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星ケ丘一丁目  作者: なつ
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鏡と鏡

ねえ、自分が誰なのか分からなくなったことある?

どう頑張っても動けないことは?

じゃあ、目を開けてるような感じで夢を見たことは?

あたし 全部ある。 薬でもやってんのかと思うけどなんにもしてない。イカレてる、時々自分の辛いことや寂しいことを誤魔化して誰かに基準を求めてる。あと、どれくらいしたらしんどいって言っていいのか。星ケ丘一丁目。ベッドタウンのこの街は誰の帰りも待ってない、一人ぼっちの寂しいとこ。一番星がよく見えるこの街はあたしがいることを知らない。きっと、誰も知らない。

言いたいことはいっぱいあるのに、朝がきてしまった。昨日生理の血でベッドのシーツを汚してしまって あ、かなり洗うのが久しぶり。多分半年経ってる。洗う前に汚いな、と思ってそのまま。もう一度元に戻すのがしんどくて、シーツなしで寝てしまった。なんかやだな。定期的が分からない。

今日は6月24日。朝、大丈夫。今日は楽チンと思っていたら道が斜めにみえて足が真っ直ぐ進まない。息を整えて前を見据える。落ち着け、ヘモグロビンが高い。きっと、脱水だ。落ち着けと。帰って頭痛薬飲んだら落ち着いた。ねえ、きっと、今死ねたらきっとなんの未練もない。起きて呼吸が止まってたら、あたしはお腹が空いてご飯を食べるのが当たり前なように明日起きずに静かに死んでいたことも当たり前に思う。このところ、パニックになる。良いことためになることも全部、吸収しきれない。

制服着て自転車に乗れば、あたしは学校に吸い込まれていく。学校は嫌い。学校の塀がまるで刑務所に入れられている気がする。数学が始まればいつ処刑されるのか息をのんでまつ。高校一年のとき、あたしが安易に薬剤師になりたいなんて言ったせいで、数学の時間先生がうしろについてまわったことがあった。やめてよ。できないってバレるじゃん。もういい、薬剤師だってチラシでお給料がよくて世間体が良いだけでなりたかったんだから。やめて。もうなりたいなんて言わない。勉強なんて大っ嫌い。

このままだめになっちゃうのかな。あたし。鏡にはあたしがいて、あたしは日々年をとって、気付いたら図体だけがデカくなってた。今度は反対にしみ皺白髪になってくのにそんな変化にも疎くなってしまうだろう。あたし、どうなるのかな。ふいに向かいの階窓が見えた。カーテンは閉まってる。いつか、あたしもそうなるんじゃないか。そして、この不安感が消えた時あたしはほんとに終わるだろう。あたしは未来のあたしを向かいの階の窓に見た気がする。少し蒸し暑くてまだクーラーをつけるには少し早い今日は、湿っぽい。

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