姉さんが追撃を仕掛けてくる。酷い!姉弟なのに!


「顔はいいのに……」


 カノンちゃんが割りと残念そうな口調で言った。悲しいから言わないで!何か、そんな口調で言われたら、俺、本当に残念な奴みたいじゃん!


「ええ、顔はいいのに……」


 結衣さんにも言われた!こっちは興奮する……ってそういうのが、こんな風に言われる原因なんではなかろうか!


「ええ、顔はいいでしょ?」


 って、姉さんまで言うな!姉さんも顔はいいけど割りと残念な性格してるじゃないか!まあ、そこも含めて姉さんは完璧なんだが。


「顔はいいけど中身がダメ、典型的な兄様(あにさま)と同じ三枚目タイプですか……」


 結衣さんがそんなことを言う。お、おお、ユノン先輩の兄、裕太だっけか?も俺と同じタイプなのか。


「失礼なことを言うな。俺の方がまだマシだろう」


 裕太とか言う奴がそんなことを言った。失礼な俺の方がマシに決まってる。


「そういうのを五十歩百歩って言うんですよ」


「目くそ鼻くそとも言うわね」


 結衣さんと姉さんが2人揃っていじめてくる。酷い。てか、敵と馴れ合いすぎじゃないか?


「私的には、まだ、向こうの人の方がカッコよくはあると思うけど……」


 カノンちゃんが俺をフォローしてくれる。ホントいい子だなぁ……。可愛いし、言葉遣いがちょっとアレだけど。


「……ん?何か、この感覚、懐かしい気がする」


 結衣さんがそんなことを急に言い出した。はて、懐かしい?面識はないはずだが……。そういえば、さっきもカノンちゃんが……。


「結衣、お前もか?実は俺もどことなく」


 裕太もそんなことを言い出した。何だというのか……。すると、カノンちゃんが、何かを分かっている様な顔で言う。


「それはきっと、昔の感覚になれるから、かな」


 その言葉に、裕太も結衣さんもきょとんとしていた。姉さんもよく分かっていないようだ。だが、俺は、カノンちゃんの口から俺が亞月に似てるって聞いてるから、言いたいことがなんとなく分かる。

 それに姉さんの口調だ。一人称こそ違うものの、どことなくユノン先輩に似通っている部分が有る。


「ほら、亞っちゃんとユノ姉。それぞれに似てるじゃん?」


 カノンちゃんが言うと、結衣さんも裕太も、しばし固まってから、ポツリと呟いた。


「確かに」


「似てないこともない」


 2人はそんな風に言った。姉さんは、と言うと、意味が分からなさそうだったが、なんとなく理解はしているようだ。


「だから懐かしいんだよ?まるで、みんなで一緒にいた頃の思い出が甦っちゃったんだよ」


 みんなってのは、裕太、結衣さん、ユノン先輩、亞月、カノンちゃん、そして、お母さんも含めた面々なのだろう。


「ふん、ここは、一旦引くか……」


 裕太がそう言った。結衣さんも同意したようで、既に、身を引いていた。カノンちゃんも裕太の側に引っ付いていた。


「しかし、見逃すわけではない。いずれ、また、戦いを仕掛ける」


 裕太はそう捨て吐きながら、逃げていった。ったく、一体なんだったんだ?まあ、いいんだけどさ……。


「あぁ……、なぁるほど……。亞月って死んだのね?」


 姉さんが不意にそう言った。俺は思わず驚いた。今の会話のどこからも「亞月」と言う固有名詞は出ていない。「亞っちゃん」が「亞月」に繋がるのは中々に難しいことだと思うんだが……。

 流石は姉さんと言うべきか、あの少ない情報から、亞月が死んでいることが分かったのだから。


「よく分かったね?」


 俺が言うと、姉さんは息を吐く。さすがに幼馴染の死にはくる(・・)ところが有るのだろうか……。


「そりゃ分かるわよ。あんた、泣きそうな顔してんのよ」


 ……。ああ、きてる(・・・)のは俺の方だったか。鋭い姉さんのことだ。俺の些細な表情の変化もすぐに分かっただろう……。


「京都、亞っちゃん、あんたのその顔。コレで全部繋がったわ。亞月が死んだんだって、分かったのよ。

 まあ、もともと予感じみたこともあったのよ。ふとしたきっかけであいつのことを思い出したのも、この修学旅行で、あいつが死んだことを知るからだったんじゃないかなってね」


 亞月。俺と姉さんの幼馴染で、最高にアホな奴だったが……、いい奴だったよ。俺は少し沈んだ声で言った。


「さて、姉さん、そろそろロビーに行かないとね」


 俺の沈んだ声を吹き払うように、姉さんが言う。


「そうね。とっとと行きましょうか!」


 そう言ってから、姉さんが何かを思い出したように、俺に言った。


「そういや、父さんが旅行終わったら話あるってさー」


「え、マジで?」


 そんな話をしながら、俺と姉さんは、重い気持ちを忘れるように、前へと進む。2人で……、前へと。

 復活!とか言いつつ一日空けてしまいました……。いえ、まあ、土曜の結果が出るまで気が気でないというか……。

 あと、金曜からはポケモンと言う執筆の敵が……

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