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《神》の古具使い  作者: 桃姫
龍人編 SIDE.D
197/385

197話:戦士たちの休息2

SIDE. SIDE. Thunder Dragon


 私、細波雷璃は、静かにため息をつきました。今は、第二の試練が終わった時と同様に休憩時間となっています。なので、机に座って、目を閉じながらため息をついたんですよ。先ほどの龍との戦い、扉を利用する作戦といい、単独で龍を2匹撃破した実力といい、彼女ほど異常という言葉が似合う人間もいないでしょう。それを確信してしまいました。


 でも、おかしいと思う部分は多々あります。まるで、龍の気配をその裡から感じないんです。他の何かが入っていることは珍しいですが、ないことはないので、それを感じるのは分からなくはないんですが、彼女も第六龍人種だというのなら、必ず龍の気配を感じると思っていたのですが、そんなことはありませんでした。


 あの土の龍を撃破した技に関しても、まるで龍の力ではありませんでしたね。それにしても、あの技……どこかで見たことがあるような気がするんですけれど……。


 それに戦いの最中に言っていたアーレオスの「漆黒の暗無の胎動」という言葉。あの剣技が漆黒の暗無だというのでしょうか。

 その問いかけにはアーレオスは答えてくれません。どうやら、言いたくないというか、言えないようです。


「言えないわけでもないけど……それは……」


 と言い渋ります。何が一体、こうも口を閉ざさせるのでしょうか。それほどまでに、口に出すことができないものなのでしょうか。


「まあ、それはそれとして雷璃、転生というものを信じる?」


 転生ですか?私は信じるというより、天辰流篠之宮神様の話を知っている人間ですからあることは理解していますが?


「そう、転生には魂量数値が密接に関わっていて異常な人間にしかできない、まさに神の如き恩恵だ。だが、それを彼女は……」


 ん?ええ、まあ、【闇色の剣客】が長命ではなく転生なのはわかりましたが、そう言った話ではなく、漆黒の暗無の方を……


「何を言うのよ。割と大事な話で、我はいまだに信じられないわ」


 そうは言っても、私にとっては大したことではないので、あまり重きを置かないのですよ。転生だから、何だ、というのでしょうか。同じ、ただの人間にすぎません。ただ、少しだけ、昔のことを知っている、それだけのことです。


「それで済めばいいんだが……運命の輪というのは不思議なものね。異常が過ぎるゆえに、彼女は人間ですらない可能性もある」


 人間ですらないって、それじゃあ、何なんですか?化け物、それとも、何か別の存在か何かですか?


「半神、とでも言うべきか……。もはや、神の域に片足を突っ込んでいるとでも言えるレベルよね」


 そんなにですか。でも、他に転生の前例がないわけではないって聞いてますけど?その人たちもみんな神様に鳴っちゃいますよ?


「違うわ。他の転生者ならこんなにも言うことはない。けれど、彼女は、違うのよ……。漆黒の暗無、黒紫の卵であるからこそ、そして、何よりも、彼女が彼女であるからこそ、半神なのよ」


 よくわかりませんが、やはり彼女は特殊な人間ってことなんでしょうか。アーレオスがこれほどまでに評価するのは見たことがありませんけど。常人以上の力を持つのだとしたら彼女は、何者なんでしょうか。半神ということではなく、【闇色の剣客】ということでもなく。なぜなら、それほどの人間なら、私たち時空間統括管理局が目をつけていないはずがないからです。


 こちらが補足できていないような存在や秘匿レベルの高い存在を除いて、ほとんどが私たちの元に情報として送られてきています。その情報網に引っかからない人間がいるはずがありません。


 現在の第一級補足目標、【終焉の少女】マリア・ルーンヘクサを筆頭に、【魔城の主】べリアル・クロイツ・メイデン、【彼の物の人形の主】セト及び【第一神造人形】ファーストなど。その中でも【終焉の少女】マリア・ルーンヘクサは、本局直属の部隊が【超自然的輪廻転生存在(リンカネーション)】と名付けて、その行方を追っているとされています。

 その中に彼女の名前は、当然ないです。でも、今日の規格外さと、アーレオスの口振りからすれば、十分にその中に入っているべき存在です。もしかしたら、上層部の極秘リストにその名を連ねているのかもしれませんが、それならこんなところにみすみす連れ逃すような失態を犯すはずもないでしょうし。


 101人委員会なら、確実に、彼女の身柄を補足しているでしょうし、デュアル・ツインベル、彼女が本当に101人委員会のメンバーなら、彼女がここにいることはあり得ない、と断言できます。


 デュアル・ツインベル。噂にしか聞いたことはありませんが、その強さは、烈火隊の上位者以上、実力なら初代一門や二代目二門に匹敵するとも聞きますから。彼女の恐ろしさは、その強さもさることながら、万能性に優れて、さらに頭の回転が速いなど、組織で役に立つことです。尤も、彼女の存在自体、噂レベルなので、本当のことかどうかは分かりませんけどね。


「綺羅々・ワールドエンダーも。そのほかにもいろいろと噂レベルにしか存在しないのよね。中には管理局を語っただけの偽物って説もあるくらいだしね」


 ええ、そこが本当に謎なんですよね。いっそ公表してしまえばいいのに、なぜ秘匿するんでしょうかね。


「雷璃ぃ、難しい顔してどぉーしたの?悩みならアタシが聞くよ?」


 黒霞がそんな風に私の肩を抱きながら言います。どうして彼女は、こうもお気楽なのでしょうか。


「俺でよければ、俺も聞きますよ?あ、男に話しづらい内容だったらやめときますけど」


 おそらくこの中で実質最年少の篠宮君にすらそんなことを言われてしまいました。篠宮瑠葵君。彼からははっきりと龍の気配が感じ取れるので、彼女のような変な勘繰りはいらないでしょう。


「いえ、みんなにはどんな龍が入っているのかが気になりましてね」


 大体のこと、属性とかについては、第一の試練の発表の前に、食堂の扉の前で済ませていましたが、具体的なことは聞いてません。例えば、龍の名前とか。


「たとえば、私は雷龍・アーレオスですし、黒霞は闇龍・レミダスですよね。そういうことが気になっていただけです」


 私のその言葉に、篠宮君が「あー」と納得したように声を出してくれました。最年少ということもあってか、可愛い弟、といった雰囲気ですね。


「俺は風龍・マリューシカです」


 え、マリューシカ……?!そんな、その龍は……。


「さって、そろそろ第四の試練、始めるわよ。いい感じに、日も落ちてきたしね」


 私たちの話は、そういって入ってきた青葉暗音さんによって中断させられるのでした。

 今回はかなり短いです。

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