313話:悠か先を見通す者SIDE. Julia
SIDE.Julia(???)
世界は時として無常であり、無情である。いつか、この世界も……世界群も崩壊する時が来るだろう。それはいつになるのか、なぜなのか、私には知ることができる。何せ、あの御方より、その権利をいただいたのだから。便宜上、神、などと言われているが、神とも違う、あの御方より、悠か先を見ることを許された者なのだから。
しかしながら、この世界の結末を、私はいまだに知らない。この世界群をまとめた物語と言うものは、厄介な道筋を辿っているようで、私はその結末を先に知るのではなく、迎えてみたいと思ったから。まるで、言っていることはあの4人と……特にかなり……いえ、秋の子とでも言いましょうか、あの子と同じ。はてさて、世界は、様々なことがまとめて起こる。例えば、未完成人形の中の1つ、最初の未完成人形の元では何やら大変なことが起こっているようで、世界管理委員会は総出でその世界へと向かった。
そして、木端世界で起こった、夢見櫓の……いえ、悲しき魔女の忠臣蔵……いえ、仕えていたわけでもないから、忠臣蔵と言うよりも復讐劇かしら。ある意味で逆忠臣蔵、ある意味でただの復讐劇、ある意味で無意味な蛮行。彼女の目的は、きっと果たせないし、果たしたところで何もない。あるのは絶望と悲しみ。そう、だって、彼女の望んだ彼は、一生姿を見せることがないと見るまでもなく分かっていることだから。だから、私は、彼女への興味は微塵もない。そう、だったのけれど、ある事情で、それが変わった。そう、その復讐劇の結果は、私の思いもよらないものだったのだから。あの御方の許しを得た力が紛い物を見せるはずもない。ならば、――ならば、あの結末が事実だというのなら、この世界群は予想外の成長を遂げていることになる。いえ、正確には――予想外の崩壊を、とするべきか。
この塔は面白い見ものが揃っている。それもこの崩壊が近づいているからか、はたまた、あの男がいるからなのか。俄然として面白くなってきた。これだから未来は面白いのだ。全てを先に見てしまってはつまらないというもの。
フランスの怪物に【終焉の少女】、聖騎士、【かぐや姫の末裔】、世界管理委員会No.2、六大魔王、奇跡の少女、【黄金の炎柱】、剣帝の血統、【断罪の銀剣】、勝利に導かれた男、黒龍の魔女、ブリュンヒルデの呪いを受けた女、呪いの騎士、最強の騎士王、騎士王の偽物、不在のNo.10、破壊者と同名の女、【血塗れ太陽】、龍神の氷子、勝利の女王、心臓の女王、【夜の女王】、チャンドラ、【朱巫女】にして緋姫、【紅蓮の王】、【鍵穴の少女】、私の眷属が2人、朱光鶴希……いえ、これ以上挙げていってもキリがない。
化け物たちが集いに集った。過去の伝説、未来の英雄、群雄割拠する夢見櫓。おそらく、その塔が現れるのも、この世界群では最後のことになるだろう。いや、もしやして世界群の終焉には再び見られるかもしれないけれど。そう、いずれ終わる世界。崩壊を助長する大きな戦いは既に何度も起こっている。色家戦争、白城事件、第一次時空大戦、第二次時空大戦、アーベシャリス大戦争と言った名だたる大戦、事件から、この間の小規模魔導大戦及びそこから生じる第一次魔導大戦、第二次魔導大戦、第三次時空戦争、第三次魔導大戦、未完成人形の完成、そして、この夢見櫓。大小さまざまな出来事が積み重なって、世界崩壊への道筋はなっていく。
これからの世では、きっと、規格外が当たり前になっていく。昔は、それこそ、数えるほどしかいなかったのに、徐々に、色家や三神と言った存在が頭角を現してきた。それよりも前、九世界より存在する魔法使いたちがまとまりだしたのもこの頃。さらに、色家の頃には警務も現れるし、三神の頃には世界管理委員会も現れる。この頃より世界は急速に崩壊へと向かいだしたのだろう。そうして、規格外の数は徐々に増えていった。いや、増えていっている。そして、今、あの塔を昇る者たちの多くが、その生まれた規格外なのである。世界に規格外が満ち溢れたとき、規格外が普通となる。それはあの女……今の神にはとてもではないが制御ができないだろう。今でこそ、何とか押さえているものを、天辰流篠之宮神が10度以上転生するのが分かっているのだからもはや、その時点で、あの三神の一柱は今の神の制御を外れる。それに、その三神の規格外を存分に体現する存在もいるようで……。三神の……天辰流篠之宮神は魂の転生。しかし、人の血には不思議なものがある。それが遺伝的転生。そして、今、塔を昇る者には、如何様にしてか、転生した存在が多くいる。あの塔での転生者は14、5人はいるでしょうね。およそ、4分の1。ああ、念のために言えば、塔にいる者であり、業の相手も含めて。昇っている者だけでは、やや減るだろう。
それでも、魂の転生と血の転生、両方を併せ持つような規格外は3人。恐ろしいことに、1人を除き、そのどちらもが魂2つと血が1つ、転生されている。その2人はおそらく、既に今の神の手を離れた存在となっているだろう。あの御方が言うように、やはり現在の神と言うのは弱すぎる。農民の小娘が世界をまとめ上げるなど、土台不可能な話だった。
もはや、この世界群の崩壊を止める手立てはない。新たな世界が幕を開けるのもそう遠くはないはず。そして、今の神の前に立ちはだかるのは、おそらく、あの男しかいない。2人の分身体と最強の第一級特異点。ラグナロクに現れるのは、あの御方もだろう。そして、4人と1人が新世界を構築する。これが私の思う未来予想図。知ろうと思えばすぐにでも知れる答え合わせを私はしない。
さあ、これから先の塔の物語は、さらなる化け物も多く出るでしょうね。しかし、まあ、あれを……あれを呼び寄せる業の持ち主がいるとも思っていなかったけれど。よもや、あの……。流石は、三神の集う地、と言うことなのか、それとも血のなせるものか、いいえ、あれは、魂が関係しすぎている。血ではない。
あの御方と、あの男、そして、今の神。この一件の裏には多くの陰謀が渦巻いているようで、でも、それは凄く単純な、バランスの取り合いに過ぎない。
理の4人も概念も、今は動いていない……いえ、1人だけ動いているけれど、それを除き干渉するつもりはない。と言うことなら、このバランスはとれているのだろうけど。
様々な存在が犇めきあう裏を理解しているのは、おそらく、あの塔の中では、2人、青葉紳司と青葉暗音。それに、青葉紳司にはそろそろ自覚が出てくる頃合い。さて、この決着、知っているとはいえ見もの。天地開闢、文字通りの天地開闢より、この世界群を見続けたあの御方は、今回、どうするのか、それは私にも分からない。けれど、きっと、あの御方ならば、顔くらい見せるのではないかしら。そう、最期の最期に顔を見せていく。私にもあの御方がどうするのかは分からない。見ても、見えないから。
尤も、その最期まではだいぶある。さて、そろそろ、私の眷属……加護を与えた2人が接触する頃でしょうね。少し、楽しみ。
え~、免許やらパソコンの調子が悪いやらで更新が遅れてしまいました。そして、今回に関しては、意味不明な言葉の羅列と化しているのですが、謝ります。すみません。それと、まあ、久々にとあるゲームをやって泣いてしまったり、FDやったりしてたら、歴史ものが無性に書きたくなる衝動に駆られて大変でした。




